三大欲求アクシデント
シヨゥ
第1話
買い物から帰ってくるとリビングからぞろぞろと家族が出てきた。
「食べたい。その思いに意味を求めてはいけないんだ。食べたいから食べる。ただそれだけなんだ。強いて意味を作るなら満足感を得るだけだと思う。食事って自己満足の極致にあると思う」
ピザにポテトチップス、コーラのボトルを抱えた妹は言う。
「寝たい。その思いに意味は求めてはいけないと思うの。寝たいから寝る。ただそれだけなの。そこにあえて意味を与えるなら満足感を得るために寝るってことかなって思う。寝るって自己満足の高みにあると思うの」
抱き枕を抱きしめた姉は言う。
「セックスしたい。好きな相手がいない状態でその思いに意味はないと思うんだ。射精したいからセックスがしたい。ただそれだけなんだ。そこに意味があるとしたら満足感だと思う。でも俺には相手がいないからオナニーするしかない。オナニーって自己満足の高みにあると思うんだ」
DVDとティッシュ箱が顔をのぞかせるレジ袋を持った兄が言う。
「私たちは満足感を得ないといけないの」
「だから、家事は任せた」
「お兄ちゃん頑張って」
3人はそれぞれの部屋へと引き上げていく。いきなりのことでその背を目で追うことしかできない。
「マジかよ」
やっと我に返り家に上がると待ち受けていたのは家事の山。
「マジかよ」
思わず2度同じことを口走ってしまうほどに現実が押し寄せてきた。
三大欲求アクシデント シヨゥ @Shiyoxu
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