第4話 あれからのこと
夏休みが明けて、数日。あの日を境に、僕達は学校以外で会うこともなくなっていた。そして、僕はと言うと家族とも会話がなくなり「虐待」もされ始めていた。学校で彼とすれ違い、目が合ってもすぐに逸らされる。それに、彼は今までの何倍も勉強をするようになっていた。授業中でも、休み時間でも、ずっとずっとノートに何かの計算をしていた。
あんな危険な目に合わせてしまったのだから、嫌われたって仕方がないか。
あの時、僕達が川で溺れかけていたところを近くにいた地元のおじさんに助けられた。泳げない彼をなんとか岸に届けようともがいていたギリギリのところを助けられたのだ。体力を使い切った僕はその後のことをよく覚えていない。気づけば家にいたのだ。
そうして夏休みが明けて、僕と彼が一緒にいなくなってから、またイジメが始まった。
「おーい。根暗仲間はどうしたんだ?」
ニヤニヤと不快な笑みを見せた彼に向かって、彼は強く睨みつけた。
「だまれ・・・」
「あ? なんか言ったか?」
「だまれ!!」
そう言うと、なんと彼はいじめっ子の主犯格に掴みかかったのだ。近くにいた隣のクラスの先生がなんとか仲裁してくれたものの、らしくない彼の取り乱した姿に僕は呆然としていた。
「どうしたんだ? 君らしくもない」
僕はそう声をかけたが彼は返答をせず、ただ肩を震わせて涙を流すだけだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます