第3話 カウンセラー

「はぁ〜食った食った〜」

「コーヒーでも入れてやろう」

「あぁありがと」


コーヒーを入れようと来夢が席を立つ


「あっそういやさっきの話の続きは?」

「あぁすまない」

「私としたことがうっかりしていた」


こいつ意外と抜けているところがあるな


「私が夢の中で言ったことを覚えているだろう?」

「覚えてるよ、転職がどうとか」

「そうだ」

「なんの仕事をするんだ?」


めっちゃ大事なことじゃんそれくらい夢の中で教えてくれよ


「人間のカウンセリングだ」

「カウンセリング?」

「そうだ、お前には特定の人間を対象にしたカウンセリングをしてもらう」

「待ってくれ俺は資格も持っていなければそんなことしたことないぞ?」


それどころか人から相談を持ちかけられたことすらない


「心配するな、資格はこちらの方でなんとかする」

「でも俺知識も経験もないし」

「光晴、悪いがこれはもう決まったことなんだ飲み込んでくれ」

「...」


こうなるんだったらちゃんと考えればよかったな

まぁでも前の仕事を続けるくらいなら...


「それはわかったけどなんなんだ?特定の人間って」

「終わりが近い人間だ」


そう言いながらコーヒーを手に持ち来夢が椅子に座る


「どういう意味だ?」

「寿命や病ではなく精神的に限界な人間と言った方がわかりやすいだろう」

「なんでそんな人を俺なんかが?」


そんなに追い詰められている人なのになんで経験も知識もない俺が?


「この仕事をできる人間が少なくてな、ここではお前以外にいないのだ」

「それなら尚更俺はできないだろ友達もろくにいないんだぞ」


泣きそう


「そういうことではないのだ」

「お前はこの仕事をするにあたってある異能を神から授かった」

「異能?超能力みたいなやつか!?」

「ま、まぁそんなところだ」

「その異能に適合でき自在に扱えるのがお前なのだ森崎光晴」


まじか、ってことはサイコキネシスとかパイロキネシスとかかめはめ...


「そういうものではない」


こいつも異能持ちかよ


「まぁ異能は使う時に説明するとしよう」

「お、おう」

「本来は使わない方がいいものだ」

「ん?」

「そんなことより他に聞きたいことはないか森崎光晴」


他に聞きたいことか...


「さっき来夢は精神的に限界な人間と言ったが、そこまで追い詰められた人を助けることができるのか?」

「そこはお前次第だ」

「もしその人の力になれなかったら?」

「...」

「本来自ら命を絶つような人間を相手にするんだ、それ相応の結果になるだろう」


そうなるよなぁ正直助けられる自信は全くない、だからって仕方がないと諦めるのも嫌だ


「なんか一気にやる気失せちゃったな...」

「すまない」


息が詰まり不安だけが募る

冷めたコーヒーを口に運ぶとライムが口を開いた


「だが、自ら命を絶つことだけはさせない」

「本当か!?」

「そのためにはお前が必要だ、私もいくらでも力を貸そう」

「あぁ、ありがとう」

「礼はいい、元々こちらから持ちかけたことだしな」


そういい来夢は食器を片付け始める


「1週間後、1人カウンセリングに来る予定だ」

「そうなのか」

「それまでに少し勉強するといい」

「そうするよ」

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