カエルゲコゲコ3ゲコゲコ(命名・文芸部部員 / 猫田クララさん)
「蛙化現象?」
私は目をパチクリさせた。時々、文芸部女子で作品のネタ集めをかねて、女子トークをする。
「そうです、蛙化現象です」
コクリと頷くのは、文芸部一の個性は作家、猫田クララだった。可愛く微笑みながら、爆弾発言をしてくるから、油断ならない。
「あぁ。エッチの途中に、他の女の子の名前を呼ぶヤツいたなぁ」
一年、芥川媛夏。君の交際関係は聞きたくない。
「蛙化現象っていうと……好きな相手を突然嫌いになるときに用いられる言葉ですよね。 蛙化現象は 好きな相手に好意を返された途端、相手が嫌になってしまうことを指しますが、最近ではわずかなきっかけで好きな相手に対して冷めてしまうっていう、意味合いが強いですよね」
音無ちゃん、解説ありがとう。
「部長は、そういう経験ないんですか?」
「ないなぁ」
即答だった。今でも引きずっていると思うが、上川君を見ていて、ドン引きするコトなんてあり得ない。彼女が入りのだから、良い加減諦めろって思うけれど――。
「まぁ、男性側も蛙化現象あるみたいですけどね」
「なぬっ?!」
クララ、少しは手加減して。
「瑛真ちゃんに痛恨の一撃!」
「音無ちゃん、そんな解説はいらないから!」
「実際に蛙化現象をネタとして使えるかですよね。クララどう?」
「デート中に『おならぷぅ』でしょうか?」
「うん、それ蛙化以前の問題!」
「全校集会でおなら――」
「おならから離れて!」
「タイムリーですけど、ニュースで取り上げられていましたよね?」
音無ちゃん、ナイス!
「なになに……デート中のランチで、彼氏の方にご飯が先に来て、気を使って先に食べてと言ったら、本当に食べてドン引き?」
タブレットで検索したニュースを読み上げるが、私は共感できない。
「あぁ。食べてと言いながら、待っていて欲しかったんでしょうね」
音無ちゃん、流石。これで、どうして彼氏が……あ、いえ。なんでもありません。そんなに睨まないでよ。
「もしくは、私を食べて――」
媛夏、ランチ中ってシチュエーションだからね、と私はデコピンをお見舞いする。
「部長! 絶対にラブコメにピッタリなシチュエーションになると自負しています!」
クララが挙手をする。うん、イヤな予感しかしないけど、仕方ない。はい、どうぞ。
「先に食べて良いよって言うじゃないですか」
「うんうん」
「彼氏君……そうですね。仮に冬君と名付けますが、冬君は遠慮がちにこちらを伺います。彼女のエーマちゃん(仮名)は、優しく微笑みます」
「もう、その名前の設定に悪意を感じるけど?!」
「あくまで、仮名です。仮名♪」
「分かった……続けて」
「冬君が、食べようとした瞬間!」
べんべん、と扇子で文芸部――司書室のデスクを叩く。クララ、あんたは講談師か?
「そこで『いただきます!』とすごい勢いで、冬君のご飯をエーマちゃんが食べちゃいます♪」
「「「その行動に蛙化現象だよ(です)!」」」
媛夏を含めて、仲良く声が重なる。
ラブコメになるの?
これなるの?
以上、文芸部女子トークをお伝えしました。
あなたも、犠牲者――いえ、文芸部員にならない?
入部、お待ちしています!
________________
今回のエピソードは限定近況で先行公開していたエピソードでした!
猫田クララは、以前もご紹介しましたが
フォロワー・マクスウェルの仔猫先生をモデルに作成。
クララはジェームズ・クラーク・マクスウェルのクラークから取りました。
女の子にしたかったので、クラークからクララにしたのです。
お読みくださり、ありがとうございます!
息を吸って吐くように口吻を(君がいるから呼吸ができる短編集) 尾岡れき@猫部 @okazakireo
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