63話 誕生日と、変化



 真琴にペアリングを渡した、その日の夜。


 深夜。

 俺たちは同じベッドで横になっていた。


 さっきまで俺たちは激しく肌を重ねていたのだ。


「お、見てみてお兄さん~」

「ぜぇ……はぁ……なんだよ……」


 あんだけやったのに、真琴はスーパー元気だった。


 その手にはスマホがにぎらている。


「じゃーん。0時になりました。真琴ちゃん16歳、爆★誕」


 日付が変わって、5月5日。

 今日は真琴の、16歳の誕生日だ。


 うれしそうに画面を見せてくる真琴。


「誕生日おめっとさん」


「ありがとー!」


 まあさっき祝ったんだけどな。


「えっへーん、これでマコちゃん、お兄さんと結婚できる~♪」


「ああ、そうだな……」


 ……さて、一応結婚できる年齢に、真琴がなったわけだ。


【あれ】を、渡すべきだろうか……。


「あとさあとさ。真琴ちゃん、こんなものをじつは見つけてたり?」


「え? ……あっ! おま……それ……」


 真琴が枕の下から取り出したのは、4つ折りになった薄い紙。


 折ったそれを元通りにして見ると、冗談には【婚姻届】と書いてあった。


「んふふ~♡ お兄さんってばぁ、そんなに真琴ちゃんを自分のものにしたいのですかな~♡」


「いや……そういうつもりじゃなくってだな……」


 真琴は今日まで、俺と結婚したいとずっと言ってきた。


 どこか急いでるような感じさえした。


 それで彼女の不安が解消されるのなら、いいかもしれないな……と思っていちおう、もらっておいたのだ。


 真琴は微笑むと、また四角く折りたたんで、俺に差し出してくる。


 うつ伏せ状態になって、笑顔で、渡してくる。


「いいのか?」

「うん。要らない。今はね」


 俺は婚姻届を回収する。

 真琴の言葉は……意外だった。


「なーにぃ? その鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔」


「いや……本当にいいのか?」


「うん。もうだいじょうぶだから」


 真琴の左手の薬指には、俺のあげたペアリングが輝いている。


 真琴はじっくりとそれを眺めて、うれしそうに笑う。


「これがあれば、ぼくは頑張れるんだ。お兄さんとの、愛の証が……えへへっ♡」


 真琴はうれしそうに、ペアリングにキスをする。


 気に入ってくれたみたいでうれしいよ。


「あ、でもでもっ、勘違いしちゃだめだよっ。今はあくまでも良いってだけで、ちゃーんと卒業したら結婚すること! すぐさま! そっこーで!」


 少し大人びたと思ったら、また子供みたいなわがままを言う。


 俺はそれでいい……と思う。

 この子の可愛らしいわがままが、俺は好きだからな。


「はいはい、わかったよ。あと3年な」


「ぐ……ぬぅう……3年……長いなぁ」


 ぱたぱた、と真琴が足をぱたつかせる。


「あっという間だよ、高校時代の三年なんて。部活やってりゃ特にな」


「ふーん、そういうもんかぁ。ま、そーかも。この1ヶ月ちょーとっきゅーだったし」


 ……そうか、もう一ヶ月か。

 真琴がうちに来て、一緒に暮らすようになって。


 彼女が言うとおり、超特急だったな。


「お兄さんと暮らしてたら、気づいたらおばあちゃんになってそー」


「俺も真琴がいたら、あっという間におじいちゃんになってるな」


「お、奇遇だねぇ~」


 真琴が楽しそうに笑うと、目を閉じて顔を近づける。


 俺はもうそれだけで、真琴がキスをしたいと、甘えてきていることがわかる。


 ちゅっ、ちゅっ♡ と俺たちは唇を重ねる。

「お兄さんも随分とぼくを理解してきましたなっ」


「そりゃあんだけちゅっちゅちゅっちゅしてりゃあな」


 にぃ、と笑うと、また真琴が目を閉じて顔を近づける。


 俺は苦笑して、彼女のみずみずしい唇にすいつく。


「なんだかんだで、お兄さんはぼくとのちゅーを辞められないんだねぇ」


「当たり前だろ。真琴とのキスは最高だからな」


「えへー♡ んも~♡ お兄さんってば……!」


 がばっ、と真琴が俺にのしかかってくる。


 ぐにゅり、と真琴の大きなおっぱいが潰れる。


「ねーねー、しよ♡ えっちい~~~っぱい♡」


「おまえ……さっきまでやりまくってたじゃねえか……」


「こんなもんじゃあ足りない!」


「ええー……性欲無尽蔵かよ。ドスケベ魔神め」


「お兄さん限定だよ♡ お兄さんだから……無限にえっちぃことできちゃうんだ~♡」


 真琴が俺の唇に、自分の唇を重ねる。


「んちゅ♡ ちゅぷ……♡ んっ……ふっ……んぅ……♡ ちゅ……♡」


 俺は真琴と熱いキスを交わす。

 そのうち、真琴が甘い嬌声をあげて、体を動かし出す。


 ……その後、明け方近くまでやった俺たちは、昼まで熟睡。


 起きたあと、近所のスーパー銭湯で汗を流したあと、外食して帰ってきた。


 結局誕生日だというのに、ほぼ何もしなかった……けど。


 俺も真琴も、凄い充実した気分でいた。


 ゴールデンウィークが終わって、一つ関係が進んで、さらに俺たちは……深い仲になった。


 特別なイベントがなかったとしても、毎日を特別に感じている。


 俺はこれからも、この可愛いい嫁と一緒に、輝ける毎日を送っていこうと……そう思ったのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【★あとがき】


これで一区切りとなります。

次回からも引き続きがんばっていきます!


モチベになりますので、


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