第7話 訓練区と魔法の実戦

 偶然の騒ぎから第二区に行くことができ、運よく魔導書の存在を知る事ができたナキだったが、あれ以降第二区に行く事は出来てはいなかった。

 あとで聞いた話ではあるのだが、あまりにも急な出来事だった事もありグロウズ・ガーデンの職員全員にはナキの情報が完全に行き届いてはいなかったらしい。


 魔導書を紹介してくれたオーシャもその一人だったようで、厳しい処罰は受けなかったそうだ。

 現在のナキはアリョーシャの授業を受けていて、スターリットがどのように成り立っているのかについて聞かされていた。


「このスターリットは六つの居住区と四つの農業区、酪農区と養殖区と植林区が三つずつ、宿場区と工房区が二つ、そして情報管理区、訓練区が一つずつ。計二十四個の区によって成り立っているのよ」


「居住区六つとじょうほう管理区とかくんれん区って場所の事はなんとなくわかったけど、同じ区がふくすうあるのにかんしてはどうなんだよ?」


「居住区以外にも人が住んでいる場所だってあるわ。観光目的で来た旅行者を除いても千万人以上いるのよ」


「せんって、ここ千万以上もいるのかよここ⁉」


 アリョーシャの口から千万人以上の住人が住んでいるという事を聞いたナキは思わず驚いた。

 それだけの人数だと国一つ分の土地があるという事があるという事がわかり、スターリットがほぼ国のような場所という事になるのだ。


「それだけの人数となると他の場所から輸入に頼り切る訳にはいかないでしょ?

 だから同じ区が必然的に多く存在するのよ。本当なら他の区も案内してあげたいけど、前にも言ったように今の君を他の区に連れて行く事はできないわ」


 それから一時間ほどスターリットについて学び、授業が終わるとアリョーシャは何処からともなく小説や図鑑を含めた本を数冊取り出した。

 アリョーシャはナキの暇つぶし用の図鑑や小説の類の物を与えていたが、その中に魔導書はなく、その事に対して不満を抱いていたが、魔法以外に関する本や物資などに関しては何の問題もなく提供されている事から文句の言いようがないのだ。


「ゆいいつ手元にあるのは、このマドウショだけか」


 アリョーシャから暇つぶし用の本を受け取り自室に戻ったナキは、枕の中から一冊の本を取り出した。

 それは第二区に行った際にナキが知らぬ間に魔法を発動させグロウズ・ガーデンの天井を突き破った拍子に他の階から落ち、偶然にもナキの鞄に入っていたものだったのだ。


 ナキ自身も気付いたのは連れ戻された後の事であったため、定期的に隠し場所を変えながら記されている魔法の内容を覚えていた。

 ちなみにその魔導書には付与魔法エンチャントという種類の魔法が記されており、使い方によっては役立つと考え少しずつ付与魔法を覚えていた。


(それにしても、やっぱり気になる。俺がウィンド・ブレードをはつどうさせた時のいりょくを見たオーシャの反応からして、あれはいっぱんてきないりょくじゃなかった。

いや、それ以前に俺自身でも自分のことがわかってないことが多い)


 自分には適性がないと月の至高神から断言されていたためナキ自身もそう思っていたが、大海の森で巨大な鳥に捕まった時に始めて魔法が発動し、意識を取り戻した夜に自分の意志で炎を出す事ができた事から、自分には適性があるという事に初めて気づいたのだ。

 そこで月の至高神が言っていた事と自分自身が魔法を使えるという状況は明らかに矛盾している事にナキは疑問を抱いた。


(せめてじっせんしてかくにんできる方法があればいいんだけど……)


 少しでも自分に関する情報を集める事ができないかと考えたナキだが、仮家の壁を壊して外に出ようとしてもアリョーシャの魔法が施されている為、どうするべきかと考えた。

 その時ウィンド・ブレード風の刀身の事を思いだし、初心者が使う魔法とはいえ信じられない威力を発揮したため僅かながらに自信があった事から、試してみる価値はあると考えたナキはしっかりとイメージして、発動させた。


 イメージ通りの形に発動したが、仮家の壁をバネ代わりにするように跳ね返り、そのままピンボールの様に家中に動きまわるという事態に発展した。

 これにはナキもたまらず、自分が発動した魔法から逃げ回る羽目になった。


「うわぁーっ⁉」


「何事―っ⁉」


 ナキの叫び声を聞き自室から駆け付けたアリョーシャは仮家の中で動き回るウィンド・ブレードに驚き、慌てて指を鳴らしてウィンド・ブレードをかき消した。

 ウィンド・ブレードを発動させたナキ本人は無事だったが、仮家の中に置いてあった家具などはボロボロになっていた。


「全くぅ、こんな狭い家の中で魔法を使うなんて何考えてるのさぁ~?」


「かんけいねぇし! 大体、ぜんぜん体動かせねぇしまほうもぜんぜん覚えらんねぇしたいくつなんだよ!」


「だからって中距離攻撃型のブレードをぶっ放すかな普通?」


 ナキが発動させたウィンド・ブレードの影響でめちゃくちゃになった仮家の中を見たアリョーシャは、しばらく考え込むとナキに待っているようにというともう一度出かけて行き、すぐに戻ってくるのかと思いきやナキは突然見知らぬ場所に移動していた。


 何の前触れもなく見ず知らずの場所に移動したナキは何が起きたのか分からず混乱したが、第十六区の病院から今の仮家に移動した時の状況と同じ現象だという事を思いだしたため、自分がアリョーシャによってスターリットのどこかに移動させられたのだと理解した。


「ここは、スターリットのどこだ?」


「ここは第十一区、通称訓練区よ」


「ギャアッ! いきなり後ろから話しかけるな!」


 突然背後からアリョーシャに話しかけられたナキは、現在自分がアリョーシャの授業の際に説明された訓練区にいると知り周りの確認をしてみると周りでは剣や魔法の訓練をしている人々の姿があちこちにあった。


 それだけではなく、第一区や第二区でも見かけた警備隊の制服と同じものを着ている人々が多く見かけられたため、ここは警備隊の活動拠点にもなっているというのが理解できた。


「みて分かると思うけどスターリットの治安を守っている警備隊の本部があり、他にも冒険者になるために武器の訓練や魔法の訓練、それから野宿の練習に実戦もできるよう環境が整えられているの」


「じっせんってブキとまほうの事だよな?」


「実戦というのは、旅に出た際に危険な獣や魔物と遭遇した時のための対処法を学ぶための実戦よ」


 ここで行われる実戦というのは、ナキが思っていたものだけでなく冒険者になった際に危険な獣や魔物と遭遇した時の戦い方や対処法を学ぶためのものだと聞いた際にナキの頭をよぎったのは、大海の森で巨大な鳥に襲われた時の光景だ。


 襲われた時の恐怖は今でも覚えており、確かに初心者の冒険者があの時の巨大な鳥のような魔物や獣と遭遇したらひとたまりもないという事を否でも理解した。


 それだけではなく旅に出るとなると必然的に自給自足の生活になるため自力で食料の確保が必要になり、更には購入した非常食や薬の扱いを間違えてダメにしてしまう事も多いため、ベテランの冒険者が初心者に教えたりするのだそうだ。


「そういう事が無いように実戦を兼ねた訓練ができるように、さまざまなエリアが自然に近い状況で整えられているわ。

無論、獣もいれば魔物だっている」


「魔物⁉ 動物とかならわかるけど魔物まで入れてだいじょうぶなのかよ!

それ以前に、どうやって連れてきた⁉」


「魔物に詳しい人達に捕まえてきてもらってぇ、そのままそれぞれのエリアに放り込んで自然なままに過ごさせているわ」


 説明を受けている内にナキとアリョーシャのもとに二人の警備隊員がやってきた。

 一人は顔の右側と両手首から黒よりの灰色の鱗が生え、頭から鹿の角に似た形をした角、腰辺りから蜥蜴トカゲのような尻尾が生えた男性と、肌が黒く、髪は銀色で赤紫色の瞳と見ためはベリーベルとは違う色のエルフの青年の姿を見たナキは思わず目を見開いた。


(こっちの男は兎も角、こっちのエルフはダークエルフ? なんでけいび隊の服着てるんだ?)


 ナキは元いた世界で読んだ小説では、ダークエルフという種族は基本的には魔王の手先であったり、裏で暗躍していたり、性格は残忍である事が多いと、いわゆる悪役が多い種族なのだ。

 そのダークエルフと思われる青年がなぜか警備隊の制服を着ている事に疑問を抱いたナキだったが、アリョーシャが二人に関しての説明を始めたため一度考える事をやめアリョーシャの話に集中した。


「ナキ、今来てくれたのはラジャーロ・ヴァンデス。

 竜人族(ドラゴニュート)という獣人ビーストではなく魔族アズモディアに属する種族だよぉ。

 そしてその隣にいるのは闇妖精族ダークエルフのアグニ。

 闇妖精族では珍しく生まれた時から大人しく優しい子だよぉ。

 ただし、普段大人しくて優しい分怒らせたら怖いからぁ、怖い思いをしたくなければ怒らせない事よね」


 アリョーシャの言葉から先程までの疑問が解けた気がした。

 闇妖精族と紹介されたアグニは、ナキの中のイメージとは違いとても落ち着いた雰囲気であったためアリョーシャからすれば信頼できる人物であろうと予想できた。

 そうでなければ警備隊の一員として入隊する事すら許されなかっただろう。


 そして竜人族と呼ばれる種族のラジャーロは警備隊の総隊長であると同時に第十一区の区長でもあるためかなりの実力の持ち主のようだ。

 ラジャーロの補佐官は他の区で起きたトラブルの対処に向かっているため、代わりにアグニが付き添っているのかと思いきや、ラジャーロから思わず耳を疑うような言葉が出てきた。


「語り部様、言われた条件に当てはまる警備員を連れてきましたが、本当にその少年の相手をさせるおつもりですか?」


(俺の相手? 何言ってるんだこの人?)


「言われた通りの条件に当てはまる人材がアグニしかいなかったとはいえ、彼の魔法の訓練の相手をさせるのはどうかと思うのですが……」


「はいっ⁉」


 ラジャーロの口からナキの魔法の訓練の相手という、驚くべき言葉が出てきたためナキ本人は素っ頓狂な声を出して驚いた。

 確かに魔法の実践がしたいと直談判したが、まさか本当に、しかもこんなに早く叶えられるとは思ってもみなかったのだ。


 ナキが発動させたウィンド・ブレードで中がめちゃくちゃになった仮家から出たアリョーシャは何かしらの方法で第十一区にいるラジャーロに連絡し、ナキの相手をしても問題のない警備隊員を探してほしいと頼んでいた。

 そしてナキの魔法の訓練の相手として警備隊の中から闇妖精族のアグニが選ばれ、ラジャーロに連れられてナキとアリョーシャのもとに現れたようだ。


「ナキの悲鳴が聞こえたと思ったら仮家の中でウィンド・ブレードをぶっ放して大変な事になってたからね~。

 いい加減ストレス発散させないと仮家がやばい」


「一体何故そのような事になったのですか?」


「それ以前に、この子には魔法を何一つ教えてはいないと聞いていたのですが何故ウィンド・ブレードを発動させる事ができたのですか?」


 アグニにナキがウィンド・ブレードを使えるようになった経緯を話したアリョーシャは、まさか外に出るためにウィンド・ブレードを仮家の中で発動させるとは思っていなかったことを話した。

 それを聞いたラジャーロとアグニは、どこか呆れた様子でナキの顔を見た。


 そんな三人に対しナキは関係ないとそっぽを向いて反省している様子を見せなかったが、不意に指を鳴らす音が聞こえたと同時に再び知らない場所に移動していた。

 周りを確認してみると、闘技場のような雰囲気がする広い部屋で壁には魔導書にもあった精霊文字がびっしりと書かれているので驚いた。


 アリョーシャ曰く、ここは魔法の訓練用に作られたトレーニングルームで壁に精霊文字がびっしりと書かれているのは外に被害が出ないように魔法をかき消す効果と、魔法のダメージを軽減させる効果、どの属性にも対応できるようになっているとの事だ。


「私が壊れた家具の修理をしている間、アグニが相手を、ラジャーロが審判をしてくれる事になったから二人の言う事をしっかりと聞くのよ」


 どうやら二人にナキの相手をさせている間にアリョーシャはウィンド・ブレードでボロボロになった家具の修理を行うらしく、ナキが声を掛ける間もなくその場からいなくなってしまった。


「それでは、説明をするのでこちらに来てください」


「説明って、一体何する気だよ?

 それにさっきアンタが俺の相手をするって言い方じゃまるで組手でもするみたいじゃねぇか」


「まぁ、あながち間違ってはいないな」


「これから行うのは魔法を行使した対戦です。

魔法は扱い方を間違えると大変な事になるという事は、君自身が理解していると思います」


 アグニにそう指摘されたナキは、恐らく仮家の中でウィンド・ブレードを発動させ家具をボロボロにした事を言っているのだろうと予想したが、そんなことナキには関係なかった。

 むしろこれはチャンスだと考えていた。


 ディオール王国にいる優達に復讐しようにも守護神である月の至高神の加護がある為、少しでも対抗するには魔法を覚える必要があった。

 覚える事ができたのはウィンド・ブレードただ一つだけではあるものの、ナキはある事を考えていたためそれを確かめる事ができると考えていた。


 それにアグニが相手をしてくれるという事で運が良ければアグニが使用する魔法を覚える事ができ、使用できる魔法が増える事に期待していたがここで気をつけなければいけないのが付与魔法を使わないようにする事だ。


 付与魔法を使用すれば、ラジャーロとアグニを通してその事がアリョーシャに伝えられ、仮家の自室に隠している付与魔法の魔導書の事がばれてしまう可能性があったからだ。

 ナキとしては残念な事ではあるが、バレる訳にはいかないため我慢する事にした。


「これから行う訓練は先程も言った通り、魔法を行使した対戦だ。

っといても安全面を考慮し、互いに距離を置いての対戦をしてもらう」


「きょりを置いてまほうをこうしするって、具体的にはどうするんだよ?」


「それに関してはこれらの道具を使用する」


 魔法の実戦訓練に関して説明していたラジャーロは、壁際に置かれている戸棚から筒状の道具を手に取るとそれをナキに見せた。


 壁にびっしりと書かれた精霊文字に気を取られていたため、戸棚とその戸棚に置いてある道具の存在に気付いていなかった事に対し、観察力が足りなかったと反省した。

 ラジャーロは筒状の道具の先端を天井に向けてスイッチを押すと、筒状の先端から透明感のある青色のシャボン玉のような物が出てきたためナキへ驚いた。


「シャボン玉? でもシャボン液につけたわけでもないのになんで……?」


「これはターゲット・ロッドっという魔導具(マジックアイテム)だ。

 自分の魔力をターゲット・ロッドに込めると今のようにマナ・バブルという魔力マナでできた巨大なシャボン玉が出来上がる」


「ようはこのシャボン玉を先にこわした方がかちって事だな?

 シャボン玉はアンタが作ってくれるのか?」


「いや、標的となるマナ・バブルに関しては自身の魔力(マナ)で三つ程作ってもらう」


「自分のマナって、水魔法の適性ない可能性があるから作れねぇよ!」


 自分の魔力でマナ・バブルを作ると聞かされたナキは一度も水の魔法が発動する事が無かったため自分の力でマナ・バブルを作る事ができないとラジャーロに文句を言った。

 それに対してラジャーロは持っていたターゲット・ロッドをナキに私、先ほど自分がやったようにして作ってみるように言われたため、半信半疑になりながらもナキはターゲット・ロッドに自分の魔力を込め始めた。


 魔力の放出は第十六区のときに使用された拘束具を破壊するときに何度もやっていたため問題ないが、モノに自分の魔力を込めるという事が初めてであったが、意外にもスムーズにできたため、ターゲット・ロッドからナキの魔力でできた蒼銀色のマナ・バブルが出てきた。


 それを見たナキは思わず歓喜の声を上げ、そのまま指定の数を超えてしまいラジャーロとアグニから注意を受けた。

 作りすぎたマナ・バブルは三つだけ残るようラジャーロが素手で壊していった後にナキはターゲット・ロッドをアグニに渡す。


 アグニがターゲット・ロッドに魔力を込めると、黒交じりの黄色いマナ・バブルが三つ出てきた。

マナ・バブルを見ている内にある疑問が浮かんだ。


「ところで、なんでこのシャボン玉の色全部ちがうんだ?」


「それぞれのマナ・バブルの色が違う理由は自分自身の魔力の質に関係している」


「マナのシツ? そんなのあるのかよ?」


「魔法を行使するには魔力の量も祖必要だが、魔力の質も大きく関わってくる。質によって行使できる魔法の種類の幅も広くもなれば狭まる事もある」


「ターゲット・ロットは水魔法を使用できないものがマナ・バブルを作れる仕組みになっているので、色などは特に関係ありません。

 それよりも、そろそろ実戦に入りましょう」


 魔力には質というものが存在するのだと知り、詳しく聞きたかったがアグニが実戦訓練を催促して来たので魔力のあいつに関する説明は半強制的に終了させられたため、ナキは不服に思った。

 ナキとアグニは自分の魔力でできた三つのマナ・バブルと共にラジャーロに言われた指定された場所に立ち、これから行う訓練に関する説明を始めた。


「これから行ってもらうのは互いのマナ・バブルを自身の魔法で割ってもらう訓練だ。

 制限時間は一〇刻みとし、先程作ってもらった三つのマナ・バブルを先に全て割る、もしくは制限時間内に一つでも多く割った者の勝ちとする」


「自分のマナ・バブルがこうげきされた時にまほうでのぼうぎょは?」


「防御に関しては許可するが、相手に攻撃だけはしないよう気を付けてくれ」


 そこまで説明するとラジャーロは戸棚から砂時計のような魔道具を取り出すと、宙に放り投げた。

砂時計の魔道具は落ちる事無く宙にとどまると、そのまま大きさを変えた。

 大きくなった砂時計の魔道具で時間を計るらしく、ラジャーロは砂時計の魔道具に触れ魔力を注ぎ込んで砂の量を調整した。


(マジックアイテム、そういったものがあるとは思ってはいたけど色々とあるみたいだな。

 だけどじょうほう管理区の事もあるからそっちにもけいかいされてるだろうし、こっちはあきらめた方が良いかもしれない……)


 ターゲット・ロッドやラジャーロが出した砂時計型の魔導具を見て入手する方法を考えたナキだったが、第二区で起こした事故のせいで自分が魔導具を手に入れる事を警戒されている可能性があると思い、魔導具の入手に関しては諦める事にした。

 そして再度訓練の説明を聞き、ラジャーロはナキとアグニの様子を確認すると、力強い声ではっきりと宣言する。


「これより、ナキ=カムクラとアグニの魔法訓練を行う。

 制限時間は五分、先に全てのマナ・バブルを割るか、割った数が多かった方の勝ちとする。

 訓練、始め!」


 ラジャーロは魔法の訓練の開始を宣言すると同時に、宙に浮いた砂時計の魔道具の上下をひっくり返し、ナキの魔法の訓練が開始された。

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