第17話 保護された村で

 急性きゅうせい魔力過多症マナかたしょうを発症し、発症する前に大海の森で出会った人間の大人達や獣人ビーストの子供達の親と思われる獣人の大人達に保護されたナキは、朝の小鳥のさえずりと共に目を覚ました。

 見慣れぬ天井が視界に入り、現在の自分の状況を思い出す。


(もくせいの天井、たしか俺、ほごされてたんだっけ…?)


 自分が見ず知らずの相手に保護された事を思い出しながら、体を起こしてベッドから少し離れた所にある木の窓の方向を見る。

 既に朝の時間帯になっていたらしく、外は明るくなっていた。

 だが、それよりも前にナキはある光景に釘付けになっていた。


「「「…うわぁあーっ⁉」」」


 どういう訳か窓には大会の森で出会った獣人(ビースト)の子供達が集まっており、その光景を見たナキと目を覚ましたナキを目の当たりにした獣人の子供達はお互いに驚きの声を上げた。


 ナキに至っては驚きのあまり、そのまま後ろ向きにベッドから転げ落ちた。

 ベッドから転げ落ちたナキは頭をさすりながら、ベッドを支えにして体を起こし窓の方を確認する。

 すると今度は人間の子供が一人と獣人の子供が二人という状況になっていた。


(あれ⁉ 一人人間まじってる⁈)


 先程と違い一人だけ人間の子供がいる事に対して驚いていると、ナキと子供達の悲鳴を聞きつけたロウ族の青年が部屋に入ってきた。


「どうした? 何があった、ってお前達!

 こんな所で何してるんだ、早く仕事の手伝いに行きなさい!」


「やばい、バレた!」


「だから怒られるって言ったじゃない!」


「いやだって気になるものは気になるし…」


「っていうかふつうに起きてたぞ! たしか当分起きないみたいな事言ってなかったっけ⁈」


「でも、さっきの男の子も私達におどろいてたよ?」


 狼族の青年に見つかったにも関わらず、子供達は騒ぎながらもナキの事について呑気に話をしている。

 子供達の会話の内容は部屋の中にいるナキと狼の青年にも聞こえており、見かねた狼族の青年は窓に近付くと、窓から体を乗り出して外にいる子供達に向かって説教をかました。


「呑気に話をしている暇があったら他の大人達の手伝いに行かないかお前達!」


「ごめんなさーいっ!」


「やばいフォディオさん怒ってる、早く行こう!」


「ちょっと待ってよ!」


 フォディオと呼ばれた狼族の青年に説教をかまされた子供達は、慌てて他の大人達の所へと走って行った。

 朝から騒々しいやり取りをしたナキは、窓の外で自分の事を見ていた子供達が何をしたかったのか全く理解できなかった。


(なっなんだったんだ、あいつら…)


 子供達の考えている事が全く理解できないナキは、自力でベッドの上に戻り体を休める。

 ベッドから転落した時の痛みはまだ残っていたが、幸いな事に急性魔力過多症でできた傷が開いた様子はなかった。


 フォディオも先程の子供達の行動は全く予想できていなかったようで、少し困った表情をしていた。


「全く、病人相手に何考えているんだあの子達は…。

 すまないな、さっきの子供達はこの村に住んでいる子供達でしばらくの間近付かないよう注意していたんだが、まさか忠告を破って見に来るとは思っていなかった」


「たしかに朝からミセモノみたいな目にあうとは思ってなかったよ…」


 突然目を覚ましたばかりだというのに、自分の様子を覗き込まれれば、驚くなという方が無理だ。

 フォディオが言った通り、病人相手に何を考えているのかと思うナキだが、好奇心旺盛な年頃の子供に興味を持つなという方が無理なのかもしれない。


 だがナキ本人からすれば、見世物のような扱いをされたため良い気分ではなかった。

 ナキの心境を察したのか、フォディオは申し訳なさそうに謝罪した。


「本当にすまない、あとで他の大人達にも伝えて注意する。

 朝食を持ってくるから少し待っててくれ」


 そう言うとフォディオはナキの朝食を取りに部屋を出て行った。

 フォディオが部屋から出て行ったのを確認したナキは、ベッドの上で移動し窓の外を覗き込む。

 やはり窓から直接見ている訳ではないため、はっきり見る事はできなかった。


 だが、外の様子を確認する事はできた。

 窓から見た景色には小さな畑がいくつも作られており、今の時期に実る野菜の収穫が行われていた。

 そして畑の先には見覚えのある木々が見えた。


「あれは、大海の森⁉(この村、ひょっとして大海の森の中にあるのか⁉)」


 自分が保護された村が大海の森の中に建てられている事を知ったナキは、何故ブラッディ・ベアーのような緑階級グリーンランクの魔物がいる森の中に村があるのかという疑問が芽生えた。


 すると部屋の扉を叩く音が聞こえてきたため、ナキはそちらに視線を向ける。

 部屋の扉が開くと同時に、ナキの朝食を持ってきたフォディオとヴァンダルが部屋の中に入ってきた。


「目が覚めたみたいだな坊主。気分はどうだ?」


「朝からミセモノみたいな目にあってさいあくだよ」


「流石の俺もそれは想定外だったわ」


 フォディオから先程の子供達との出来事を一通り聞いていたらしく、ヴァンダルも笑ってはいるが少し呆れた様子だった。

 ヴァンダル本人も子供達の行動は完全に想定だった事に意外性を感じたナキは、子供達のその行動力に驚かされていた。


 そして目の前のテーブルに朝食が置かれると、前刻ぜんこくとは違い普通の白パンとサラダ、簡単にカットされた果物が並べられた。

 果物が乗せられた皿を見たナキは、先程見た畑には果樹が見当たらなかった事から、この果物が大海の森で取ってこられたものだと判断した。


「これ、大海の森で取ってきたくだもの…?」


「よくわかったな、なんでそう思った?」


「この村にはくだものがみのるかじゅが見当たらなかったから…っ!」


 出された果物に気を取られているうちに、ヴァンダルの質問に答えてしまったナキはハッとして口を閉ざした。

 先程の返答で自分が窓の外の様子を見ていた事がバレてしまった事に気づいたナキは、視線をヴァンダルに向けた。

 ヴァンダルは少し険しい表情をしながら、ナキに話しかけた。


「言っとくが、傷が回復しても当分外には出さんからな」


(くそ、バレたか…)


 自分が窓の外を見た事がバレたと悟ったナキは、すぐには村の外どころか部屋の外にも出られる状況ではないと理解した。

 ひとまずナキは出された朝食を食べる事にした。


(コイツらが俺を当分部屋の外に出すつもりがないのはわかった。

 まほうさえ使えればまだだっそうできるかのうせいがあったけど、マリョクカイロがいつ直るかわからないいじょう、まほうを使うことができない…)


 ナキは朝食を食べながら魔法が使えない現状に歯がゆさを感じていた。

村から脱走してディオール王国に向かう事ができないのは勿論、魔力回路が直るまでの間は魔法が使えないと言う事もあり、そのような状態で大海の森の中を進んでも逆に死にに行くようなものだ。


 それに急性魔力過多症によってできた体中の傷と、ブラッディ・ベアーにつけられた左前頭部の傷もまだ治りきっていない。

 その傷が開いて血が流れ出る事で、大海の森に潜む魔物や猛獣がその血の匂いに釣られて集まってくる危険もあった。


 どちらにしても、現在の状況ではとてもディオール王国へ向かう事はできない。

 仮に奇跡的にたどり着く事ができたとしても、魔法が使えない状況では返り討ちに遭うだけだ。

 何より大海の森の中に落としてしまった懐中時計が気がかりだ。


(すぐにでもディオール王国に向かいたいけど、カイチュウドケイが気がかりだ。

 今も話に出てこない以上、きっと見つかってないんだ…)


