第4話 あれからのこと

 夏休みが明けて、数日。あの日を境に、僕達は学校以外で会うこともなくなっていた。そして、僕はと言うと家族とも会話がなくなり「虐待」もされ始めていた。学校で彼とすれ違い、目が合ってもすぐに逸らされる。それに、彼は今までの何倍も勉強をするようになっていた。授業中でも、休み時間でも、ずっとずっとノートに何かの計算をしていた。


あんな危険な目に合わせてしまったのだから、嫌われたって仕方がないか。


 あの時、僕達が川で溺れかけていたところを近くにいた地元のおじさんに助けられた。泳げない彼をなんとか岸に届けようともがいていたギリギリのところを助けられたのだ。体力を使い切った僕はその後のことをよく覚えていない。気づけば家にいたのだ。


 そうして夏休みが明けて、僕と彼が一緒にいなくなってから、またイジメが始まった。


「おーい。根暗仲間はどうしたんだ?」


ニヤニヤと不快な笑みを見せた彼に向かって、彼は強く睨みつけた。


「だまれ・・・」

「あ? なんか言ったか?」

「だまれ!!」


そう言うと、なんと彼はいじめっ子の主犯格に掴みかかったのだ。近くにいた隣のクラスの先生がなんとか仲裁してくれたものの、らしくない彼の取り乱した姿に僕は呆然としていた。


「どうしたんだ? 君らしくもない」


僕はそう声をかけたが彼は返答をせず、ただ肩を震わせて涙を流すだけだった。

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