ファイルNo.17
「ホワイトお前が俺達を真の平和な世界に導いてくれ!世界を変えられるのはお前だけなんだ!」
そうだ!この世界はもう腐敗しきってダメだ」
「私の夫を殺したアイツらが憎いだからホワイトさんお願いします!」
「ホワイト苦しんでいる人間は多い!
それを見ないで自分だけが傷付かなければ人は人の痛みを理解は出来ない
痛みを知って初めて人は平和を願う事が出来る」
「あぁ世界を恐怖と痛みで支配しなければ
人は人を愛せない
傷付ける事を平気でする人間をこの世界から消さないとここに集まった人は
いつ幸せになれる?
そんな誰かに頼るぐらいなら俺が導く」
「そう言ってくれて助かる、俺達はお前の仲間だ!ここに居る奴らに一時の夢をお前の魔法で見せてやってくれ
俺達はお前1人に罪は負わせない
俺達には魔法を使わなくて平気だ」
なんで世界はこんなにも憎しみに満ちているのか?なぜ誰もこの世界を変えようとしないのか?
ただ平和に生きていきたい!それだけの願いも叶わない世界に何の意味がある?
権力に汚れた政治家、知らないフリをして自ら傀儡となる事を選んだ民衆達
世界は自分の事しか考えていない連中に世界は蹂躙されている
こんなにも助けを求めている人が居ても自分に利益が生まれない事は人が最も避ける
綺麗事?誰かに褒められないのにタダで動く?
そんな事をする人間は損をする!
認められる為なら努力は出来るが人に知られない事を喜んではやれない
ホワイトは裏世界に居たが、理不尽な世界に居たからこそ大切なものが見えていた
その日ホワイトは助けを求めて来ていた
人々に精神支配と記憶操作の魔法を掛けた
老若男女含め述べ5282人の人に魔法を駆使して苦しむ人々を現在世界で平穏に生きて行ける様に
今までの辛い過去を忘れさせ、人が変わった様にしたのだ
神に縋っても助けは無いがホワイトは確実に5282人の人生を変えた
ー特殊犯罪者収容施設・ホワイトの部屋ー
「ウォーカーこの本は記憶操作と精神支配の魔法が書かれた本だ」
「これだけか?」
「いや?もっと多くそれは中編の解説書みたいな物だ!
だがその中には大事な事が書いてあってな?」
「どんな事だ?」
「人々を苦しみから救い癒やし
涙流す時は寄り添う事が心を癒やす
怒れる時は森を空を海を見よ
鳥はさえずり、星は地上を眺め、魚は生命の源で自由に踊る、人は自然の一部だある事を理解せよ」
「どういう意味だ?」
「そのままですよ?結局魔法では救える事は無くて人の心を癒やすのは人の心って事ですよ
ただ1度だけ精神支配と記憶操作で多くの人の運命を変えてしまった・・・」
ホワイトは席を立つと1枚の写真を手渡してきた
森の中にポツンと湖と屋敷が映っていた
「私の記憶から複製したものです。
今日はこれで一旦お帰り頂いても?」
「分かったまた今度ゆっくり話を」
「あぁ・・ウォーカー?」
「どうした?」
「お前の正義はなんだ?」
「昔から変わらないさ?
