欠片05 購買がこむ



 俺は購買の前でどんよりとした、クラスメイトのひさめんを発見した。


ひさめ「でおくれた」

俺「ひさめん、どした? いつも弁当派じゃん」

ひさめ「今日は色々あって忘れたんだよ」

俺「さ~いな~ん」

ひざめ「うざ」


 指でつんつんしたらはらいのけられた。


 購買は混んでいる。


 めっちゃ、人がいる。


 弁当を作ってこれなかった人や、購買マニアが押し寄せている。


 それは壁の様になっていた。


 たぶん、ちょっとやそっとの力ではわりこめない。


 けれどもたもたしていると、良い商品はすぐ売り切れてしまう。


 だから、遠慮せずに購買利用者達は、人の波をかきわけて進まなければならない。


 さもないと、売れ残った美味しくない商品を買わなければならなくなるから。


 だから、とつげき!


俺「いてててっ、いて」


 けれど、初心者が無理にかきわけようとすると、強烈な洗礼をあびる。


俺「だぁ、誰か俺の足踏んだだろ! いてーっ」


 わが校の購買は、慣れてない奴は、人に弾き飛ばされて、まったく前に進めないのだ。


 その点彼女は猫みたいに人の間をすりぬけて、器用だった。


 あの身のこなし、見習いたかった。


ひさめ「……俺、昼食ぬきでもいいわ」


 すたすたすた。


俺「ちょ、ま、みすてないでひさめ~ん」


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