1章 ドキドキの同居生活

4話 JKが無防備な姿で朝からぐいぐい来る



 俺の家に、昔男だと思っていた年下の幼馴染みが、住むことになった。


 翌朝。3月も下旬のこと。


「…………」


 春めいてきたとは言え、まだまだ朝は寒い。


 だが……不思議なことに。


「なんか、あったかい……?」


 布団の中が、妙に温かいのだ。

 まるでこたつの中のような……そんなほっとするような、暖かさを感じる。


「すぅ……すぅ……」

「……………………え?」


 寝息が、聞こえてきた。


 おいおい、おいおいおいおい!


 嘘だよな……嘘ですよね?


 目をゆっくりと開ける……。


 そこに居たのは……。


「ま、真琴まことぉ!?」


 7つ年下のJK……幼馴染みの真琴まこと


「お、おま……おまえなんで……!?」


 しかも……しかもだ。


 こいつ……パンツ一枚で寝てやがる!


「え? え? う、うそ? も、もう手出しちまったのか俺!?」


 必死になって寝る前のことを思い出す。


 真琴には部屋を与えて、俺は自分の部家に戻って、そのまま寝た。


 そうだ、手を出すなんてことはしてない。

 してないはず……なのに、なぜほぼ全裸のこいつがここに!?


「起きろ! おい!」

「ううーん……うるさいなぁ……お兄さんどうしたのぉ?」


 眠い目をこすりながら、真琴が目を覚ます。


「どうしたのじゃねえよ! 朝からなんてかっこしてる!?」


 真琴は首をかしげる。


「ぼく……なにかへん?」


 昔の一人称を聞いて……俺は思い出す。


 真琴がうちに泊まりに来たとき、よく俺の布団に忍び込んできたっけ。


 しかも寝苦しいからかなんなのかわからないけど、翌日になるとパンツ一枚なことも多々あった。


 その頃の癖が、今も残ってるのか!


「服を着ろ!」


 落ちてるパジャマを、俺は真琴の顔に投げつける。


「ぷえっ」


「ったく、いつまでガキのママのつもりなんだよ……」


 俺はベッドから降りる。

 無駄に広いベッドだ。


 もちろんかすみと二人で一緒に寝るために買ったんだが……ちくしょう、無駄になっちまった。


「あれあれ~? おにいさーん?」


 からかうような調子で、真琴が後から声をかけてくる。


 ぴたっ。

 むにゅり♡


「ひょわっ!」


 お、お、俺の背中になんかぐにって! とんでもない軟らかな物体が!


「もしかしてー、お兄さん、私のこと異性として意識してるの~?」


 後から、真琴にハグされているのだ!


 や、ヤバい……なんかコリッとするもんも感じるし!


 なんだこれは!?


「あ、あ、当たり前だろ!」


「おっかしーなぁ? ぼくのこと、昔は弟って思ってたんだよねー?」


 見なくても、ニヤニヤしてる真琴の顔がわかる!


 くそっ! 振り返るわけにはいかないしっ。


「お兄さんは、弟によくじょーしちゃう、いけないお兄さんなのかな~?」


 ぷにぷに、と真琴がわざと胸を押しつけてくる。


 しかもくそっ、生乳だぞ!?


 ゴムまりのような張りだけじゃなくて、ぐんにゃりとした柔らかさまで内包してて……ああもう!


「お、弟になんか、欲情しねえよ!」


「だよねー♡ じゃあこっち見ても問題ないでしょー……ね? お兄さん……?」


 くそっ! 大人をからかいよって!


 子供に舐められるわけにはいかないな……うん!


 け、決して……興味があるからじゃ、ないからな!


「あ、当たり前だろ真琴! おまえ服を………………って、え?」


 真琴は……服を着ていた。


 いつの間にか、スポーツシャツに、ジャージの下という、ラフな格好に変わっていた。


「秘技、はや替え! 部活女子は長くシャワー浴びたいから、着替えるのが早いのだっ!」


「あ、ああ……そうですか……」


 そ、そっか……うん、良かったわ。

 後向いて全裸の女とかいたら、気まずいし。


 いや、別にね?

 こいつは幼馴染みだし、変な目でなんて見ませんし、興味もありませんけど?


「おにーさん♡」


 きゅっ♡


「ひょわっ……!」


 と、と、突然俺の股間を、真琴が触ってきやがった!


「なにすんねん!」


「朝のけんこーちぇっくだよ。うむうむ、元気に立っててひっじょーによろしい、なんちゃって♡」


 こ、こいつぅ~!


 いや、立つよ! 朝だもん。そりゃ立つよ。


「あんれぇ~? お兄さんの股間の紳士、朝からエレクトリカルパレードだったよ~?」


 エレクトとかけてやがるんか!


 くそっ、無駄にこってるな!


「弟を……えっちな目で見ちゃったんでしょ♡」


「見てません!」


「ホントのところは?」


「見てないってば……ったく」


 俺は真琴の頭をぺんっ、と叩く。


 彼女はにひーっと、嬉しそうに笑った。まったく、何が嬉しいんだか……。


「ちょっと無防備すぎだぞおまえ」


「そうかな? ぼく、昔からこんな感じでしょ?」


「そりゃあそうだけど……その、おまえはもう女子高生になるんだから。むやみやたらに裸になるみたいなことすんなよ。女の価値を下げるぞ」


 にこにこ、と真琴が笑う。


「なんだよ?」


「ううん……ただね。私のこと、ちゃーんと思ってくれてるんだってさ。そう思ったら……うれしくって口がにやけちゃうんだ~♡」


 えへえへ、と真琴が口元を緩ませる。


 その動作は……昔から変わらない。

 その笑みもまた……かわいい弟のまま。


 でも……体は大人の女に、成長してる。


 俺は……戸惑うしかない。


「でもね、お兄さん。えんりょなんて、今更しないよ。だってぼくにとって、お兄さんはいつまでもお兄さんだもん」


 ……いつまでも、か。


 田舎にいたあの頃から俺は変わってしまった。


 でも真琴は、今も変わらないで居てくれる。


 それが……心地よい面も、ある。


「とゆーわけで、毎朝女子高生との添い寝+裸見ちゃうイベントがあるから、そこんとこよろしく~♡」


「調子に乗るな、あほめ」


 俺は彼女とともに部屋を出る。


 そして……気付く。


「な、なんか……キレイに片付いてないか? 部屋の中?」


 そのままにしてあった洗濯物とか、脱ぎっぱなしのスーツとかが、ない。


 とにかく、床に何もおいてないのだ。


「私が1日で片付けました」


「おまえが?」


「そー! お兄さんが寝たあと、ちょいちょーいって」


 あのガサツだった真琴が、家事スキルMAXになってるなんて……。


 信じられん。


「どうどう、すごいでしょー? 褒めてくれても良いんだよー? 昔みたいにさー」


「ああ、ありがとよ」


 俺は真琴の頭に手を乗せて、思い切りわしゃる。


「これこれ~♡ にへへへっ♡」


 しばらく撫でてやると、真琴は超ご機嫌な笑みを浮かべる。


「やっぱお兄さんのわしゃわしゃ……さいっこーだねっ! 毎日こーして欲しいくらいだよーっ!」


 夏の日の太陽のような明るい笑みを見ていると、朝から癒やされる。


 まあ……変わってしまって驚くことはあるけれど。


 変わらない部分がある、幼馴染みとの関係ってヤツも……いいもんだな。



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【★あとがき】


モチベになりますので、


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