(026〜030)

(026)爆発音。全身埃まみれになったので、エレベーターに乗って部屋に戻り、浴室に入った。熱いお湯を浴びてスポンジで身体を洗い、シャワーで流す。浴室から出て、バスタオルで身体を満遍なく拭くと、窓外に渦巻きになった大きな煙と火柱が立っていた。


(027)マンホールの蓋を開けて中の鉄梯子を降りる。一番下まで来るとキャットウォークで、そのまま歩く。どうやら巨大なドーム状の空間の端を歩いているらしい。ふと見ると眼下に薄黝い泥のような液体に満たされた堀があって、上流からいくつもの棺桶が流れてくる。


(028)独楽がまわる。回転する円の上を小人が懸命に走っている。何か叫んでいるが、囁きほどにしか聴きとれないので耳を近づけると、隠し持っていたのかそれとも小さすぎて目に入らなかったのか、矢を射かけられて痛と思うまもなく羽に結び付けられていたロープを伝い小人が。


(029)テニスコートを横切って彼女がこちらにやってくる。笑顔を振りまいてはいるが、油断できない。実は怒りを滾らせていて、私の前で爆発するためにあえて周囲に悟らせていないのかもしれないからだ。みるみるうちに空に暗雲がたちこめ、生ぬるい風がヒューっと土埃を払う。


(030)雨が降っている。遠くで火が灯っているのが霞んで見える。波の音が聴こえる。真夜中なのに鳥の声もする。机の上にテープレコーダーが置いてあり、老人がマイクに向かって何かしゃべっている。ジャーナリストは席を外していて、部屋には他に誰もいない。

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