85話 嫁とテスト勉強でイチャイチャ



 5月下旬のある日のこと。


「ただいまー」


 20時頃、仕事を終えて帰ってくると……。


「お・か・え……りー!」


 真琴が廊下を駆け抜けてきて、たんっ……と跳躍。


 正面から抱きついてくる真琴を、俺はハグする。


「ちゅ……♡ ちゅぷ……♡ んぅ……♡ ちゅぷ……♡」


 真琴が情熱的なキスをしてくる。

 俺にコアラのように抱きつきながら、ぐにぐにと、おっぱいをくっつけてくる。


「ぷはあぁ……♡ お帰りのキス!」

「おまえなぁ、お帰りのキスがディープすぎませんか?」


「お兄さんに半日会えないとさみしくて死んじゃうんだもん。ちゅーして補給しないと」


「それはいかんな。もっと補給する?」


「する!」


 玄関先で5分くらいちゅっちゅしまくったあと……。


「ごはんまだでしょー、あっためるねー」


 キッチンへと走って行く真琴。


 ふと、リビングのテーブルの上に、教科書とかが広げられていた。


「ああ、そうか、テスト勉強か……」


 もうすぐ中間テストだったな。


「そうだよー。もーさいあくだよ~……」


 真琴がしょんぼりしながら、リビングから戻ってくる。


 今日は洋風のメニューだった。


 俺の前にご飯を置いて、正面に真琴が座る。


「部活禁止でさ~」

「あたりまえだろ、学生の本分は勉強なんだからな」


「ちぇー」


 真琴が俺の正面に座って、じーっと俺をみつめている。


「真琴さんや」

「なんだいお兄さんや?」


「勉強はどうしたのかね?」


 すっ……と真琴がそっぽを向く。


「ほ、ほら……お兄さんがご飯食べてるし~? 嫁としては、ほら、世話を焼かないとだから!」


「そりゃありがたいけど、大丈夫だよ。あとは自分でやれるし」


「うー……うー……でもぉー……あ、そうだ! 食後のデザートあるよ! 実家から送っていたシャインマスカットが!」


「ほう」


 シャインマスカットとは、皮ごと食えるマスカットのことだ。


「食後のデザートに皮向いてあげるよぅ♡」


「あれ皮ごとくえるだろうが」


「ぐえー……」


 真琴がテーブルの上に突っ伏す。


「おまえさては……勉強したくないんだな」


 むくっ、と真琴が顔を向ける。


「そうだよ! あーもー! やだやだ! 勉強なんてい゛や゛ぁ゛~……」


 本当にやりたくなさそうだ……。

 じたばた、と手足をばたつかせている。


「数学の勉強なんて社会に出て何が役に立つのさ! そんなのより家庭と保健体育でしょ!」


「おまえそのどっちも満点だからな」


「料理もエッチの方も完璧な、スーパー嫁ですからなっ」


 まあ、嫁として要求されるスキルのレベルが高いことは事実だ。


「落第でもしたらどうするよ」


「お兄さんに永久就職が決まってるんで、学業捨ててもだいじょうぶだもーん」


「おまえ落第したら、今後一切えっち禁止な」


「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」


 真琴がイヤイヤイヤと首を振る。


「やだやだやだぁ!」

「はいはい、じゃあ勉強しましょうねー」


「うぇー……」


 真琴が参考書を広げて、しぶしぶとペンを動かす。


 ほんとうちの嫁は勉強が苦手だなぁ。


 俺は食器を片付けに台所へいく。


「へいへいお兄さんっ、お皿洗うよ~?」


 ひょっこり、と真琴が顔を後ろから出す。


「いらん。椅子に座って勉強しろ」


「台所えっちでもする?」


「せんわ。早く勉強しろ」


「うぇー……」


 皿を洗い終え手戻ってくると、真琴が椅子に座っていた。


 だが座ってるだけだった。

 シャープペンを使ってひとりえっちしてた。



「あほか」

「あんっ。んもー、邪魔しちゃだめでしょー。女の子がひとりえっちしてるのにー」


「リビングでするな」


 俺は真琴の正面に座る。


「どんだけ性欲たまってるんだよ」


「しょうがないじゃん! 部活が先週からテスト期間に入って、体動かせないから、ストレスがたまってしょうがないんだよぉう!」


 真琴は運動が大好きだ。


 逆にこうしてバスケができないと、反動で性欲が増してしまうらしい。


「男子中学生かおまえは……」