 懐中時計の話が出て来ていない事から、未だに懐中時計が見つかっていない事を悟ったナキは、気が気ではなかった。

 懐中時計はナキの手元に残ったただ一つの亡き祖父の思い出の品、それだけはどうしても取り戻したい。


 ナキは魔力回路と傷が完治次第、ディオール王国へ向かうよりも先に懐中時計を見つける事を最優先にする事にした。


「……ごちそうさま」


「おし、残さず食べたな? それじゃあ食後のお薬の時間だ」


 ナキが朝食を全て食べ終えたのを確認したヴァンダルは、どこからともなく槿花むくげ色の液体が入った小瓶を取り得出した。

 木槿色の液体を見たナキは、前刻懐中時計がない事に気付いた際に、乱れた魔力を安定させるために飲まされた薬だという事に気付いた。


「それ、たしかきのう飲まされた薬…」


魔力マナ減少薬マイナスポーションだ。昨日飲んで自覚しただろうが、こいつは魔力を減らす効果がある薬だ。

 急性魔力過多症を発症した患者によく使われる薬だ。

 お前さんの体は魔力回路が完全に修復されていないにも関わらず、魔力の方は今も増え続けている以上体への悪影響を受け続けている。

 そこでこいつの出番だ」


「薬のこうかでふえすぎたマリョクをへらして、体へのアクエイキョウをかるくしマリョクカイロをシュウフクしやすくする…?」


「わかってるじゃねぇか。そういう訳で大人しくこいつを飲みな」


 そう言うとヴァンダルは魔力減少薬が入った小瓶の蓋を開け、小瓶をナキに手渡した。

 魔力減少薬が入った小瓶を受け取ったナキは、少し顔をしかめていた。


(この薬、たしか色のわりにはいがいと苦かったんだよな…)


 前刻飲んだ魔力減少薬の味が見た目よりもかなり苦かった事を覚えており、少々気が滅入っていた。


 だが、魔力回路と体の傷を直すためには仕方がないと覚悟を決め、ナキは小瓶に入っている魔力減少薬を飲んだ。

 やはり魔力減少薬が苦かったのか、魔力減少薬を飲みきったナキは顔を歪めていた。


「うげぇ、やっぱり苦い…」


「薬なんて大抵そんなものさ。さぁ、次はガーゼの張り替えと傷薬を塗り直すぞ」


 ナキの朝食の食器を片付けていたフォディオがそう言いながら部屋の扉を開けると、そこにたっていたのはナキに手鏡を渡した狐(フゥ)族の娘が立っていた。

 狐族の娘は持っていた籠をテーブルの上に置くと、籠の中から清潔な包帯とガーゼ、小物入れのような入れ物に入った塗り薬を取り出した。


「よし坊主、今すぐ着てるもん脱げ」


「ことばが足りねぇよ! その言い方だと色々ごかいをまねくだろうが!」


「確かに正論だな」


「ヴァンダルさん、言葉選びに気をつけましょう」


 ナキの手当のために寝間着を脱ぐよう指示を出したヴァンダルだったが、言葉が足りず誤解を招くような言い方であったため、ナキは思わずヴァンダルにツッコみを入れた。


 他の二人も同様だったようで、少々困っていた。

 ヴァンダルは冗談だと笑い飛ばしながら、ナキに寝間着を脱ぐように改めて指示を出した。


 ナキは治療のために寝間着の上を脱ごうとするが、動こうとすると体中に痛みが走るため、思うように動く事ができない。

 そのため、フォディオの手を借りる形で寝間着の上を脱いだ。


(改めてみると、体中の本当にきずだらけなんだな。

 あの時はかなりのしゅっけつりょうだったと思うけど、しゅっけつたりょうで死ななかったのはある意味キセキだな…)


