34話 真琴とお風呂、旅行の予定



 真琴の試合が終わったあと……。


 俺たちは近くでラーメンを食べて、そのまま近くのラブホテルに入った。


 真琴の性欲は……まあ、凄かった。


 試合での興奮が冷めやらないのか、何度も何度も俺を求めてきた。


 薬局で買った1箱全部、まさか使い切るとは思わなかったよ……。


「おにーさーん! お風呂入ったよ~!」


 全裸の真琴が、風呂場から手を振ってくる。

 スポーツ選手だからか、体に無駄な脂肪は一切ついてない。


 けれど胸にも尻にも、たっぷりと、男を魅了してやまない大きな柔肉がついている。


「一緒に入ろー♡」

「いやおまえなぁ……」


 一緒には居るって……。

 別にラブホの風呂って大きくないのに……。


「おや~? お兄さんってば一緒にお風呂はいずかしいの~? もうお互いの恥ずかしいとこ、全部見合った仲なのに~♡」


「まあ……今更か」


 俺はベッドからのそりと降りて、ふらつきながら、風呂場へと向かう。


 真琴がかわいらしく首をかしげる。


「どうしたの、そんなふらついてさ」

「おまえが激しくしすぎるからだろ!」


「お兄さんが上手すぎるのが悪いんだよ~♡ 気持ちよすぎて、あっという間に頭なーんにも考えられなくなっちゃうんだ~」


 その結果あんな餓狼みたいにむさぼられたわけか……。


 てゆーか、別に上手いって意識無いんだけどね、俺。


「上手だよ! お兄さんってばドーテーかと思ってたから、えっちも下手かとばかり思ってたのに」


「おい」


 俺たちは風呂場へと入る。

 案の定狭かった。


「俺が下手だったらどうすんだよ」

「べつに~? ぼくいっぱい練習したから、お兄さん気持ちよくさせるために♡」


「れ、練習……」


 まさか男を相手にたくさん!?


 ……ないな。俺とするまで処女だったしこいつ。


「パパのビデオで予習アンド練習済みです!」

「言わんでいい!」


「さぁさぁお風呂入ろうっ!」

「でもこんな狭いのにどうやって入るんだよ?」


 にまー、と真琴が笑みを浮かべる。


「まずお兄さんが入ります! 入って!」


 俺は言われるがまま湯船にどぽんとつかる。

 あっつ……でも、これくらいの温度がちょうどいい。


 熱めのお湯が俺から、真琴とのセックスの疲労をときほぐしてくれるようだ。


「次に真琴ちゃんが入ります♡」


「え?」


「しつれいしまーす」


 真琴が俺の背中を向けると、そのままざぶん、と湯船につかる。


 ちょうど同じ向きで、重なり合って、ふたりで湯船につかっている形。

 

 ざばぁああああ! と勢いよくお湯が出て行く。


「お、おまえなぁ……」

「えへへっ♡ はいお兄さん、私のこと後ろからぎゅーっとする!」


「わかったよ。ったく、甘えん坊だなおまえは……」


 俺は真琴の、びっくりするくらい細い腰に腕を回す。

 

