第16話 目覚めた場所は

 緑階級グリーンランクの魔物ブラッディ・ベアーと、同格、もしくはそれ以上のランクの魔物と思われる、鉛色のリザードマンから逃げた先で、原因不明の吐血、出血に陥ったナキは、体中から感じる痛みと共にとある一室で目を覚ました。

 自分が今何処にいるのかわからなかったが、謎の症状によって死に掛けた事だけは覚えていた。


(俺、たすかった、のか…?)


 運良く助かったのかと思ったナキは、自分が今どこにいるのかという疑問が芽生え、天井の様子を確認した。

 天井はスターリットの病院とは違い木製、その事から病院ではないというのは分かった。


 次に視線を動かして周りの様子を確認する。

 天井同様に壁は木製、周りはコテージのような雰囲気が強く、アリョーシャと同棲している第一区の仮家という訳ではなさそうだ。


(スターリットにつれ戻されたわけじゃなさそうだな。

 そうなると問題は、おれがいるこの場所は一体どこになるんだ?)


 自分が今いる場所が何処なのかわからず、痛む体にムチ打って上半身を起こし、自分の状態と再度周りの様子を確認する。

 ナキの体のあちこちに包帯が巻かれており、手当てが施され、服も清潔な寝間着に着せ替えられていた。


 魔導書や他の道具が入った鞄は見当たらない。

 部屋の作りと壁の作りから、ログハウスのような建物の中にいるというのがわかった。

 窓に至ってはガラスが使われていないのか、木の戸を全開にしている状態で開いていた。


(まどから少しきょりがある、ここからじゃ外の様子が見れない。

 体のいちを変えれば、上手く見れるか?)


 ナキはなんとか窓に近付き、外の様子を確認して今何処にいるのか予測できないかと考え、体を動かして窓の外を確認しようとした。

 丁度その時、背後の方で扉が開くような音が聞こえた。


 その音に気付いたナキは背後を振り返ると、扉には人間の男が一人立っており、その男に見覚えがあった。

 ナキが大海の森を進む道中、アイス・ウォール氷の壁で閉じ込めた人間の男の一人だ。


 男の姿を確認したナキは、すぐさま右手を構え、フレイム・ショット炎の小球を発動させようとした。

 が、そこで何故か警告音が鳴り出し、それと同時に体中に激しい痛みが走った。

 体中に激しい痛みが走った事で、ナキはフレイム・ショットの発動をやめ、そのままベッドの上に倒れた。


「あ˝っ⁉ ガハッヒュゥ、ヒュゥッ! なん、だ、これ…⁉」


 フレイム・ショットを発動しようとした途端に感じた激しい痛みに困惑する中、しばらくの間鳴り響いていた警告音が、次第に小さくなっていく。

 ナキはベッドで蹲りながら視線を扉付近に向け、人間の男の様子を確認する。


 自分に向けて魔法が放たれようとした事に驚いたのか、人間の男は腰を抜かしてその場に座りこんでおり、あとから来たのかロウ族やフゥ族といった獣人ビーストが数人、人間の男に駆け寄っていた。


(人が、集まってきてる。目がかすんで、上手くかくにんできねぇ…)


 ナキの目の前で起こっているやり取りを上手く確認できず、体の痛みで会話に耳を傾ける余裕もない。

 結果的にどのようなやり取りがされていたのか把握できなかった。


 その後ナキの容態が安定すると、ナキがいるベッドの周りに大人達が集まり、警戒するような眼差しでナキを見ていた。

 ナキ自身も大人達を警戒しており、大人達を睨みつける。

 そしてナキを囲む大人達の中で、ひときわ雰囲気がある人間の中年の男がナキに話し掛けた。


「坊主、お前さん何処から来た? この森はお前さんみたいな子供が一人でいるには可笑しすぎる。

 親はどうした?」


「……親はいない。一人で旅をしてる」


「捨てられたのか?」


「捨てられた、わけじゃない。色々あって住んでた場所から出た」


 捨てられたという人間の中年の男の言葉から、元いた世界にいる実の両親の事を思い出し言葉が詰まりかけるが、親の事はすぐに忘れた。

 そしてスターリットの名前は伏せ、スターリットから出た事を伝えた。

 人間の中年の男は少し考えると、次の質問をする。


「俺の名はヴァンダル・フォン。坊主、お前さん名前はなんていうんだ?

