第15話 オタク部屋!?
みなさん、オタクと言ったらどんなものを思い浮かべるだろうか。例えば、アイドルオタクなら、ペンライト。ゲームオタクなら様々なゲームハード。そして、アニメオタクならタペストリーやフィギュアの並んだ部屋。いわゆるオタク部屋。そんなところだろう。
俺もアニメオタクではあるが、部屋にフィギュアの類はない。中学の頃に一時期やろうとしたプラモ作りの残骸であるエヴァ初号機と、ガンプラが二機のみである。
なぜか。俺もタペストリーやフィギュアは集めたい願望はある。だが、集めるほどの金がないのだ。悲しいことに。だって、中3の頃でも小遣いが1200円だぞ?少ないだろ!それに、俺は原作を集めたい派なのだ。
ハルヒを見たらハルヒを買い、とあるを見れば禁書を買い、俺ガイルを見れば俺ガイルを買う。そんなことをしているから金に余裕がないのだ。
だから、俺の部屋には一般的な物しかない。オタク部屋なんて、アニメでしか見たことはない。今日、このときまでは。
※※※
「………」
優香の部屋やに足を踏み入れると、言葉を失った。
「どう?すごいでしょ!私のコレクション!」
すごい。壁一面にはタペストリーが、ショウケースにはフィギュアがずらり。まさに『冴えカノ』の安芸倫也の部屋である。
「す、すごいな」
「この奥もすごいよ!」
そう言いながら、優香が部屋のクローゼットを開けると、中には、つい昨日見ためぐみん衣装や、ハルヒの北高の制服、俺ガイルの総武校の制服、等々。
「ん?なんだ?さらに奥にあるのは」
「ノンノンノン!まだハオに見せてないコスプレ衣装の数々だよ!まあ、鎧系がほとんどかな」
アスナの装備は軽装だが、鎧も自作するのか?町工場にでも勤めたら?
「楽しみに待っておくよ」
決してお世辞ではなく、本心である。いつの間にか次はどんなコスで来るのか気になる自分がどこかにいた。
「あっ、忘れてた。いけない、いけない」
そう言うと、優香はスマホを取り出し、操作し始めた。
「何をしているんだ?」
「ドア閉め忘れてたから、とりあえず、外側の方だけでも閉めておこうと思って」
スマホの遠隔操作でドアを閉めるなんて、ハイテクだな〜
「ハイ!完了!準備も整ったことだし、作戦会議、始めようか!」
※※※
「まずは、今日わかったことからまとめよう!」
と、言っても、わかったのは陽キャグループの奴らが、だいたい高校デビューだったってことぐらいだがな。
「一つ目!謎の転校生が来る!」
たしかに、今日わかったけど、俺に関係なくない?
「超能力者だといいな」
「うんうん!で、2つ目!クラスの陽キャは…」
「たっだいま〜!」
優香が本題を言いかけた瞬間、突然現れた声の主は…
「おっかあさんが〜帰ったよ〜!」
優香のお母さんだった。
「「お母さん!?」」
優香も驚いているようだ。
「んん!?誰?優香のお隣の子」
「お、お邪魔してます。同じクラスの滝中葉音です」
「あら〜!あなたが葉音くんね!私は優香の母親の春川優那です!ちなみに、旧姓は川島よ!」
いや、旧姓の情報はいらんだろ。
「もう!お母さん!勝手に入ってこないでよ!」
「だってぇ〜ドアの〜前に〜立ったら〜勝手に〜開いちゃったんだもん!」
喋り方が妙にウザい。だが、どういうことだ?優香の部屋のドアは顔認証のはずだが…
優香のお母さん、優那さんを改めてよく見ると、優香だった。あれ?日本語おかしくなってしまった。しかし、そうとしか言いようがない。顔が瓜二つなのだ。髪型まで全く同じにしているので、なおさらわかりにくい。背は同じくらいに見えるし。違いといえば、胸の大きさくらいか。
「ハオ。お母さんのおっぱいと私のおっぱい、比べたでしょ!」
「いや…そんなことは…」
「も〜!ハオはエッチなんだから!」
おお!ラブコメヒロインが言いそうなワード、いただきました!
「葉音くんはエッチな子なの?」
そんなに真面目に質問しないでください!お母さん!!
「極めて真面目な男児です!」
「ふぅ〜ん。よく見ると、けっこうカワイイ顔してるわね。問題は髪型ね。うん!優香、よくやった!これは磨きがいありそうよ!」
ど、どったの?お母さん、めちゃくちゃ気合い入っちゃってますけど!?この展開どこかで……
思い出した。これ、あれだ。ユーチューブとかでよくある、脱毛とか、ヘアサロンの広告に出てくるやつだ。非モテ主人公が女の子に『君、磨けば光るよ』的なこと言われて、女の子のイケメンお兄ちゃんが主人公をイケメンに変身させるアレ。きっとそれだ。
俺って、広告の主人公くらいひどい状況!?
「あの、作戦かい…」
「さあ!ついてきなさい少年!大志を抱け」
最後の使い方違うだろ!
俺は為す術もなく、春川母に連行された。
優香はその状況を理解できず、立ち尽くすばかりで、全く役に立たなかった。
作戦会議は!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます