君の幸せを願う
冬に産まれたからか。寒い時期、受難にあう。
1歳の時、水疱瘡で入院したのが切っ掛けで寒中参りを始めた。
「一人で行かないで、一緒に拝ませてよ」
奥さんに言われ、一緒に参拝した。
2回目は登校拒否をした時。トラウマから娘が過呼吸を起こした。
そして3回目――。
「俺は行かないよ」
「いいよ、私が応援したいだけだから」
奥さんはそう微笑む。娘が恋をしたのは明らかだ。プリントを持ってきてくれるクラスメートは娘を否定しない。むしろ包み込むように受け止める。娘の笑顔が増えたのは彼のおかげだった。
「お参りしないんじゃなかったの?」
俺はそっぽ向く。笑うなら笑えよ。
だって仕方ない。親だから、やっぱり娘の幸せを願ちゃうよ――。
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第82回Twitter300字SS参加作品
テーマ「祈る」。
本文、文字数300字ジャスト。
大地さんと春香さんの一幕でした。
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