欠片06 夢見がち



 手をずっと上に向けていれば、いつか星が手に入るような気がしてるんだ。


 彼女は、昔。


 そんな夢見がちな事を言っていた。


俺「そんなわけねーじゃん」

夢「意外とリアリストだよね」


 夢見がちな少女だから夢。

 その少女の名前はとても覚えやすい名前だった。


俺「こんどまくらのねーさんとか、ひさめんもいっしょに、ここにこようぜ」

夢「うん」


俺「バーベキューセットとかテントとかもってきてやったら、楽しいだろうな」

夢「きっと賑やかになるね」


俺「またこようぜ」

夢「そうだね」


 夜は、更けていく。

 結局、二人だけでしかつずられなかった、思い出の夜は。




 駒はそろった。


 協力者もそろった。


 だからあとは始めるだけ。


 一年間、演じ続けるだけ。


 35人いる中で、一人をつくりだすのだ。



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