第2話_閑話②『図鑑全文【命綱の木_パープルメルトの進化仮説】』

パープルメルト


シダ植物門 ゼンマイ目 ムラサキサンツボミ科


学名 ムラサキサンツボミ


多年生植物。

大きさ・平均1m60㎝最大2m以上

繁殖方法・胞子

危険性・高い

分布・基本的な生息地は東から南西付近の湿気の多い森林地帯に生息する比較的珍しい植物。


特徴

3~4枚の胞子葉、そして大きな蕾のような袋があるのが特徴的です。

蕾の裏についているわずかな複数の匂いを放つ60㎤小さな球のような器官2,3があります。

注意として『政府指定2級超危険植物』です。

その理由としてパープルメルトの生態は、食『獣』植物です。

パープルメルトは根と口のような部位から、

近くを通った動物を吸収しそして消化して養分とします。

パープルメルトの最大の特徴は近くに獲物が通ると紫色の袋から消化液を吐き出し、

瞬間的に消化させて殺してから、栄養素を根っこから吸収することです。

この消化液は酸よりも強力と言われており、あたったら大けがを負うので注意してください。

消化液、発射時に嘔吐のような音とツボミの向きが変わります。

またこの時ににおいの器官は一気に消化液とともに混ざり合います。

消化液もといにおい液は非常に甘い匂いをしているのですぐわかると思います。

匂いはリンゴとスイカとはちみつを混ぜ空腹感をそそるような特徴的な匂いです。

ではパープルメルトはどうやって獲物を探知するのかというと、根っこに伝わる

わずかな振動を感知して獲物を判別します。

もしもパープルメルトと出会ったときは、袋のついてない後ろから刈り取るのが効果的です。


古代から紫酸蕾と呼ばれ忌み嫌われていました。

ですがその特徴的な消化液を利用した兵器の一揆が各地で発生したという

歴史的証拠は各地で残っており

この嫌っていたというのは幕府などの支配層による文献が多いためと

歴史学者は考えているらしく、

武士の鎧の機動力ではよけられないために鎧破壊の道具として

一部地域で栽培されていた形跡がありました。

ところが17世紀初頭、その繁殖していた地域から

一気に異常増殖をし、その影響により藩が三つ滅びました。

以降、繁殖は完全に禁止され、冒険職が登場してきてからは、

できるだけ見かけたら切る考えが主になりました。

ただ危険性ゆえかその消化液の内容物や、生態には謎が多く

いまだに研究が進んでいないのが現状です。


なお、一部地域では食材や染料、一部民間療法の麻酔薬として使っていることがあり、

調理は葉っぱを主に天ぷら、みそ汁、つくだ煮などに使われています。


-コラム-【命綱の木_パープルメルトの進化仮説】

研究者のパープルメルトの進化について、このような有名な考察があります。

『パープルメルトは、においとその強靭な生命力と栄養素により

多くの生態系を守り進化を促してきた可能性が高い。


概略

近年の研究では人間によって食物の取れず生態系を脅かされた種などが、

パープルメルトにたどり着いて食われるのは、彼らなりの生き残りのための

賭けなのではないだろうかと、提唱する学生もいる。

彼らは【パープルメルトは生態系を保存しつつ多くの種の絶滅と進化を促してきたのではないか?】と提唱している。

私もこれは一考の余地があると思い、学生とともに調べた。

そこでパープルメルトの食物連鎖を調べていくうちに

先述のブドウ糖やパープルメルトの進化の推測に行きついた。


本文

パープルメルトが甘い匂いをだすようになったのは

おそらくブドウ糖が起因していると考えられている。

生態系、及び栄養学的には、ブドウ糖は人類をはじめとした

哺乳類科の動物の脳を動かすことに非常に重要視されている栄養素だ。

はちみつのようなにおいも混じっていることから

西旭我栄養科学研究所(旧:西旭我食品衛生研究所)に鑑定してもらったところ

100gあたりのはちみつに存在している

グルコース(ブドウ糖)の量とパープルメルトの匂いの球に

ふくまれるグルコースの量を調べたところ

なんとか採取した最も小さいパープルメルト(58cm)でも

最大4.3倍多く含まれておりまた非常に栄養価の高いことが分かった。

またグルコースを結晶化しないために暖かく体組織を

多くの栄養とともに循環していることも分かった。


おそらくはじめはただのゼンマイ科の植物だったはずだ。

ざっとパープルメルトに最も近いとされる種類の化石の

生物が水生生物が陸上に上がる前の時代の地層から発見されている

その化石を見る限り溶解液の袋がないことがその証拠である。

だが古代に虫が陸を支配し数が減り、食虫植物へ進化する、

しかし今度は陸上に動物が支配し虫を食べる動物によってまた数が減り、食獣植物へ

そして今度は肉食動物が現れた・・・だが、いくつかの絶滅のターニングポイントにより

動物の総数自体が減る。動物が活動をするために必要なのはブドウ糖。

それも虫も食虫動物、肉食動物、草食動物が

絶滅の食糧難により欲してやまない最高の栄養源と分かる匂い

そのような匂いが自然のなかですれば絶滅から種を存続するために

動物は強靭な植物を刈り取るために進化をする。


草食動物は群れを成し、肉食動物も、

パープルメルトの近くに巣を構え、狙ってやってきた動物を狩る。

栄養素の塊のパープルメルトが朽ちたところから、

また木や虫が生まれ、同じ循環が始まる

パープルメルトは、多くの命をより強く生き残らせ、

滅び、進化し続けめぐり生態系を担う命綱の木でもあるのだ。』


~葉阿李大学特定脅威植物研究室 巻牧岡 紫 教授 同研究室在籍学生(背面にて記載) 

共同執筆論文【命綱の木_パープルメルトの進化仮説】抜粋

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