第3章 イチャイチャな結婚生活(仮)
64話 朝からイチャイチャ、攻める五和
ゴールデンウィークが明けた、翌日。
「んぅ……真琴……?」
朝目が覚めて、俺はすぐに真琴がいないことに付く。
いつも同じベッドに寝るから、起きると、だいたい真琴がそばに居るのだ。
ぎゅっ、としようとしたら、からぶった。
暖かくて良い匂いのするあの子を抱きしめないと、一日が始まった感がない。
「まことぉ~……」
俺はベッドから這い出て、ふらふらと、リビングへ行く。
台所からは上手そうな匂いと……そして、制服姿の女子高生が立っている。
「よし、盛り付け完了……って、わわっ!」
俺は真琴を、後ろからハグする。
「おに……
黒髪をポニーテールにした真琴が、俺に最高の笑顔を向けてくる。
大きな瞳に、びっくりするくらい小さな顔。
よく笑い、よく怒る、コロコロと変わる表情が実に愛らしい。
俺は真琴の体を、ぎゅーっとハグする。
真琴はスポーツをやっている。バスケだ。
そのためか、体はとっても引き締まっている。
とはいえガチガチに筋肉がついてるわけじゃない。
ほどよい柔らかさがある。
「んー……良いさわり心地」
「もーお兄さんってば、さては寝ぼけてるなー」
真琴が俺を見上げてチュッ♡ とキスをする。
「おまえさー。だめじゃないか。朝起きて隣にいないと、調子が出ないってば」
「ごめんごめん♡ ちょっと今日から早起きなんだぼく♡」
「ん? 早起き……?」
はてなんでだろうか……。
「ほらほら、お兄さん。シャワー行ってらっしゃい。おひげそって。痛いよシャリシャリしてて」
「おう……」
ふらふら……と俺は風呂場へと向かう。
やっぱり真琴を朝から抱いて、キスをすると、しゃっきりするな……。
脱衣所へ行くとノリの効いたシャツに、アイロンのかけてあるスラックス。
ネクタイ。そして新品のひげそりがおいてある。
ひげそりジェルがなくなっていたのに新品になっていた。
「ふぅ……できた嫁だぜ」
俺は身支度を終えてリビングへと戻ってくる。
「おっかえりー♡」
「…………」
テーブルの上には焼きたてのパンにスープ、新鮮なデザートがカットされている。
「いやぁ、俺はやっぱり駄目だわ」
「? どうしたのさ急に」
「いや、おまえがいないともう生活できないなって」
朝のハグに始まり、足りない物を全部真琴が用意してくれている。フォローしてくれる。
そして毎朝こんな上手そうな朝ご飯を用意してくれる。
「真琴さまさまだ」
「そりゃあどうもどうも♡ さっ、たべよ~♡」
俺たちは席に座って、そろってご飯を食べる。
テレビからは朝のニュースが流れている。
『ーー
『ーー少子高齢化に対する劇薬になると自負していると述べており』
『ーーしかし倫理的にそれは許容されるような物なのでしょうか』
『ーー法案について噂では孫娘に頼まれたからなどとデマが出回っており』
「なんか最近、この
「いろいろ凄い人らしいぞ」
「ほぅ、具体的には?」
「俺も詳しくはわからんが。たとえば定額の給付金ってことで20万円振り込まれてた」
「えー!? 20万円!? なんでまた?」
「わからん。意図としては経済の活性化……だとさ。この人結構少子高齢化問題について力入れてるんだって」
ふーん、と真琴が興味なさそうに言う。
「他人事ですな」
「そりゃね。うちとは全く縁の無い話ですから♡」
「そうだなぁ。ほぼ毎日ですからな」
「えへへー♡ 早く学校卒業したいなぁ。そっこーで赤ちゃん作るもんねー♡」
とまあ毎日のように俺たちは肌を重ねている。
土曜日なんて明け方までやるからな……体力と精力ありすぎだろうちの嫁さん……。
まあ、なので少子化とは無縁である。
「結婚と言えば真琴さんよ」
「なんだい貴樹さんよぅ」
「指輪、どうするんだ?」
俺が先日、真琴にペアリングを送った。
だが学校の校則では、指輪は禁止されていたはず。
「そこは抜かりなし! じゃーん!」
銀のチェーンを通して、ネックレスのようにしていた。
「これを首から提げて、胸の谷間に入れる……はいこれでばれない!」
「いやそこまでせんでも、家だけで身につけてばよいのでは?」
「それはできないよ~♡ だってお兄さんからもらった大事な大事なプレゼントだし♡ 肌身離さずみにつけてきたいもん♡」
そこまで大事にしてくれるなんてな。
本当にうれしいぜ。
「で? お兄さんはもちろん、身につけてくれるんだよね?」
「そりゃもちろん」
俺は胸もとから、チェーンを通した指輪を見せる。
「ほら」
「えーーーーーーーーーーーー! なんで!? つけてよー!」
真琴が頬を膨らませて、ジタバタと足をばたつかせる。
「さすがに職場で左手の薬指に指輪つけてたらいろいろ詮索されるってば」
「むー……言っちゃればいいじゃん。俺、彼女いるんでよろ、って!」
ぷくーっと真琴が頬をおもちみたいに膨らませる。
それがかわいくて、ほっぺをつつく。
「おお、やわらけえ」
「ごまかさないでよ!」
つんつん……。
「もちもちだな」
「えへー♡ そうかなぁ~♡」
ちょーご機嫌。
チョロいなうちの嫁。
「ま、いいさいいさ。あと三年すれば結婚するんだし。お兄さんがぼくのものってのはもう揺るがぬ事実だしね~ん」
真琴が指輪を見て、えへえへとご機嫌に笑う。
「おまえそれ無くすなよ」
「わーかってるってば。絶対無くさないもーん。えへへ♡」
話聞いてないし。やれやれ……。
からになったお皿を真琴が台所へ運んで、洗っている……そのときだった。
ピンポーン……。
「あれ? 誰だこんな朝早くに?」
「おにいさんよろー」
俺は真琴の代わりに玄関へと向かう。
がちゃ……。
「え? なんで君、いるの……?」
そこにいたのは、背の高い女の子だ。
「
「……おはようございます、お兄さん」
真琴の友達で、バスケのチームメイト。
クラスも同じらしい。
ちなみに五和ちゃんは、俺と真琴が付き合ってることも、同棲していることも知っている。
「おはよ。なんで君が?」
「……その、今日からマコを迎えにくることになったんです」
「ふーん。なんでまた」
「……マコに朝練つけてもらうことにしたんです。ほら、駅前にコートありますよね?」
俺たちの最寄り駅、そこの近くの公園にバスケコートがある。
なるほど、朝練か……。
「真面目で良い子だなぁおまえ。感心感心」
すると五和ちゃんはちょっと気まずそうに目をそらす。
「……良い子じゃ、ないですよ。ほんとは不純な動機ですし」
「え? なんだって?」
「……い、いえっ。なんでも……ないです」
そこへ、洗い物を終えた真琴が来る。
「いっちゃんおっはよー! お待たせ!」
「……おはよ、マコ」
エナメルバッグを背負った真琴がやってくる。
「おまえ今日から朝練するんだってな」
「そう! いっちゃんがバスケ上手になりたいからって。でもわざわざ迎え来なくてもいいのに」
確かに公園集合でも、なんだったら駅前集合でも良い気がする。
「……い、いいじゃん。別に。その……頼んでる立場だし、迎えに行かないとって」
「ふーん。まあいいけどさ」
真琴が革靴を履く。
「それじゃお兄さん♡ いってくらー!」
んー♡ と真琴が唇を突き出してくる。
「おまえなぁ……チームメイト見てるぞ?」
「関係ないもーん。んー♡」
ったく、しょうがないやつだな。
俺は軽くほっぺにチューをする。
「えー、頬に~? ここにちょうだいよーう」
つんつん、と真琴がみずみずしい唇を指さす。
「さすがに俺の羞恥心が限界だ。ほら、いったいった」
「ちぇー。じゃおかえりのチューはマストだからね!」
「はいはい」
……そんな俺たちの様子を、五和ちゃんはジッと見ている。
胸に手を当てて、小さくと息をつく。
「あ、そうだ。傘持ってけよ。雨降るってさ」
「はいはい~っと」
すると五和ちゃんが「……あ」とつぶやく。
「どうしたの?」
「……傘、忘れて」
「ふーん。じゃ、これ貸すよ」
俺は下駄箱の中にいれたあった、折りたたみかさを取り出して、五和ちゃんに貸す。
「……いいんですか?」
「うん。使って。返すのいつでもいいから」
五和ちゃんは頬を赤くすると、ぎゅっ、と折りたたみ傘を胸に抱く。
深々と頭を下げる。
「……ありがとうございます、その……た、たかきさん」
「? おう……」
なんで急に下の名前……?
あ、真琴のやつがしゃべったのかな。
まったくおしゃべりなやつだ。
自分はくせで、まだお兄さんって言うくせに。
「それじゃー!」
「ああ、いってらっしゃい。五和ちゃんも」
五和ちゃんは小さく微笑んで、俺に返す。
「……いってきます」
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