「ちがうもーん。ちゃんとおっぱいついてるしー? 見る?」


「見ない。はいはい勉強する」

「ちぇー」


 真琴が実に嫌そうな顔しながら問題を解く。


「えっくす……えっくす……なんで数字のなかに英語が入ってるの?」


「そういうもんなの」


「あ゛ーわからん! わからん! ねーぇーえっちしよー?」


 俺は真琴の頭にチョップする。


「駄目。おまえ明後日くらいから中間テストだろ?」


「そうだけど~。今週に入って部活もやらない、えっちも1回だけって、ぼくの性欲は爆発寸前だよー!」


「毎日1回やれば十分だろうが……」


「1回で満足できない体にしたの、お兄さんなんだからね! そのご立派様でいつもぼくをあんあん言わせるのが悪い」


 真琴が足を伸ばして、俺の股間をぐりぐりと触る。


「えっちはできんが、勉強なら教えられるぞ」


「ほんとっ?」


「ああ。数学は少しだけ得意だ」


「じゃーおしえて~♡」


 俺は真琴の隣に座る。


「このぐいーって曲がるやつがわからん!」

「二次関数な。どれ……」


 俺は基本的なことから教える。


 真琴がふんふん、と素直にうなずく。


「ちょっと問題解いてみるか」


 問題集を開いて、俺は設問を指さす。


「はいこれ解いて」

「うー……むずい~……」


「教えたとおりにすれば良いから」

「まずおっぱいで、お兄さんの元気なムスコをはさんで上下に……」


「そんなこと復習しなくていいんです!」


「え、でもお兄さんが教えてくれたやつじゃーん」


「今再現しなくていいから! 問題とくの!」


 隙あらばエロいことしようとするな!


 まあ、テスト期間ってことでストレスがたまって仕方ないのだろう。


 こいつの場合ストレスは体を動かすことで発散してる。


 部活もえっちも禁止されて、すごいムラムラしてるんだろう。


「これでいい?」


「どれどれ……。あー、おしいな。こっちの数字を代入するの」


「そーにゅー?」


「あかん、頭が中学生男子になってる、この子……。ほら集中集中」


「しゅう、ちゅー……♡」


 真琴が顔を近づけ、がばっ、と抱きついてくる。


「んちゅ♡ ちゅぷ……♡ ん゛ぅ……ぁ♡ んぅ♡ ちゅぷ……♡ ぢゅ……♡」


 またも熱烈なキスを真琴からあびせられる。

 

「あのねぇ、真琴くん。勉強が進んでないようですが?」


「だってだって! 体がもうムラムラしてやばいんだよぉ!」


「今日は寝室別で寝ような」


「えーーーーーーーーーーー!?」


 真琴がこの世の終わりみたいな顔で叫ぶ。


「なんでだよー!」

「テスト前でしょうが。早く寝なさい」


「えっちは!?」

「当然禁止」


「死ねと!?」

「そこまで!?」


 どんだけ性欲強いんだよこいつ……。


「テスト終わるまで我慢なさい」

「いーーーーーーーーーーやっ!」


 真琴が子供みたいに頭を横に振る。


「我慢したらご褒美あげるから」


 ぴたっ、と真琴がとまる。


「ごほーび?」

「おう」


「なんぞや?」

「それは終わってからのお楽しみな」


 テスト終わったら考えていたことがあるのだ。


 真琴はしばし考えたあと、こくん、とうなずく。


「わかった、えっち我慢する。勉強する」

「よし良い子だ」


 俺は真琴のさらさらの髪をなでる。


 目を細めて、猫みたいに甘えてくる。


「そのかわり! 終わったらちゃーんとつきあってよね!」


 えっちにってことだろう。


「わかったよ」

「数日ため込んだぼくの性欲を全部ぶつけてやるから、覚悟するんだなぁ!」


 ……確かに普通に1日7回もやるようなやつが、数日えっちを我慢してる状態。

 

 テストが終わってそのため混んだ性欲を吐き出されたら……。


「俺……腹上死しないかな……」


 適度にガス抜きしてあげた方がよかったこかもしれん。


「からからになるまで絞り尽くしてやるぜー!」


 まあ何はともあれ、嫁が勉強にやる気になってくれて良かった。


 テスト終了後のことは……そのとき考えよう。

 

 とりあえず精力剤は買ってこようかな。

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