欠片04 扇風機来た



 教室に扇風機がついた。


 彼女の家のご両親が、わざわざよこしてくれたようだ。


 中古家電で修理したものだから、すぐ壊れるかもしれないと言われたが。


 ありがたい。


 事実、クラスメイトはとても喜んでいた。


俺「いやったぁぁぁ! ひゃっほおおおおうい!」


 皆ほっとしている。


 なにせ、この教室、今までめちゃくちゃ暑かった。


 地獄の様な気温を毎日たたき出していた。


 それに比べれば、今は天国のようなものだった。


 そよ風ていどのものでも。


 今頃、昼の新聞をポストまでとりに外へ出ているだろう、ご両親の姿を思い浮かべていた。


 この前訪問した時は、ポスト前に綺麗な踏み台が置いてあったから、まだ注文しているはずだ。


俺「天国だ! ってのはいいすぎだけど。ひさめんがあつがりだからな」


 眼鏡をかけた真面目優等生が「ひさめん言うな」と力なくつぶやいている。


 いつもの切れがないつっこみだ。


 クラスメイトのつっこみ担当も、今までは力なかった。暑さにな勝てなかったようだ。


 しかし、扇風機のおかげでそれも復活するだろう。


 

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