 自分の体に巻かれた包帯が外されていく様子を見ながら、自分がどれだけ危険な状態だったかを改めて実感するナキ。

 傷口に塗り薬を塗られた際は少し痛みを感じたが、さほど酷い痛みを感じる事はなかった。


 それから傷の手当ては順調に進んでいき、体全体の手当てが終わると最後にブラッディ・ベアーにつけられた左前頭部の傷の手当に入る。

 頭に巻かれた包帯が外され傷があらわになると、狐族の娘は少し驚いたような声を上げた。


「あら? この傷…」


「どうした薬師の嬢ちゃん。なんかあったか?」


「他の傷もそうだったのだけど、結構塞がってきているのよ」


「え、ちょっと手鏡見せて」


 狐族の娘の言葉を聞いたナキは、すぐさま手鏡を要求した。

 狐族の娘は持っていた手鏡をナキに渡し、手鏡を受け取ったナキはすぐさま左前頭部の傷を確認した。


 手鏡には急性魔力過多症の中期症状の特徴である赤黒い隈と、ブラッディ・ベアーによってつけられた痛々しい左前頭部の傷が映っていた。

 だがその傷を見たナキはすぐに疑問を抱いた。


(おかしい、あの時かんじたいたみからしてかなり深くきずがついたはずなのに。

 俺の予想よりも深くない…)


 自分の左前頭部の傷を見たナキは予想よりも傷が深くない事に困惑していた。

 仮に治り始めているからだとしても、この回復の仕方には疑問しかなかった。

 そこで思い出したのは、スターリットに保護されて初めて意識を取り戻した際、担当医だった業魔ごうまがナキの回復が予想より早いという言葉だった。


「本当だ、最初に見たときよりもきずが塞がっている…」


「お前さん、かなり傷の治りが早い体質みたいだな」


(昔からきずの治りだけは早かった気がするけど、この治り方はおかしい)


 傷の治りは早いほうだと自覚はあったが、その早さに異常を感じたナキは自分の身に何が起きているのかわからなかった。


 それから左前頭部の傷の手当が終わると、ヴァンダル達はそのまま部屋を出て行き、再びナキは人になった。

 一人になったナキはベッドでヨキになりながら、自分の体中の傷について考えていた。


(よそう以上にきずの治りが早い、それがもし本当だとすればよそうよりも早く外に出られるかもしれない。

 そうなればカイチュウドケイを探しに行けるかもしれない。

 でも、問題はマリョクカイロのかいふくがどれだけ進んでるかだ。

 もしかすると体中のきずとは別で治りがおそいかもしれない…)


 ナキは魔力回路と体の傷の治りの速度には違いがあるのではないかと考え、その事を気にしていた。

 体の傷の様子を見る事ができても、魔力回路の見方などわからないため、治り具合を確認する方法を知らないため確認できない。


 その事を考えていると、テーブルの方から物音が聞こえてきたため何事かと思いテーブルの方を見ると、そこには五冊程の本が置いてあった。


「本? さっきまで置いてなかったはずなのに、どういう事だ…?」


 そんな事を疑問に思いながら、ナキはテーブルの上に置かれた五冊の本の内の一冊を手に取り、本の表紙を確認する。

 本の表紙にはこの世界の歴史について書かれている内容らしく、ナキは本を読み始めた。


「このレキシショ、今から十年前に起きた出来事についてまとめられたシュウロクシュウみたいなものか?」


 本の目次に書かれた内容から、十年前に起きた事件について纏められた収録集のような者だと知ったナキは、そのまま歴史書を読み始めた。

 雪消月ゆきぎえづきの十四刻に起きたとされる『幻獣大量死事件』、卯花月の三刻に発生したという『黒死草こくしそう大量発生異変』。


 葉落月はおちづきの二三刻に『戒光悪神かいこうあくしん信仰教団しんこうきょうだん』が起こした『十戒光テロ』といった、元いた世界では考えられないような事件が起きていた。

 それら全てに共通しているのは、必ず魔法が関わっているという事だ。


 これらの事件を纏めた著作者はその点を気にする事はなかったのだろうが、この世界の事を把握しきっていないナキにいかに魔法が危険なのかを伝えていた。

 自分の命が危険にさらされたのは勿論、周りへの被害も計り知れない。

 当たり所や威力によっては下級魔法でも人が死ぬ危険がある、ナキはその事を思い知らされた。


(このレキシショにまとめられてる事件、どれもまほうのせいで起きてる…。

 この世界ではこんな事が当たり前のように起きてるのか?

