第13話 どうする!?

 ただいま6時間目の授業中


 授業中は黒井さんと白井さんには廊下で待ってもらっている。ほんとは目立つのでリムジンに戻って欲しかったのだが、いつ俺の身に危険が降り掛かってくるかわからないとのことで、妥協して廊下である。教室内で待たれてはまるで授業参観だしな。


 6時間目は古典の枕草子の授業だ。やってる内容は中学のころと対して変わらない。今は一人ずつ段落ごとに音読をさせられている…のだが。

 

 グサッ


 また、背中に激痛が走る。


「うぉい!なにすんだ!しかも、一日に2回も!」


 今回は背中をコンパスの針で刺されていた。優香!お前は俺の背中に風穴開けたいのか!


「ごめんごめん!でもさ、ちょっと、今音読しているやつをよく見てみて」


 今、音読しているのはクラスでも、陽キャのグループにいる男子だった。


「それがどうしたんだ?」


「声をよく聞いてみて」


 なんだ?よく聞いてみると少し違和感がある。堂々と音読しているように聞こえるのだが…


「違和感に気づいた?よく聞くと、声が震えているでしょ?」


 確かに!所々声が震えてしまっている。


「だからなんだって言うん………わかったぞ!」


「私の言いたいことわかった?」


「ああ」


 今、音読しているやつの化けの皮が剥がれたってことだ。


 畑高は日本一頭のいい、偏差値の高い学校だ。そんな高校に、普通の学校と同じように、色々なタイプの人が入って来れるだろうか。要するに、今、クラスのトップカーストにいる奴らや、陽キャやっている奴らの大半が高校デビューだったってことだ。多分中学では真面目くんだったに違いない。


「で、だからどうしたんだ?わかったからと言って何があるっていうんだ?」


「多分、高校デビューで陽キャしようとしている奴ら同士が空気に合わせてグループ化しているんだと思う。だから、これを奴らを脅すネタにできるかも」


 えっ?何この子、怖い!脅すって何を?


「これでハオに対するいじめもなんとかなるかもしれないね!」


 そいうことね!やっぱりこの子かわいい!いい子なんだけど!


 

 このことについて、また優香と作戦会議をすることになった。次は優香の家で。


 俺のリア充度が日に日に増している!


※※※


 放課後


 授業も無事に終了し、今は、アスナ優香とともにリムジンに向かっている。リムジンの前には白井さんが待機していた。


 いつの間にか黒井さんしかいなかったな。


「お嬢様。このあとのご予定は」


「白井さん。ハオの前ではお嬢様はやめてって言ったでしょう!」


「失礼致しました。以後、気を付けます」


「そうだ、予定だったわね。このあとは私の自宅でハオと作戦会議をするわ」


 なんだか、普段と違って、喋り方が微妙にお嬢様感あるな。


「承知いたしました」


「さあ!ハオ!乗るわよ!」


 やたらとテンション高いな!


※※※


 車内


「ふぅ〜やっと今日の学校も終わったな」


「ハオの身に何もなくてよかった!やっぱりボディガード効果ありありでしょ?」


 確かにそんな気もする。が、やはり恥ずい!


「そうだな。そういえば、優香の家はどのへんなんだ?」


「えっと、あと車で三十分くらいかな」


「ほう。三十分………えっ!?優香、お前、いつも車で三十分かかる距離を徒歩で来てたっていうのか?車で三十分ってことはだいたい……10キロくらいあるじゃないか!徒歩ならだいたい……3時間以上はかかるだろ!一体何時に家を出たらいいんだ」


 つい、驚きのあまりキャラ崩壊をしてしまった。


「いつもは3時くらいに家を出てるかな。歩くの楽しいし、朝の風は気持ちいいよ!」


 どこのジジババだよ。3時は朝じゃねー!まだ真夜中だ!


「朝は何時に起きるんだ?」


「2時くらいかな。準備間に合わないし。でも、一つ難点は夜ふかしして、深夜アニメをリアタイで見れないことかな〜。高校生って大変だね!」


 いや、大変なのはお前だけだよ!


「これからは車で来なさい。危ないから!女の子が真夜中から外で歩いていては危険でしょ!変な人に絡まれたらどうするの!」


「ハオがお母さん化してる!?」


 ふぅ〜。本日2回目のキャラ崩壊してしまった。


「すまん。だが、ホントに危ないぞ。補導の対象時間って何時までだっけ…」


「まあ、これからはハオと一緒に車で行くから大丈夫でしょ!」


「それもそうだな………って、明日も迎えに来るのか?」


「えっ?そのつもりだけど、イヤ?」


 『イヤ?』ってのを上目遣いで言ってくるのは反則だ!


「イヤ…じゃないけど、ありがとう」


 優香を直視できない!


「じゃあ、明日も同じ時間に向かうね…っと言っているうちに我が家に到着!」


「早いな。もう着いたのか……って、デカっ!」


 

 優香の自宅の第一印象はデカかった。



 



 










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