その時彼は、棒付きキャンディーを味わう夢を見る

「待っ――た?」


 できるだけ早く駆けて来たのに。

 彼は、公園のベンチで居眠り中だった。


(好きだよね、お昼寝)


 気がつけば、うたた寝をする彼。バスケの試合前もこうなのだ。お馬鹿さんなのか、大物なのか――。


 私は隣に座り、彼を見る。

 睫、長いよね。そっと、指先が目尻に。それから、頬へと。

 誰もいないから。その指がさらに彼の唇に触れた。


「ばーか。どれだけ急いで来たと思っているのよ?」

 無防備な表情、晒しちゃってさ。そんな顔、他の人に見せちゃダメだよ――そう呟いた瞬間だった。


 ちゅっ。

 そんな音が響く。


「ちょ、ちょっと?! 空君、起きて? 起きて! お姉さん達が来ちゃうから」






 私の指が咥えられたまま、約束まであと10分――。





________________


X(旧Twitter)で開催

毎月300字小説

第18回テーマ「指」に参加しました!



今回の作品……反省はしますが、後悔はしていません!

バブみのある空君、いかがだったでしょうか?

翼ちゃんが、、変な性癖に目覚めないことをただ祈っています(笑)



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