一角獣の見習い騎士
@hiruga-masaki
一角獣の見習い騎士
日向 真幸来(ひるが まさき)
プロローグ
「魔法・ワイズ・ロア」が、それを駆使する「魔法使い・マグス」や「魔女・ウィッチ」の血統と才能によってのみ操つられていた中世は終わった。
数式化され、万人に開放された近代的な理学魔法術と、それを扱う「魔術師・ウィザードリー」、さらには理学魔法を応用し機械化された「魔法機関」の革新が日々華やかなりし時代──。
ある日、古い大陸の西側に位置する国々の中でも、名門の誉れ高いブランシェット王朝の十六番目の当主の首が斬られて、ごろりと籠へ転がり落ちた。
その日がルブランス民主化政府の流血革命記念日だ。維新の波が押し寄せる中、英雄に祀り上げられた男は有頂天になって、革命記念日にあわせて新たな暦を新調したほどだ。
英雄となった男はその勢いのまま、「魔法機関」により高められた武力を背景に、周辺諸王国を「民主化する」との口実で侵略し、併合していく。
軍事大国となったルブランス共和国で権力を握った独立の英雄は、その後も続く数多の勝利に照らされ、まるで絶対王政を強いていた昔の国王に似て、「終身総統」なる強権的地位を生み出し、そこへ登り詰める。
その「英雄」セザール・ゴドフロアの命により、民主化戦争が旧大陸各地で繰り広げられ、三十年が過ぎた。
大陸の西側がほとんどルブランス共和国の支配下となった頃──今はルブランスの属国となり、亡命した王家と政府とが存在するローランド王国に、古の良き魔女から与えられた一角獣と共に、王家のため闘う新たな騎士が誕生した。
これは、その一角獣を背負う若き騎士の誕生の物語である。
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