第126話 四層へ!
スキル【超絶変化】を発動し、見た目が大きく変化したゴクウは、さらにスキル【地煞七十二変化】で体の大きさを三倍に大きくし、ヨハンに迫る。
「あら【觔斗雲】は使わないの? まぁそちらの方がやりやすいからいいけど」
「キシャアアアアア!!」
仲間を奪われた悲しみの雄叫びを上げながら、ゴクウは拳を振り上げる。
それをヨハンは、動くことなく待ち構える。そして、その怒りの鉄拳がヨハンの顔面に触れようとしたとき、ゴクウの動きが止まる。
「ワーフェンリル――【グレイプニール】……【デモンフリーズ】」
地面から伸びた三本の鎖がゴクウの体を捉え、締め上げる。
さらにデモンフリーズによってスキルを封じられ、防御能力も0になった。
「ギィ……キシャアア」
「フフ。吠えても無駄よ。クロノドラゴン、【
「ぐるおおおおん」
クロノドラゴン最強のスキル【真時空竜王領域】が発動すると、周囲の空間がねじ曲がり、あちこちに時計型の魔法陣が浮かび上がる。この時を支配する領域では、クロノドラゴンはバトル中に使われた全てのスキルを発動することができる。
「あれよ、ゴクウが使ったあのスキルを使うのよ!」
「もぎゅ?」
「えっと……」
『あれ!』では伝わらなかったので、メニューから発動可能なスキルの一覧を表示する。
「そう、【超絶変化】!」
「もぎゅ! ぎゅるおおおおおおお」
タイムメイカーは発動条件を満たすことなくスキルを発動させることができる。発動条件不明の【超絶変化】すら、発動可能なのだ。
そして、【超絶変化】は無事発動に成功したらしく、クロノドラゴンの体が赤金色に輝く。
「素晴らしい、夕焼けの色だわ。素敵よクロノドラゴン! で、ステータスに変化は……ないみたいね。一体どういうスキルなのかしら」
ヨハンは首を傾げた。
「まぁいいわ。すぐにわかるでしょうし。クロノドラゴン!」
「ぎゅるおおおおおおん」
ヨハンの指示を受けて、クロノドラゴンは拘束されたゴクウに対し、容赦なく【ジオサイドフォース】を打ち込んだ。
***
***
***
『レベルが41に上がりました』
というメッセージを受け取る。だがヨハンの興味は、ゴクウ消滅と同時に現れた宝箱だった。宝箱を開けると、中には赤く輝く召喚石が。
「ゴクウの召喚石、受け取ったわ。ええと、スキルはっと」
ゴクウのスキルが気になっていたヨハンは、早速調べ始めた。召喚石を撫でると、中に入っている召喚獣のステータスが表示される。
【觔斗雲】3分間觔斗雲を呼び出す。
【地煞七十二変化】自身の体を大きくする。又は小さくする。時間は10分。解除可。
【超絶変化】
発動条件:15分の間に自身の『相手の攻撃によってHPが0になることによって消滅した』召喚獣が2体以上いる場合発動できる。
効果:15分以内に『HPが0になることによって消滅した』召喚獣の数だけ、HP・MP以外のステータスが1000ポイント上昇する。
ヨハンは頭に【?】を浮かべながら首を傾げた。
「む、難しいわ……けど、相手の攻撃によってHPが0ってことは、MP切れの自滅やダムドチャージではいけないのよね……使いどころは難しいけど、条件が満たされればかなり強力かも」
だが、積極的に発動を狙うスキルでもないと思い、召喚石をストレージにしまう。
「ふぅ……疲れたわ。四層を見て回りたかったのに」
さてこの後はどうしようか。また明日にするか、もう少し続けるか。
そんなことを考えながら、ヨハンはボス部屋を後にした。
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