90話 テスト返却とご褒美



 6月上旬のある日のこと。


 俺が家でメシ食ってると……


「おにーさーん! ただいまー!」


 部活でお帰りが遅くなった、真琴が、元気よく帰ってきた。


 スポーツバッグを捨てて、ぴょーんとジャンプ。


 だきっ、と抱きついてくる。


「褒めて褒めてー!」


「はいはいスゴイスゴイ」


「えへー♡」


 真琴が俺の腕の中で、子猫のようにじゃれついてくる。


 動くたびにぐにぐにと動くおっぱいとか、髪の毛の甘い香りとかで、正直このまま押し倒したくなる。


「で、何か良いことでもあったの?」

「うん! 中間テストが返ってまえりました!」


 5月の下旬に、真琴達は学校で中間テストを受けていた。


 その結果が返ってきたらしい。


「どうだったんだ? って聞くまでもないか」


 このご機嫌っぷりを見りゃな。


「見たい~? ねえねえ見たい~?」


 真琴が抱きついたまま、体をうずうずさせる。


「見たい」

「しょうがないなぁ!」


 真琴が俺から飛び降りると、スポーツバッグの元へ行く。


 バッグを持って俺の元へとやってくる。


 リビングのソファに俺たちは座る。


「じゃーん!」


 テーブルの上に答案用紙を並ぶ。


「どれも80てーん!」


「おー、やるじゃん。頑張ったな」


「でっしょー! ほらほら~♡ 嫁が頑張ったらどうするんだい、ん~?」


 真琴がチラチラと俺を見上げてくる。


「はいはい、頑張ったね」


 俺は真琴と口づけを交わす。


「んちゅ……♡ ちゅぷ……♡ んぁ……♡ んぅ……ちゅぷ……♡ ちゅっ……♡ ちゅっ……♡ んく……んちゅ……♡」


 ベロを絡ませての熱烈なキス。


 真琴はとろんと目をとろかせて、体から力を抜く。


 キスを追えた後、真琴が俺に寄りかかってきた。


「キスだけ~?」

「はいはい。ぎゅーっ、もね」


「ちっがーう! ぎゅ~~~~~~~~~って、して♡」


「はいよ」


 俺は真琴を抱き寄せて、強く抱きしめる。

 真琴が抱き返してくる。


 お互い、密着するくらいの強いハグ。


 真琴のおっぱいが完全に潰れて、呼吸や身じろぎするたび、ぐにぐにと動く。


「えへへ~……♡ ぼくお兄さんの強めのハグすき~♡ 強いオスに支配されてる感がたまらないよ~♡」


「おまえって結構Mだよね。普段強きだけど」


「え、えむじゃないもん! ただちょっと……ハードにされるのが好きなだけだもーん!」


 人それをMという。


「さて! ぼくは赤点を無事回避できました! えらいでしょ~?」


「ああ、偉いな。ってことで、ご褒美の話しに入りましょうか」


「やぁった~♡ ごほーびだーい!」


 真琴がソファの上に、俺を押し倒す。


 腹の上にのっかってきて、ちろ……と舌なめずりする。


「あのねぇ、ご褒美ってそういうことじゃないんだが……」


「えへへ~♡ でもぉ、こっちのご褒美もほしいなぁ……♡」

 

 真琴がジャージとシャツを脱いで、スポーツブラ一枚だけになる。


 俺の体の上に馬乗りになったまま怪しく笑う。


「ごほーびのはなしは、あとでね♡ んちゅ……♡」


 真琴はスイッチが入ったらしく、俺との行為に没頭する。


    ★


 ややあって。


 俺たちは一緒に湯船に浸かっていた。


「くわー! さいっこうだったー!」


 俺の膝の間に全裸の真琴が座っている。


 風呂に入ってることもそうだが、やけに肌つやが良かった。


「まさかリビングで3回もなんてな……」


 元気すぎるだろ。


「ぼくの性欲は53万です」

「やべえぞ底なしのエロスかよ」


 そうえいば中間テストが終わった日もやばかった。


 まじで腹上死しかけたな……。


「で? お兄さん、ご褒美ってなになに~? 赤ちゃん? ついにゴム無し解禁ですか~……あいたっ」


 俺は真琴の頭をぺちん、とたたく。


「旅行だよ旅行」


「旅行っ! うっそほんとに!?」


 じゃばっ、と真琴が湯船から立ち上がる。


 何も身につけてない……シミも毛もひとつもない、つるつるとした、しかし美術品も裸足で逃げ出す、真琴の全裸がさらされる。


「しっとだうん、真琴」


「おうえーす、お兄さん」


 じゃぽん、と真琴が湯船に座る。


 何度見ても、真琴の全裸は見飽きないな。


 大きな胸に、くびれたこし、膨らんだお尻は……無限に性欲をかき立てる。


「旅行ってどこいくのっ?」


熱海あたみ


「あたみー! やったぁ! 温泉だーーーーーーい!」


 真琴は結構お風呂大好きだからな。

 喜ぶと思って熱海にしたのである。


「部活もあるし、近場が良いかなって思ってよ」


「ありがとー! お兄さんだぁいだぁいだぁああああああいすき~♡」


 真琴が湯船の中で俺に抱きついてくる。


 まったく、可愛いやつめ。


「いついく~?」


「来週。確かおまえ土曜日が半分練習で、日曜日も休みだったろ?」


「うん! やった! 来週だね! ちょーーーーーーーーーーーたのしみ~!」


 じゃばじゃばじゃば! と真琴が子供のようにはしゃぎまくる。


「お兄さん風邪引いたら駄目だからねー!」


「はいはいわかってるって」


 俺たちは湯船から出て着替える。


「何があってもぜーったい旅行行くんだからね!」


「あいよ。そっちこそ、怪我とかして、旅行行けなくなるなんてこと、すんなよな」


「もっちのろんだよ! ま、このプロアスリートの真琴さんは、怪我なんてしませんがねっ」


「フラグ乙。まあ旅行にかぎらず、気をつけるんだぞ。何があるかわからんし」


「何がってなにさ? 大丈夫! 最近良いことが続くし、悪いことなんて絶対おきないもーん!」



 真琴がウェットに着替え終える。

 頭にタオルを巻いて外に出る。


「旅行ちょ~~~たのしみだなぁ! ……ん?」


 リビングのテーブルの上においてある、真琴のスマホが震えていた。


「電話だ。珍しい」


 真琴がスマホを取り上げる。


「光彦おじさんじゃん!」


「みつひこおじさん……」


 ああ、真琴のお父さんの、弟さんか。


 真琴はスマホの通話ボタンを押す。


「やっほ、光彦おじちゃん! 元気~? うん、うん……」


 通話の邪魔しちゃいかんな、と思って俺は台所へと向かう。


 ジュースでも……と思っていたそのときだ。

 かしゃんっ……!


 と、何かが落ちる音がした。


「ん? 真琴……真琴!?」


 真琴がその場にへたり込んでいた。


 近くには、スマホが落ちてる。


「…………」


「おいどうした、真琴?」


 真琴が呆然としている。

 肩を揺すっても反応を示さない。


『真琴? 聞いてるか?』


 スマホからは光彦おじさんとやらの声がする。


「真琴、電話」

「あ、う、ん……」


 真琴はスマホを手に取って、光彦おじさんと二、三言葉を交わす。


 ピッ、と電話を切る。


「真琴……なにか、あったのか?」

 

 真琴はフルフル、と首を振る。


「大したことないよ。うん、大したこと、ないからさ。あ、あはは! ごめんお兄さん、驚かせちゃって!」


 真琴は無理に笑ってるように感じる。


「さ、もう寝ようか。夜も遅いし〜」


「あ、ああ……」


 真琴は珍しく自分の部屋に向かっていく。


「あ、そだ。お兄さん」

「ん? どうした?」


 くるん、と真琴がこちらを向く。


「ちょっと明日、光彦おじさんと出かけてくるね」


「あ、ああ……」


 叔父と出かける?

 どこへ行くのだ?


「おやっすみー!」


 しかし俺が問いただす前に、彼女は自分の寝室へと、向かうのだった。

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