 流石に名無しって訳ではないだろう?」


「……」


 ヴァンダル・フォンと名乗った人間の中年の男に名前を訊ねられたナキだったが、名前を答えようとはしなかった。

 偽名を名乗ってもいいのだろうが、目の前にいるヴァンダルに嘘は通じないと思った。


 自分がいるこの場所がどういった場所なのか把握していない事もあり、名乗るのは危険かもしれないと考えた。


「答える気はないって事か…。坊主、お前さん自分がどういう状況だったかわかってるのか?」


「状況? もしかして、とつぜんトケツしたり、体から血がふきだしたりした事と何か関係があるのか?」


 ヴァンダルに自分の状況について聞かれたナキは、意識を失う前に自分の身に起きた謎の症状の事と関係していると直感で理解した。

 ナキがその事について訊ねると、男はナキが自分の身に何が起きたのか心当たりがあっても理解していないと把握したヴァンダルは、ナキに何が起きたのかを説明し始めた。


「お前さんは急性きゅうせい魔力過多症マナかたしょうを発症したんだ」


「きゅうせいマナかたしょう? なんだそれ?」


 急性魔力過多症と聞いたナキは、聞き覚えのない名前だったため急性魔力過多症が何を意味しているのか分からなかった。

 理解していないナキの様子を見たヴァンダルは、急性魔力過多症の事について説明し始めた。


「魔法士や魔術師が極希に起こす魔力マナ持ち独特の病気だな。

 休みなしに魔法を発動し続けた場合、急性きゅうせい魔力欠乏症マナけつぼうしょうっつう魔力が上手く回復しない症状が発生する。

 だがお前さんの場合、短期間で強力な魔法を発動し続けた結果、急激に減った魔力を回復しようと体が無理矢理魔力を増やそうとした結果、魔力回路が耐え切れずに魔力が漏れ出し、その漏れ出した魔力に体が耐えきれずかなりのダメージを受ける。

