(081〜085)
(081)広場の真ん中に棒杭が立っていて、据え付けられた盆の上に骸骨が載っている。眼窩に小さな光が灯っているときは会話することができる。何か有益なアドバイスとか、いっそ予言とかしてくれないかと思うのだが、大抵はくだらないダジャレを返してくるだけ。
(082)ね、ちょっと触ってみる?と囁いて、彼女は僕の手を掴み自分の服の中にさし入れる。指先に触っとした感触がひろがり羽毛だと気づくとクスッと笑う彼女の息が僕の頰に当たる。ね、わかった?うん。僕は頷く。
(083)地上百二十階のビルの、嵌め殺しのガラス窓の向こうにスーッと梯子が降りてくる。私のすぐ脇を通り抜けて一人の少女があっけなく窓を開け放ち、梯子に掴まってスイスイ登っていった。吃驚して窓に飛びつき見上げれば、頰に降り出したばかりの雨つぶ。
(084)教室の中ひとりぼっち、しくしく泣いているのでどうしたの?なんで泣いてるの?と訊くのだがいやいやするばかりでいっこうに要領を得ない。しだいに日が暮れて気がつくと夜だ。とにかく帰ろうよ、と手を差し出し触れたかと思うやかき消えて水たまりだけが残る。
(085)押入れに鷹が身体を丸めて眠っている。猛禽類がそんな眠り方をするとは知らなかった。僕は毎日学校から帰宅するとすぐに手洗いもそこそこに襖を開けて鷹の姿を確認し、ほっとしてその銀色の喉を撫でる。鷹は気持ちよさそうに半眼を開き、僕に何事か語りかける。
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