2話 甘くてただれたエッチな日常



 俺、薮原やぶはら 貴樹たかき


 今年2025年で、27歳になる。


 俺は都内にあるでかいマンションに引っ越した。


 その日の夜……。


「はぁー……♡ はぁー……♡ はぁー……っ♡ んぅ……♡」


 ベッドの上では裸の女子大生が、白目をむいて気を失っていた。


 全身汗びっしょりで、荒い呼吸を繰り返している。


 背が高く、すらりと綺麗な肢体を持つ彼女は……贄川にえかわ 五和。


 俺の、嫁である。


「やっほーおにいさーん。終わったー?」


 全裸の上からパーカーを羽織った真琴が、ペットボトル2本を持って現れる。


 ぽーん、と真琴から放り投げられたボトルを手にする。


「ああ」

「ありゃー……こりゃまた激しくやりましたのぉ~」


 五和は全力疾走した後のように激しく呼吸を繰り返している。


 緩んだ口元からはよだれが垂れて、小さくあえいでいる姿はとてもエロい。


「おーい、いっちゃーん。生きてる~?」


 真琴は五和の隣に座ると、頬をぺちぺちとたたく。


 五和はゆっくりと体を起こす。


「……こ、腰が……がくがくして……まだ……からだが、しびれる……」


「そかそか♡ お兄さんめちゃ上手だからね~♡ しかたない。あ、ほらお水だよー♡」


「あり……がと……でも力が入らない……よ」


 体力を使い尽くしたのか、五和がふらふらしている。


「しょうがないなぁ~。ぼくが飲ませてあげる~♡」


「え……?」


 真琴がペットボルトの蓋を開けて、中身を口に含む。


「ま、マコ……なにを……んぅ♡」


 真琴は五和の唇に、自分の唇を重ねる。


「んぅ……♡ んちゅ……♡ ふぅ……♡」


 こくこく……と五和が喉を鳴らす。


 口移しで飲み物を飲ませて居るみたいだ。


 裸のびしょうじょが組み合って、キスをしている……。


 な、なんかエロいな……。


「はい、おーしまい♡」

「……ま、マコ……やめてよ。お兄さんの前で……胸が痛い……」


「だいじょーぶだいじょーぶ。ね~♡」

「ん。まあ」


 二人が仲いいのは知ってるしな。


「はいじゃーいっちゃんおやすみね! 次はぼくの番だー!」


 真琴がびょんっ、と飛びついてくる。


 パーカーを脱いで全裸を惜しみなくさらし、俺の上に覆い被さってくる。


「おやおや~? お兄さんのあそこ♡ おっきくなってますなぁ~♡」


 真琴がにまにま笑って、俺の股間をぺろんと触る。


「ぼくといっちゃんの百合プレイに興奮したとかー?」


「まあ……なんか取られた気がして」


「取らないよ♡ だーってぼくらの身も心も、赤ちゃんのお部屋も♡ ぜーんぶ、お兄さんのものだもーん♡」


 ちろ、と舌なめずりをした後、真琴が俺のものをくわえる。


 そして行為が開始される……。


 ……ややあって。


「あ゛……♡ う……♡ あ……♡ うぅー……♡」


 真琴がさっきの五和ちゃんみたいに、白眼むいて気を失っている。


 全身汗びっしょりで、幸せそうな笑みを浮かべて、あちらの世界に行ってるのだろう。


「……お兄さんって、なんでこんなに上手いんです?」


 一部始終を近くで見ていた五和。


 今彼女は俺の膝の上に、馬乗りになって、向かい合って座っている。


「……体力もほぼ無尽蔵ですし」


「そこの性欲お化けと、3年前からやりまくってたら、自然と上手くなってな」


 真琴と付き合ってから3年近く。

 暇さえあれば俺と真琴は行為を繰り返していた。


 スポーツと一緒で、反復練習が上達への道のりなのだろう。


「……だとしても、お兄さん……んっ♡ 上手……すぎ、です」


 俺は五和ちゃんのスレンダーで、けれど張りのある、滑らかな体をぎゅっと抱きしめる。


「そりゃあどうも。満足した?」


「……はい。でも……もう少し、こうしてたいです」


 行為を終えた後も、五和ちゃんは俺の膝から降りない。


「……背中、なでて欲しいです♡」


「あいよ」


 俺は赤ん坊にするように、優しく背中をなでる。


 くたぁ……と五和ちゃんが体から力を抜いてよりかかってくる。


「意外と甘えん坊なんだな、五和って。普段しっかりしてるのに」


「……お兄さんだけに、です」


「そっか。よしよし」


「♡」


 五和ちゃんが長い手足で、俺の体をホールドしてくる。


 ぐりぐり、と体をくっつけてくる。


「……もっとしたいの?」

「……はい」


「意外とスケベだね」

「……ごめんなさい」


 俺はまた再び行為を開始する。

 五和は普段のクールさを忘れて、激しく体を動かす。


 やがて疲れ果てて、五和は眠ってしまう。


「おつー。じゃ次はぼく~♡」


 復活した真琴が俺の元へ笑顔でやってくる。


「おまえやりすぎ。ちょっと休憩」

「え゛ー! たりないよー!」


 俺は五和をベッドに横たわらせる。

 真琴はその隣に腰を下ろして微笑む。


「いっちゃん、良かったね。大好きな人と結婚できてさ」


 五和の左手の薬指には、銀の指輪がはまっている。


 俺は指輪を5つ持っている。


「左手に指輪が5つ……お兄さん、パンクロッカーみたいだね♡」


 今の世の中、多種多様な恋愛が認められるようになった。


 開田のじいさん……開田総理の発案した法律によって、世の中はがらりと様変わりした。


 真琴、五和、ひな、アンナさん、そして……千冬ちふゆさん。


 俺は五人と関係を結んでいる状態である。


「でもまさか叔母さんとまでオッケーとはねぇ」


 一夫多妻だけでなく、様々なアイの形も、今の日本では認められている。


 男同士、女同士、そういう世間一般ではマイノリティとされていた、恋愛・結婚も。


 開田総理は、許したのだ。


 曰く、【愛の形は千差万別】とのこと。



「あ、そだ。お兄さん、今度のお休みひまー?」


 真琴が問いかけてくる。


「まあな。デートか?」

「ううん。じぃじのお家に顔出すの」


 じぃじ……ああ、開田のじいさんか。


「ほら、もうすぐじぃじの誕生日じゃーん? だからお誕生日会やろうってさ、さぶろーが」


「あ、そうか……そんな時期か」


 開田のじいさん……それは今の日本総理大臣をやっている、とんでもないじいさんだ。


 俺は遠縁の親戚ということになっている。


「光彦おじちゃんも来るってさ。赤ちゃん連れて」


「あー……あの人も大変だよな。子だくさんで」


「だねー。ま、ぼくもそろそろかなぁ~♡」


 真琴が愛おしげに、下腹部をなでる。


「もうできたかも!」

「ゴム無し解禁したの、高校卒業してからだろうが。できるわけないだろ」


「そっかー♡ でもゴム無しってすっごく気持ちいいね! やみつきになっちゃうよぉ~♡」


 真琴がベッドに四つん這いになって、お尻をフリフリと振ってくる。


「誘ってんの?」

「誘ってんの♡」


「はいはい……おまえも好きね」

「うん! お兄さんも大好きだし、お兄さんとのえっちも、だいだいだーいすきだもん♡」


 ……とまあ、こんな感じで、俺は嫁たちとただれた生活を送っている。

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