欠片03 砂漠あつい



 あつい。

 干からびる。


 なんで、こんなくそ重いよろい着せられて、砂漠を延々と歩かされなくちゃならないんだ。


 お偉いさんの護衛?

 要人の警護?


 崇高な任務?

 誉れある職務?


 そんなもん、もうどうでもいいよ。


 オアシス見つけて、水のみたい。

 木陰見つけて、涼みたい。


 あー、あつい。

 あついあついあつい。


「おい、うるさいぞ新人!」


 へいへーい。


「何だこの新人。めっちゃふてぶてしい。誰が拾って来たんだ」


「ああ、そいつは、団長が拾って来たんだよ。町で団長に殴りかかったんだってよ」


「はぁ? 団長に! 団長の顔知らないやつとかいんのかよ馬鹿だろこいつ。かなうわけねーのに馬鹿だろ」


 おい、聞こえてんぞ。


 しょーがねーじゃん。


 あの時は、団長が女の子にすごんでるよーに見えたの。


 女の子が怯えて助けを求めてるよーに見えたの。


 女の子の方が悪い子だって知らなかったの。


 団長から財布すってたなんて、あの子勇気あるよなー。


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