 それにこの初霜月はつしもづきの十刻に起きてかいけつするのに暮古月くれこづき末までかかったていうこの事件、かなり世の中をさわがせたとか、そんなレベルじゃない)


 最後にナキの目に映ったのは、刈稲月の十刻から暮古月末まで起きていたという『禁忌魔法発動事件』は、かなり印象強い物だった。

 仲間は一切おらず主犯はただ一人、犯人はたった一人で二ノ月以上もの間ライフ大陸の北東にあるフリー大陸を恐怖に陥れた。


いくつもの禁忌魔法を発動させては、フリー大陸にある大きな街や都市を破壊して回り、大勢の死傷者が出た。

 禁忌魔法発動事件を解決するに当たり、大勢の犠牲者も出たため十年前の事件の中で一番酷い事件であると同時に、一〇〇〇年の間で最も酷い事件第十位にランクインする程だったそうだ。


 事件解決者の中には名前が記されていない代わりに解決者の二つ名が記されており、〝いにしえの魔女〟と呼ばれる人物の二つ名を目にした時、古の魔女の正体がアリョーシャだと確信すると同時に、どれだけその事件が危険な物なのかを悟った。


(ロリババアがちょくせつ関わるほど、ひどい事件だったんだな…。

 きんきまほう、その辺りはくわしく書かれてないけど呼び方からしてこだいまほう並みに危険なまほうにちがいない。

 それに、主犯のしんきょうが俺に似てる…)


 ナキは禁忌魔法発動事件を起こした主犯の心境が自分に似ている事に気付いた、どれほど努力しても周りから認めてもらえず、挙げ句の果てに追放された事で憎しみに捕らわれ、国一つ滅ぶとかそのようなレベルではなく、一つの地方に存在する国全て滅ぼしかねない事件。


 ナキが実際に行おうとしているディオール王国にいる優達への復讐も、古代魔法であるエンしぇんと・レビンも国一つ滅ぼせる威力を持つ。

 その事を考えるとどうしても今の自分がやっている事が、禁忌魔法発動事件の主犯と全く同じ気がしてならなかった。


(たしかに優たちにふくしゅうはしたい。

 でも、無関係な人間をまき込むひつようはないし、でも俺をないがしろにしたアイツらはゆるせない…)


 禁断魔法発動事件の内容と主犯の心境を知ったナキは、ディオール王国にいる優達への復讐に対して少し悩み始めた。

 ディオール王国にいる優達に復讐するという事は、無関係な人間を大勢巻き込む事になるのは必然だ。

 そうなると禁断魔法発動事件同様に大勢の犠牲者が出る事になる。


(優たちにふくしゅうするなら、じょうきゅうまほうやエンシェント・レビンみたいなこういりょくのまほうがこうりつが良い。

 だけどひがいの事を考えると、もう少しいりょくを押さえるひつようがある。

 一体どうしたら…)


 そんな事を考えていると、窓際で物音が聞こえてきたためそちらに視線を向けると、窓の外には再び子供達が集まり、ナキの様子を伺っていた。


「「「…うわぁあーっ⁉」」」


「どうした⁉ ってまたお前達か!」


 部屋の外で待機していたフォディオが何事かと部屋に入ると、今朝と同様に村の子供達が部屋の中にいるナキの様子をのぞき見ている光景が目に入ったため、呆れ返っていた。

 ディオール王国にいる優達への復讐を考えるナキだったが、魔法に関する事件の存在とその被害を知り、ほんの少しだけ抵抗を覚えた。



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