 間違いなく命に関わる症状だ」


 魔法を使い続けた結果、知らず知らずのうちに命の危機に陥っていた事を知ったナキは、信じられないという表情だった。

 そんなナキをよそにヴァンダルは話を続ける。


「症状が深刻化する前に初期症状があった筈だ。心当たりは?」


「しょきしょうじょう……っ!」


 急性魔力過多症の初期症状に心当たりはないかと聞かれたナキは、ある事を思い出した。。



*****



『ケホッケホッ! …カゼかなぁ?』



*****



「もしかして、六刻前から出てたせき…?」


「六刻前? 妙だな、症状進むのに四刻早い…」


「?」


 ヴァンダルはナキが起こした急性魔力過多症の進行具合について何か呟いていたが、ナキは上手く聞き取れていなかった。

 どちらにしても、ナキは六刻の間収まらなかった咳の正体を知ってゾッとした。


 エンシェント・レビン習得時に納まらなかった咳の正体が、急性魔力過多症の初期症状であり、自分が命に関わるサインを見逃していたのかと思うと、不安しかなかった。

 ヴァンダルは少し考えながらも、ナキに話を続ける。


「どちらにしても当分魔法を使うのは禁止だ」


「まほうきんし⁉ なんでだよ⁉」


ヴァンダルから魔法の使用を禁止されたナキは、すぐさま反抗した。

それに対しヴァンダルは冷静に対応する。


「さっきも言った通り急激に増えれ魔力回路から漏れ出した魔力に体が耐えきれず、かなりのダメージを受けてお前さんは死にかけた。

 今は魔力の量が増えるのを抑えられているが、お前さんの急性魔力過多症は完治してねぇ」


「一体何をこんきょに…」


「今の自分の顔を見ても、同じ事が言える?」


 ヴァンダルに反論しようとするが、その途中で狐族の娘に手鏡を差し出された。

 ナキはどういう意味だと思いながらも、差し出された手鏡を受け取り、自分の顔を除き込んだ。

 そして鏡に映ったのは、目の下に赤黒い隈ができた自分の顔だった。


「なっなんだこのクマ⁉」


 目の下にできた赤黒い隈を見たナキは、今まで見た事がない色の隈に動揺していると、ヴァンダルは言葉を紡ぐ。


「その赤黒い隈が何よりの証拠だ。

 お前さんは急性魔力過多症の後期に入りかけてたんだ、そうなれば魔力回路がズタボロになって二度と魔法が使えなくなる。

 さっき見たく無理やり魔法を使おうとすれば、体が漏れ出た魔力に対して拒絶反応を起こし、体中に激痛が走るぞ」


「!(さっきフレイム・ショットをはつどうしようとした時に感じた痛みは、そういう事だったのか!)


 最初に部屋に入ってきた人間の男に向けてフレイム・ショットを発動しようとした際に体中に感じた激しい痛みの正体が、急性魔力過多症によってボロボロになった魔力回路から漏れ出た魔力に対し、体が拒絶反応を起こした反応だと理解した。


 それと同時にブラッディ・ベアーと鉛色のリザードマンから逃げたにも関わらず、警告音がなりつづけた理由もわかった。

魔法を使い続ければ死んでしまうという事を知らせるための物だったのだ。

 その事を考えている内に、自分がどれだけ眠っていの課という疑問が浮かんだ。


「ちょっと待て、俺は何刻なんこくぐらいねむっていたんだ⁉」


「意識不明な状態で運び込まれてから丁度一週間だな」


(一週間もねむってたのか! たしか俺がたおれた日にはもう水張月みずはりづきになってたはず、一刻ひとこくでたおれてから一週間、そうなると今日は水張月の八刻はちこくとうの祈り日。

 それでいて完全になおってない…)


 一週間も意識を失い、体はボロボロで当分魔法が使えない状況だと知ったナキは、自分にとって最悪の状況である事を嫌でも理解した。

 そして今の問題は、いつ魔法が使えるようになるのかだ。

 魔法が使えなければ、優達に復讐するどころか旅の道中に身を守る事ができない。

 ナキは静かな声でヴァンダルに訊ねた。


「……いつまで、まほうを使わなければいいんだ?」


「魔力回路が治り、魔力の流れが安定するまでだ。

 話は終わりだ。お前さんは完全に急性魔力過多症が完治するまで大人しくしておけ、わかったな?」


 そう言うとヴァンダルは立ち上がり、そのまま獣人達の代表と思われる狼族の男に声を掛け、そのまま部屋を出て行った。

 そしてヴァンダルにつられる形で他の獣人や人間達も、部屋から出て行った。

 一人部屋に残されたナキは、急性魔力過多症を発症した原因を考えていた。


(きゅうせいまりょくかたしょうをはっしょうした原因は、きっとじょうきゅうまほうとエンシェント・レビンばかり練習してたせいだ。

 うかつだった、まほうを使った場合のリスクをはあくしておくべきだった)


