第3話 ボウリングとお姉さん
あの日から3日後俺はまた同じ公園に居た。
なぜ?と大多数の方が思うかもしれないので少し回想をする。
~~
俺が放った矢はブルに入るのではなくその2cm上くらいに刺さった。
その後、お姉さんが投げた矢はまた見事ブルに刺さった。
この人は早くプロになった方がいい。
「はい!私の勝ち!じゃあ3日後同じ時間、同じ公園で!」
~~
今日は塾が無く、案の定親も仕事だったので学校が終わりゆっくりしながら待ち合わせの時間を待っていた。
俺は時間10分前に到着したが、お姉さんの車は9時ぴったりに夜の公園へと到着した。
「それじゃあ行こっか、少年。」
車に乗って、俺は行き先を聞いた。
「今回はどこ行くんですか?」
お姉さんが車を発車させる。
「ボウリング場!」
お姉さんは前回教えてくれなかっだが、今回は素直に教えてくれた。
「ねぇ知ってる。少年。ボウリングって紀元前5200年からあったらしいよ!」
この知識を自慢したかったから目的地を教えてくれたのか。
「はい知ってます。」
この前テレビでたまたま観た。
「えーー!もう、じゃあこれは!ボウリングって最高スコアは300なんだよ!」
「はい知ってます。」
これは元々知っていた。
「もう!私は怒んないけど、こういうのは知らないフリするのが基本なんだからね!」
「はぁ。」
そういうもんなのか。
そんな話をしていると、目的地に着いた。
諸々の手続きを終えると、2人とも靴をレンタルし球を選んだ。
俺は12ポンド、お姉さんは9ポンドだ。
「久しぶりだから上手くできるかな?」
そんな事を言っていたがお姉さんは予想通り上手かった。ストライクかスペアをほぼ確実に取る投球はもはやお見事としか言えなかった。
その点俺は1ゲームに多くて2つしかストライクを取れない極々普通の投球をしていた。
だけど、お姉さんは俺が投げるたびに、
「やるじゃん!少年!」とか
「あー惜しいね!」などの
言葉をかけてくれたので久しぶりのボウリングだったがとても楽しむことができた。
~~
5ゲーム目の10フレーム目、明日も学校なので時間的にもこれがラストだと思った。最後はストライクを取りたいなと思った。
お姉さんもそれを思ったのか、
「ここでストライクを出したらご褒美あげる!」
俄然やる気が出る。
想いを乗せたボールが俺の手から離れた。
そのボールは1秒後には全てのピンをなぎ倒していた。
「よし。」
俺がお姉さんの元に帰るとお姉さんは
「よくやったね!ご褒美あげる!」
そう言って165cmのお姉さんが180cmある俺の頭に手を伸ばし撫で始めた。
数秒で終わるかと思い身を委ねていたが、中々終わ事はなく周りのお客さんの羨ましそうな視線が目に入る。
「お姉さん、み、見られてますよ。」
「うん!知ってる!」
「は、恥ずかしいですよ。」
「うん!知ってる!」
このお姉さん怒ってないと言いながら車での出来事を全然根に持っていた。
俺はこのお姉さんが思ったより腹黒だということを再認識した。
さて、この頭なでなではいつまで続くのだろう。
恥ずかしいが、普段人に撫でられる事がないので久しぶりのこの感触が懐かしかった。
ふと、お姉さんの色白の顔を見ると少し紅潮していた。周りが見ても気づかない程度に。
それを見てこのお姉さんも無敵じゃないんだなと思い少し安心した。
さて、まだ2球残っている。
お姉さんが手を離してくれたらターキーに挑戦だ。
塾帰りに腹黒色白黒髪お姉さんに拾われました。 枯れ尾花 @nonokajt
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