(011〜015)
(011)土遊びをしていて骨を見つけてしまう。犬の骨かと理性的には考えるのだが、どうしても人間の骨に違いないと直感する。そしてきっと夜には夢枕に骨の持ち主が立つに違いないと重ねて思う。それは予感とかそういうものでさえなく、もはや確定した事実のようだ。
(012)コーン、コーン、と、どこかで木槌を打つ音が聞こえる。窓から外を見ると大雨が降っていて、木槌の音など聞こえない。誰かが仏像を彫っているのだが、雨はその事実を消し去ってしまう。そのうちに雨は洪水になって、音だけでなく何もかも押し流してしまう。
(013)トンネルの向こうに人影を見たような気がしたのだが、きっと気のせいだろうと思って、そのまま反対側に歩き出す。ひた、ひた、ひた、と気配が後ろをついてくるが、きっと気のせいだろうと思って、歩き続けると、無闇に冷たい風が後ろから吹き抜けて「ひっ」と声が出る。
(014)広大な草原の真ん中にぽっかり円形の裸の地面がむき出しになっていて、その中央に私は立っている。空から強い風と白光が浴びせられ、そうか、空飛ぶ円盤がこの上にいるのだと直感する。上昇してゆくのか下降してくるのかわからないので恐ろしくて顔が上げられない。
(015)頭から血を流して台所で倒れていると、階段から牛ほどもある巨大な蜘蛛が降りてきて、くるぞ、くるぞ、と思う間もなくまるで瞬間移動の素早さで身体の上に覆い被さっている。脚が顔のすぐそばにあり繊毛がさわさわと皮膚に触れ生温い息が耳にかかる。
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