 上級魔法とエンシェント・レビンを集中的に発動した結果、凄まじい量の魔力を消耗し、その影響で魔力回路が破損してしまった原因だと気付いた。

 ディオール王国にいる優達への復讐に捕らわれた事で、魔法の使用上のリスクを全く考えていなかった事に対し悔しがる。

 それと同時に、一年前にアリョーシャに言われた事を思い出す。


『今の貴方は危険すぎるわ。体も、心も』


「俺が危険って、こういう事かよ…っ!」


 アリョーシャはナキが魔法を覚えれば、間違いなく急性魔力過多症を発症する事を見越していたのだと気付いたナキは、憤りを感じた。

 どちらにしても、ダメージを負った魔力回路の回復と乱れた魔力が安定するのは勿論、体の傷を治さない限り自由に動く事ができないのは事実だ。


(きゅうせいまりょくかたしょう、知らなかったとはいえ本当に危険な病気だ。

 まほうが使えるようになったら、遅れた分を取り戻さないと……っ!)


 ナキは魔法が使える状態になったら意識を失っている間、特訓できなかった時間を取りもどさなければと考えながら、胸元に手を当てる。

 その瞬間、ある違和感に気付いた。

 違和感に気付いたナキは、自分の胸元を見て、すぐさま部屋の周りを見渡す。

 そうしている内に、ナキは自分にとって大変な事に気が付いてしまった。


「カイチュウドケイがない!」


 そう、唯一ナキの手元に残っていた亡き祖父との思い出の品である、懐中時計が無くなっていたのだ。

 こちらの世界に来た時にも懐中時計以外の祖父との思い出の品はいくつか持っていたが、それらは全て大海の森に追放された際に鞄ごと取り上げられており、現在ディオール王国にある。


 それ以外は元いた世界の実家にあるため、ナキの手元に残った祖父との思い出の品は懐中時計だけなのだ。

 懐中時計が部屋の中にないと気付いたナキは、そのままの勢いでベッドから飛び出そうとするが、体中に痛みが走り、途中で動きが止まる。


 途中で止まったせいで、ナキはベッドから勢いよく転落してしまった。

 勢いよく転落したせいでかなり大きな落下音が鳴り、部屋の外まで響いたのか、部屋を出て行ったヴァンダルが部屋の中に入ってきた。


「何やってんだ坊主⁉ さっき大人しくしておけって言ったばかりだろう!」


「とっと時計…」


「は?」


「俺の時計、おれが持ってたカイチュウドケイがないんだ!

 じいちゃんからもらった、カイチュウドケイは今どこにあるんだよ⁉」


 ナキは痛みで体が動かせないまま、ヴァンダルに懐中時計の所在を訊ねた。

 意識を失っている間に、鞄同様取り上げられたと思ったナキは、すぐさま懐中時計の返却を求めた。

 だがそこで、ヴァンダルは予想外の言葉を発した。


「懐中時計? お前さんそんなもん持ってなかっただろう?」


「何言ってんだ! 首からずっと下げてただろう⁉」


 自分が懐中時計を持っていなかったと言われたナキは、すぐさま反論する。

 ナキが覚えている限り、大海の森に再び訪れてから自分から懐中時計を外した記憶はない。

 そうなると、意識を失っている間に落とした可能性が嫌でも浮かび上がってきた。

 その可能性に気付いてしまったナキは、血の気が引いて顔を青ざめさせた。


「さっ探しに行かなきゃっゲホッゲホッゴホッ!」


 失くした懐中時計を探しに行こうとするナキだったが、再び体に激しい痛みが走り、激しく咳き込む。

 それと同時に再び警告音が鳴り始めた。


 恐らく懐中時計を失くした動揺で、落ち着いていた魔力の流れが乱れてしまったのだろう。

 ヴァンダルもその事に気付いたらしく、ナキの傍に駆け寄る。


「わかったわかった、坊主の懐中時計はこっちで探してやるからお前さんは大人しくしていろ!

