3、出会い

 ガヤガヤ。ガヤガヤ。この組は、陽気な子が多く、いつも騒がしい。そんな子が

みんな、転校生が来るというので今のうちは、静かにしておきなさい、と二条先生

から言われていた。だから、静かにしておいたのに・・・。そんな時、凛さんが

騒いだ。一体何があったのだろう?「あなたが岡田小太郎?!」って言われるって?

一体何があったらそうなるんだ。

「岡村さん、どうしましたか?」

「え?いえ、何も・・・」

「何かあったんでしょ?知ってます?岡田さんのこと」

「え?それは・・・」

「ま、いいです。授業を始めましょう」

それから、時間はどんどん過ぎた。「光陰矢の如し」ってやつだ。そして、それから

何故か、凛さんにたくさん声をかけられた。よくわかんないけど?


 ここで、たくさん話しかけておいた方がいいよね?てゆっか、岡田小太郎って

こんな子だっけ?言われてみれば確かに顔は似てる。でも、車いすに乗っているだ

なんて聞いていない。そのあと、小太郎のことをたくさん聞きだした。想定外

だった。料理は部の中で一番下手で、料理をしない私だって作れた大学芋が切り口が荒く、焦げて、黒ゴマの量も、ものすごく多い。タレは多すぎで、調味料のバランスもおかしかったらしい。最終的にゴミ箱に入りそうなものを作るやつだった

なんて。マッチングアプリ、「Boy&Girl love・mix」にこれを載せて、モテるため

に、調理部に入ったとか?まあ、それならサッカー部だとか、野球部だとか

いろんな選択肢があった。まあ、確かに料理できる男子って、いいけどさ。そして、

かなりのドジ。すごいドジ。車いすを使っている理由も、調理室を出るときに、

ドアにぶつけて、それで、打撲していた。しかも、少し骨折していたらしい。それを

知らない学校で、また同じ個所を打ち付け、ひどくなり、病院に行くと、骨折判明。

それでも、カッコつけようと思って、地下鉄の階段を降り、落下してさらにひどく

なり、医者からも呆れられて、車いすを使っているらしい。それで、今はちょっと

でもカッコつけようとして、車いすテニスをやっていると。結果、分かった彼の情報

は―—―

1、料理音痴。

2、ドジ

3、カッコつけ

4、ちょっと社交的

5、すぐに調子に乗る

6、それにより、他人に怪我をさせることもある

全くのはずれ。見当違いだ。どこを見て、この完璧な私と相性が高くなるんだよ?

マジで最悪。そんなやつを求めて、ここまで自立までして、この高校にやってきた。

でも、この“Boy&Girl love・mix”は、大手企業が運営しているマッチングアプリ。

そんなミスなどするのだろうか?まあ、ちょっと様子を見よう。もしかしたら、

いい線来るかも?


 いったい何だったんだろう?僕の顔は知っていても、名前は知らない――はず。

実は幼稚園や小学校とかの古い友達だったとか?あるいは、僕の遠い親戚。

そう考えて、家に帰宅すると、母親にいち早く聞く。

「岡村凛・・・?知らないわね・・・」

父親も同じ反応だった。

「岡村凛か。う~ん、俺はお前の幼稚園や小学校の友達はよく知っていたが、そんな

やつ聞いたことない。親戚には、そんな奴いないはずだし。仮にそうだとしても、

どうやって、小太郎を親戚と知って、そしてなぜわざわざここまで来たのか。

そこらが、全くわからん」

確かに。僕とどういう縁があったとしても、なぜわざわざ会いに来たのか?それが

よくわからないんだけど・・・。まず、彼女からそれを聞いた方がいい。どちらかと

言えば、社交的なほうだ。それくらい聞き出せる――はず。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る