ファイルNo.3
本庁に戻ったフレインと西は事件の報告書を提出した
課長に今回も猟奇殺人事件であり、進展が無かった事も報告した
フレインは初めて見た光景が未だに脳裏に焼き付いていた、夫婦の体をバラバラにした後にお互いの体を縫い合わせた遺体
あまりに悍ましい行いにフレインは奥歯を噛み締めた
「今回も分からなかったすね」
イスに座ったフレインは軽薄な雰囲気で発した、守れなかった事を悔しく思うが仕事である以上は感情的に表には出さない様にしていた
西の方を見るが書類に夢中なのか反応が無かった
「・・・・」
フレインはバックに荷物を入れ帰り支度を早々に済ませた
「先輩俺疲れたんでもう帰りますね」
バックを肩に担ぎ歩きながら西の後を横切って部屋を後にした
「あぁ、お疲れ」
書類に目を通し、顔を曇らせはれない表情の西は思い詰めたそんな雰囲気
「おい!西居るか?」
そこに1人の男が声を掛けてきた、男の名はスミス、西の同期であり鑑識課魔法解析班の陽気者だ
「どうした?」
突然の事に驚いた様に言葉を返す
「おいおい、久しぶりに飯でもって思って誘いに来たんだぞ」
「あぁ、良いな久しぶりだし行くか」
レストラン【bourbon】
ごゆっくりどうぞ
「なぁー、最近どうよ?なんか事件あったんだろ?」
グラスを片手に聞いてきた、スミスはどこか心配そうだった
「あぁ、また例の事件だよ」
西はとても暗い表情で答えた
「あれ、まだ続いてんのか!」
スミスは驚いた、スミス達に解析依頼が来ていなかったからだ
「あれは手掛かりが無いんだよ、少しでも魔痕があれば追えるんだがな」
西が言う魔痕とは、魔法使用時に発生する魔法の痕跡を解析、追跡する事で使用者を逮捕する事が出来る
「だな、とりあえずゆっくり飯でもしようや」
スミスが手を上げ料理を大量に追加して、
ウィスキーも頼んで酔っ払う気満々だ
「あぁそうだな」
西はスミスのくだらない、話に気持ちを切り替える事が出来た貴重な夜だった
フレイン頭を掻きながら寝ぼけた顔で出勤して来た
「おはざーす」
眠そうに挨拶をして、席に座るとあくびが
止まる事無く、目を覚ます為にコーヒーを取りに席を立ち上がった
西は書類に向かい既に仕事をしていて目をフレインには見向きもしないで仕事に集中していた、昨日の酒はすっかり抜けていた
フレインはコーヒーを持って戻ってきた
「先輩泊まりっすか?」
特に心配している訳では無いが聞いてみた
「そうだお前あの事件の犯人像どう思う?」
「分からないっすね」
唐突に聞かれたが適当に答えた、朝から仕事熱心かよ!と内心思っていた
「前に過去に似た事件が無かったか、そしたら該当する奴らが居た」
西はフレインの方に目線をやりながら過去にあった事件の話を始めた
「!!なら!」
今まで聞いた事も無かった事にフレインは驚いた
「だがそいつ、いやその子達は既に死んでいる」
淡々と話をする西は資料をフレインに渡した
「どういう事すか?」
「その子達は両親を亡くした後、孤児院に引き取られた、その後孤児院は全焼し孤児院に居た子達は全員死亡している」
「じゃあ振り出しですか」
事件解決の糸口が見つかったと思っていた分、拍子抜けしてしまった
「だが、俺達は似た事件から探すしかないんだ」
フレインはありきたりな事を真顔で言う西にコーヒーを吹きかけたがこらえ耐えた
その日西はフレインの動きを見ていた
「先輩書類作成終わらないんで、手伝って下さい!」
西にはフレインが朝から机に向かえって考えている素振りをしているのは見ていたが
一向に手を出さない
イスの背もたれに体を預け手足を伸ばす、コーヒーを取りに行き、戻ったと思ったら、うなだれる
西は口にはあまり出さないだが
思っていた
こいつは確かに仕事はしない、期待する方がダメなのか?
「先輩!先輩聞いてますか?」
「お前の仕事だろ?今は俺も手を離せないんだ、やれる所までやってみろ価格
「えー!分かりましたよ、じゃあ先輩やれる所までやるんで終わらなかったらお願いしますね」
西の甘さが出た
「あぁーやってしまった!おのずと、自分の仕事を早く終わらせないとフレインの仕事が待っている状況になってしまった」
西は内心では後悔をしつつ、仕事を早く終わらせる為に急いだ
西はフレインの様子を時折見つつ仕事をした、フレインも西の言葉に欲初されたのか
机に向かってひたすら戦っていた
午後になり西は課長達と今後の捜査方針の会議で席を外していた
当然、西は午前中に仕事を終わらせ余裕を持って会議に行っている
会議が終わり3時過ぎだった事も有り
少し休憩をしていた西にフレインが話掛けて来た
「先輩会議終わりっすか?」
「終わったよ」
「お前は終わったか?」
「あと少しなんすよ!手伝って貰っても良いすか?」
「分かった、じゃあコーヒー飲み終わったら行くから待ってろ」
「ありがとうございます」
フレインの元気な声に会議で疲れた西は少しだけ、後輩の可愛い姿に癒やされた
「お前も頑張ってたもんな」
「はい!」
西はフレインの頑張る姿を見て、普段は仕事し無くてもやれば出来るんだよな!と思ってしまった
「おい!フレインやるぞ!」
あれ?あいつどこだ!まさか!ボードにはフレイン早退の文字があった
問題の書類作成は全く進んで居なかった、机にはパズルが完成して置いてあった
「あの野郎、悩んでたのはこれを完成させることだったのか!」
その日、西は残業した
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