 すまん、魔力減少薬を持って来てくれ!」


 ヴァンダルは容態が悪化したナキをベッドに戻し、部屋の外にいる者達に魔力減少薬という名の薬

を持ってくるように大声で指示を出す。


 ヴァンダルの焦った声を聞いてただ事ではないと悟った狐族の娘が、槿花(むくげ)色の液体が入った硝子の小瓶を持って来た。

 ヴァンダルは槿花色の液体が入った小瓶を狐族の娘から受け取ると、小瓶の蓋を開け、ベッドの上で苦しむナキの口に小瓶の縁を当てる。


「坊主、この薬を飲め。こいつを飲めば乱れて増えた魔力を抑えられる!」


 ヴァンダルにそう言われたナキは、乱れた呼吸を整えて魔力減少薬と呼ばれた槿花色の液体を飲み始めた。

 魔力減少薬を飲んだ事で、乱れた魔力が安定したのか体の痛みが引いていく。

 その証拠に先程まで鳴り響いていた警告音が鳴り止んでいた。


「よし、魔力の流れが安定したな?

 さっきも言った通りお前さんは当分大人しくしていろ、懐中時計はこっちで探してやる、わかったな?」


 ナキの魔力が安定した事を確認したヴァンダルは、ナキに大人しくしているよう釘を刺すと今度こそナキのいる部屋から出て行った。

 予想以上に体への負荷が大きい事を実感させられたナキは、動く気力がなくなったのかベッドで大人しく横たわっていた。


(ディオール王国にいる優達にフクシュウするつもりが、まさか自分のミスでまた命のききにさらされるなんて…)


 上級魔法とエンシェント・レビンを習得するために集中的に発動した事で、自分で自分を命の危機に晒されるとは思っていなかったナキは、かなり落ち込んでいた。

 それでいて一週間意識を失っていた事、乱れた魔力を安定化させるために魔力減少薬を飲んでせいもあってか空腹に見舞われた。


「腹、へったな…」


 そんな事を考えていると、部屋の扉をたたく音が聞こえて来た。

 部屋の扉があると、食事が乗ったトレーを持った狼族の青年が入ってきた。


「なんだ?」


「君の食事だ。ずっと眠っていて何も食べてないだろう?」


 そう言うと狼族の青年はテーブルの上に食事が乗ったトレーを置いた。

 狼族の青年が運んできたのは、パンをスープで煮込んだパン粥と果実水だった。

 ナキが一週間も何も食べていなかった事を配慮してか、消化に良い食事を用意してくれたのだろう。


 警告音が聞こえないため毒などは入っていないのは分かり、何も食べないという訳にはいかないため、ナキはパン粥の入った器を手に取りパン粥を食べ始めた。


(……おいしい)


 一人で大海の森にいる間、収穫した木の実をそのまま食べたり、自力で狩った鳥や魚を簡単に捌いて焼いただけで対して味は付いていなかったため、ちゃんとした料理を食べたのは久しぶりだ。


 狼族の青年はナキが可笑しな事をしないよう、見張りのつもりでナキが食事をしている様子を見ていた。

 狼族の青年に見張られながらも、ナキは黙々とパン粥を食べ進める。

 そしてパン粥を食べ終え、果実水を飲み干す。


「……ごちそうさま」


 パン粥を食べ終えたナキは、器とコップをトレーに戻す。

 狼族の青年はナキがちゃんと食事をとった事を確認すると、トレーを手に持つとナキに大人しく休むように釘を刺し、そのまま部屋を出て行った。

 狼族の青年が出て行った事を確認したナキは、そのままベッドに横たわった。


(体は、まだ痛む。すぐにでもカイチュウドケイを探しに行きたいけど、このじょうたいじゃ当分むりだ。

 こわれてたらどうしよう…)


 ナキは失くした懐中時計が壊れてしまったらという不安を感じていた。

 顔を動かして窓の方を確認すると、夕方の時間帯なのか、外の光は橙色に染まっていた。


(いつもカイチュウドケイで時間をかくにんしてたから、少しふべんだな…。

 カイチュウドケイ、取り戻したいな…)


 そんなことを考えながら、ナキはうつらうつらと舟を漕ぎ、そのまま眠りに誘われた。


――――――――――――――


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