 つるつるとすべやかな、真琴のおなかの上で腕を回す。


「あんっ♡ もー……お兄さんまた元気になってるじゃーん♡ お尻におっきいやつが当たってるよ~♡」


「いやまあ……ね」


 目の前に極上の女が乗って、接触してきたら、そりゃ元気になるってもんだ。


「あんだけやったのに、まだ私のこと抱きたいの? お兄さんはスケベだね~♡」


 実に楽しそうだ。全く嫌がってない、むしろ嬉々としてる。


「ど淫乱の君には言われたくありませんな」


「インラン!? ひっどーい! ぼくはノーマルだもん!」


「疲れて倒れてる俺の上にまたがって、勝手に始めたのはどこのどいつだ? ん?」


「あ、あれは……足りなかったから……その……」


 もじもじと照れる真琴がかわいらしくて、俺は後ろからぎゅっと抱きしめる。


「なんかお風呂でこうして、密着するのも、乙なもんですなぁ~♡」


「ですなぁー……」


「「はぁー……」」


 風呂もいい。だが真琴という最高の抱き心地の枕がそばにいるおかげで、こころが安らぐ。


 真琴の体は、それはもう……極上の柔らかさをしている。


 胸は言うまでもない。おなかも、スポーツをしているから無駄な肉がないが、それでもぷにっとしている。


 真琴をぎゅっと抱きしめるたび、真琴が甘い声をもらす。ぞくぞく、と背筋に快感がはしる。


 真琴は長い黒髪をあっぷにして入ってる。

 白いうなじに鼻先をあてると、甘い香りが鼻腔をくすぐる。


「汗のにおいかいだりして、お兄さんってにおいフェチなの?」


「んー、どっちかっていうと、真琴フェチかな」


「なんだいそりゃっ」


「真琴の全部が好きってことだよ」


「も、もうっ♡ お兄さんのへんたい~♡ まー、ぼくもお兄さんフェチですがー♡」


 真琴が首をよじって、俺にキスを求める。


 ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡


「な、なんか……えへへ♡ ごめんね……エッチな気分になってきちゃった♡」


 はぁはぁ、と真琴が顔を赤くして、興奮気味に呼吸をする。


「い、一回……一回だけ、ね?」

「あほ、狭すぎてできるわけないだろ」


「ですよねー」


「「はぁー……」」


 俺たちは脱力して、湯に浸かる。


「お風呂せまいねー。お家のもだけど」

「そうだなー……広い風呂入りたいもんだ」


 真琴が、「そうだ!」と声を張り上げる。


「旅行! 旅行いこーよー!」

「旅行?」


「そうっ! もうすぐゴールデンウィークだしっ!」


 今は4月下旬。

 もうちょっとで5月の連休となる。


「おまえ練習は? 大会もあるんだろ?」


「うん。でも前半2日は休みなんだ。あとは練習と試合」


 なるほど……ゴールデンウィーク初日は休みなのか。


 そこを利用して旅行へ行けるか……。


「お兄さんは、連休の予定どうなってるの?」


「ああ、全部休み。SRクリエイティブ……うちの会社の社長がな。連休はしっかり休めって方針なんだよ」


「おー! じゃあ思いっきり休んじゃおう!」


 まあそうか。

 家に居ても特にやることもないし、真琴を連れて旅行も……楽しそうだしな。


「どこいくー?」

「長野帰るか」


 長野には、俺たちのふたりの実家がある。


 ようするに帰省だ。


「えー! せっかくだからもっと楽しいとこいこーよー!」


「いや長野にもあるだろ。楽しいとこ」


「たとえば?」


「…………………………松本のイオン?」


「イオンは都会にもありますー」


 そりゃそうか……。


「あ、ほら温泉あるじゃん」

「おお! そっか! 温泉ね~。いいね!」


「実家に帰るついでに、温泉に行けば良い」


「パパに、娘さんをぼくにくださいって言うの?」


「あほ。付き合ってるって報告。電話では言ったけど、ちゃんと顔を合わせて言ってなかったしな」


「5月なら私16になるし、もう結婚してもいいんじゃない?」


 ……そういえば、真琴の誕生日は5月の初旬……というか、ゴールデンウィーク中だったな。


 何か考えておくか……。


「私、ほしいなぁ~。薮原やぶはらの名字~♡」


「さすがに早すぎるだろ。あと学校のみんなも動揺するだろうし」


「別に良いじゃん♡ 私、もう結婚してますって♡ お兄さんの女です~! ってみんなに言いたいね」


 まあこいつの場合、学校ではかなり人気が高そうだから……。


 変な虫がよってこなくていい分、良いかなって思ったりも……いや、駄目だ。


「おまえは健全な学校生活を送ってください。結婚は卒業してからな」


「ちぇー……別にいいのに。婚姻届だして、名字は今のままとかすればさー」


 ああ、その手もあったか。


「ま、いーや。それより旅行! 実家帰るプラス温泉旅行! 彼氏との初めての旅行……ぬへへ~♡ 楽しみすぎる~♡」


 真琴がくるん、と反対を向く。


 俺たちは向かい合う形で、密着しながら、湯船につかってる。


「お兄さん♡ お風呂で、だめ?」

「おまえ……やっぱりスケベだなぁおい」


「といいつつおっきくしちゃうお兄さんなのでした……あっ♡」


 ……風呂から出た後、俺たちは時間ギリギリになるまで、お互いの体を重ね合った。


 かくして、ゴールデンウィークは、旅行へ行くことになったのだった。

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