第2話 ちゃんとした朝食

どこを見渡しても全く知らない部屋


「なんでこんなところに...」


ちゃんと自分の部屋で寝たはず、昨日は酔っていたわけでもなかった

さっきの夢のせいか?


「これが知らない天井っていうやつか」


するとコーヒーのいい香りと共に部屋の扉が開く


「おはよう」


夢で聞いたダンディーな声


「この声はまさか夢のゴリ...」

「ゴリラではないと言ってるであろう!」

「それに夢のゴリラなどメルヘンなあだ名をつけるな」


そこにいたのは夢のゴリラではなくガチムチのイケオジだった


「お前誰だ?」

「そういえば名乗っていなかったな」

「私は郷里来夢ごうり らいむという、今は人間だ」

「今は?」

「お前の家で一度会っているであろう」


夢ではゴリラ以外に誰も会っていなかったはず


「ってことはお前がゴリラなのか!?」

「ゴリラではないと言っているであろう!」

「じゃあなんなんだ?」

「神の使いだ」


神の使い?じゃあさっきのは夢じゃなかったのか?頭が混乱してきた


「まぁ詳しい話は後でしよう、先に朝食だ」


来夢と階段を下り1階へ向かう

そこには来夢が作ったと思われる焼き魚、卵焼き、味噌汁といったちゃんとした朝食があった


人に食事を作ってもらうなんていつぶりだろうか


「それではいただくとしよう」

「いただきます」

「...」

「いただきますくらい言わぬか!」

「あぁすまん」


人と食事をするなんて久々すぎて当たり前のことを忘れていた


「もぐもぐ...」

「どうだ?」


あまり美味しくない

卵焼きと焼き魚は焦げていて塩気が強すぎる

それに比べて味噌汁は薄すぎてもうただのお湯だ

ゴリラだから味覚が全然違うのか?


「おいしいなー」

「美味しくないなら正直に言ってよい」

「すまん」

「料理は少し苦手でな」


少しっていうレベルじゃねぇぞオイ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る