人が安寧した世界、それを乱す者は悪」
「そうか、本当に昔から変わらないな」
ホワイトは2人を見送り出し自室に戻り
1枚の写真を見ていた
そこに写っていたのはホワイトを中央に
5人の人間が写っていた
「もうあの時には戻れないのか・・・」
ーー22年前ーー
「俺達のやる事は正義なんて事は絶対にない!だけどやらない事で苦しむ人を救わないのは悪だ!」
「分かってる!だから俺達はお前を1人にはしないさ」
「ホワイト俺達が付いてるから安心しろ」
「俺達は国から嫌われるな」
「汚れた世界が平和と愛に満ちるためには
俺達の戦いには意味があるからな」
ホワイトと仲間達は自分達の信じる世界の為に動き出した
私慾に塗れた政治家、親の後を引き継ぐだけの世襲議員、世襲的な企業の社長達
世の中が腐敗しきっている
貧困に苦しむ人を安い賃金で働かせ、働き手が少なくなれば政治家達は保証の名の下に国民を奴隷の様に扱き使う事を繰り返してきた
裏世界で国の飼い犬になっていたホワイトは自分と似た人達を簡単に斬り捨てる事が出来なかった
国を愛し似た境遇の人々を15歳の時に亡くした友人と重なり国に反旗を起こした
「ホワイトこれからどうするんだ?」
「俺の精神支配の魔法は何度も使えない!
使っても3回までだ!
魔法の効果と反動が大きすぎるからそれ以上は無理だ」
「分かった!じゃあ後はどのタイミングで
魔法を掛けるかだな?」
「新年のお祭りで集まった人達を一気に魔法に掛けるのはどうだ?」
「それはダメだ!関係の無い人々まで巻き込むのは俺達のやり方じゃない!」
「じゃどうすんだよ!ホワイト!」
「人をこの場所に集める!貧困に苦しむ人達に魔法を掛けて国中に弱者の叫びを轟かせる!」
ホワイトは国中を駆け回り弱者の心の支えになる事で2年という短い時間で支持者を集めていった
時には災害の被害にあった村に滞在して
村の復興の為に尽力し村人は国からの支援を断たれ生活を犠牲にしている
希望も期待も無くした村人達にとっては
ホワイト達が現れた村の復興の為に動く事は有り難く
敬意を払うのは当たり前となっていった
自分達を見捨てた国より救いに来た事は
神にも見えたかもしれない
その様にホワイト達は国中から自分を信じて集まった
時は来た5282人の人々はホワイト元に集まりホワイト達は反旗を掲げた
民衆は現政府、そして代々受け継がれてきた政治家達による支配の解放を訴え
国の未来の為、人がより平等で自由に生きられる世界の実現を掲げ動いていた
ホワイト達は最初こそは憎しみの連鎖から人々が救われる事を願って動き出したが、
少しずつ変わってきた
組織は人が増え、お金は腐るほどに集まる
欲を出さずに突き進める程に人は強くなかった
支配する者は支配出来るだけの理由を持ち
支配される者は支配されるだけの理由があった
どれほど綺麗な言葉を並べても
どれほど理想的な事を言っても
支配欲に塗れた仲間の言葉はホワイトには
響かなかった
ホワイトは窓から外を眺めていると
自由は既に手に入っていた
何かを恨み、妬み、嫉妬するそんな心が
自由と言われる世界と逆の方向に向かわせている
働き、稼ぎ、何かを買う、それも自由
人を殺し、金品を盗み捕まる、それも自由
結末は違えど意志力の尊厳はそこにある
現実を受け入れ、たった1人の人を笑顔に出来れば幸せな人生と言えるのでは?
だとしたら俺は何と戦っている?
国家転覆させた後、国民全員が笑顔になれるか?
ドアを開けて踏み出そうとしないで
窓から眺め羨ましいと思うのはもう止めよう
この暴動で幸せになれる人は少ない
参加てしている民衆は皆
私の精神支配と記憶操作で操っている様な
そんな状態では意味が無い
魔法に頼る事は止めよう
魔法暦495年
ギルバート・ホワイト
国家転覆の罪で逮捕
他共犯者5人も逮捕された
ー特殊犯罪者収容施設・ホワイトの部屋ー
「まだその写真を持っていたんですね?」
「あぁ君にも大切な仲間が分かる時が来るさ」
「要りませんね?」
「私を殺しに来たか?」
「えぇ?先生は私に繋がるヒントですから?消えて頂きますよ」
「○○お前の父親は」
ホワイトが何かを言おうとした時
意識を失った
「ここに居られると困るので移動しましょう?先生」
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