敗北と真実



 私は負けた。

 36人目の正体に自信を持つ事が出来なくなった。


 そしてあれから、半年が過ぎた。


 少女・夢が死亡してから一年が経過していた。


 36人目の夢がでてきたのは、推理を披露した、あの一度だけ。

 全員がそろったのはあれきり。


 それ以来はまったくだった。

 

 そして、一年経った時。


 私は真実を聞かされた。


俺「話すべきだと思ったから、話すよ。半年前、俺達の事を考えて戦ってくれてありがとな」


 その少年は告げる。


 かつて。

 病に倒れて死ぬ事になった一人の少女がいる。


 彼女はやりたい事をたくさんノートに書いていた。

 けれどそれを全部は出来なかった。


 だから、それを、思い出を。


 前借りしてから、この世を去っていったのだった。


 それは35人と交わした約束だった。

 一度は34人が否定し、後に再び交わされた35人の約束。


 夢は生き続けた。

 ノートにかかれていた事をやり続けるための時間、一年間を限定として。

 だからそれまでは皆が協力して、夢を作り出していた。


 実行犯は双子の二人だったが、協力していたのは全員。

 35人全員が共犯だった。


 彼等がしたその行いは、正しくない行いだったかもしれない。


 けれど彼らなりの、弔いだった。


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