第13話

 僕たちの結末は。

 ラリアはどうやら店に戻ってきていたらしい。僕がこの店に侵入してから見たんだから。そしてラリアが逃げたというのは、少し前の出来事だったらしい。

 だから、あの光景を、ラリアが暴力をうけているという事実を知ったのだから、どうしてなのだと舌を噛む思いだ。だが、ラリアはそういう子なのだろう。いくら逃げても、いくら逃げたくても、妹に仕打ちが回るくらいなら、自分を犠牲のするのだろう。

 幸せになる権利、というのをご存じだろうか。

 それはきっと誰にでも存在するはずなのに、現実は誰にでも存在するものではないということを知っている。

 一体どうすれば、人並みになれるのだろうかなんて、虚しい思いなのだろう。

 霧子は、僕のすそを掴んでいたい霧子は、どうやら他所よそに売られる予定だったらしい。だから、出荷前の家畜のように、贅沢をさせるかの如く、ということだ。あのきらびやかな部屋も、約束された衣食住も、全部。売主が買主の要望に合わせて教養を学ばせる部屋、ということだ。そんな、教養もへったくれもない外道のようなことをしているだけなのに、と一応毒づく。

 何も変わらなかった。

 何も変えられなかった。

 非力で無力な自分を、この暗い小屋の中で呪う。

 ラリアも、霧子も、もういなくなってしまった。

 好転することのない淡々と続いていく時間というものが、ひどく苦しい。だが、僕は、僕は。何の一歩も踏み出せず、見ているしかない。これから、どうなっていくのかを。それは地獄のようで、呪いのようで、悪夢の連綿でしかなかったのだから。

 さあ、もう、わからない。

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パステルシーにて @rabbit090

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