B
生徒の面接練習は終わらない。
昨日の男子生徒のやたら『印象』に残ろうとするそれは、彼の就職に懸ける思いからのモノなのだろう。
(実際は親の仕事を継ぐから要らないらしいが・・・)
何はともあれ今日は女子生徒の練習だ。
とても歴史好きのいわゆる『歴女』というやつだ。
コン、コン、コン。
丁寧に叩かれて鳴るノック音、合図をする。
「どうぞ。」
「御用改めである!!」
「何事ですか?」
「御用改めである!!」
「君も先生の話を聞かないタイプですか?先生、早速胃が痛くなってきました。」
「先生!印象に残りますか?!」
「うちのクラスって『印象』にこだわりますよね?」
「残りますか?!」
「墓まで持ってくほどには残りますね。来世は産まれた瞬間から胃が痛くなりそうです。」
「FU〇K!!」
「女の子が『F〇CK!!』とか言っちゃいけない・・・。」
「もう一度最初からお願いします!!」
「まだ続くんですか・・・先生なにか悪いことしましたか?」
問答無用か、彼女は廊下へ戻り再びとびらを叩く。
ドン!ドン!ドン!
「強すぎますね、まぁいいや、どうぞ。」
「先生!!」
「なんですか?」
「馬に乗って入ってきてもいいですか?!」
「いいわけないでしょう?」
「でも印象が・・・!」
「面接官にトラウマ植え付けたいんですか?」
「馬だけに!」
「うるさいです。」
「じゃあ次は『一休〇ん』でやります!」
「トラですか?てか面接で寸劇するやつ絶対いない・・・。」
「じゃあ印象強いですよね!!」
「面接会場にトラ連れてかないでくださいね。先生絶対呼び出されるので。首が飛びますよ?」
「打ち首ですか?!」
「超失礼です。」
「介錯いたします!!」
「結構です。」
「でも面接官が外国人だったらウケますよ?!」
「セプーク、ハラキリー・・・。」
「こんな感じなら手応えアリだと思うんですけど、どうですか?!」
「悪い意味で『印象』に残りますね。」
「先生!!」
「また最初からですか?」
「バイトあるんで帰っていいですか?!」
・・・好印象です。
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