間話 春川優香の気持ち
4月8日
今日から高校生だ。私は入試トップだったから新入生代表として挨拶をした。とっても緊張した。でも、めぐみんに着替えてよかった。安心して、最後まで言い切ることができた。畑高には頭がいい人しかいないから、なんの衣装かわからないと思うから恥ずかしくない。でも、一人だけ『このすばじゃねえか!』って叫んでる人がいた。まずい。初日からオタクだとバレるのはまずい。あとで誰か探して口止めしておかないと。
クラスは1年5組だった。教室に行く途中に、入試成績上位者が貼り出されていた。もちろん私の名前が一番上に書いてあったが、二番目の人と点数がわずか1点差だった。『滝中葉音』。どんな人だろう。
今日持ってきた衣装は私服とめぐみんと涼宮ハルヒだった。自己紹介をするときになんのコスプレをするか悩んだ。『這い寄れニャル子さん』の「…いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌ニャルラトホテプ…」でも良かったけど、やっぱりハルヒにした。
コスプレしたらそのキャラになりきる。そう決めてるから今日はハルヒみたいな喋り方しないと。
教室に着き、座席表を見ると、ハルヒと同じ位置だった。これはキセキだ。ほんとそう思う。だとすると前の席の人がキョンかな。前の席の人の名前は『滝中葉音』。二番目の人だ。少し運命?を感じた。
滝中葉音の自己紹介は平凡中の平凡。別に特別頭の良さそうなことを言うわけでもなく、特に当たり障りのないようなことを言っていた。つまんないの。次は私の番だ。
あの名言を言った。もちろんクラスメートがわかるはずもなかった。先生くらいわかってほしかったけど、知らなかったみたいだ。滝中葉音、ただ一人を除いては。
自己紹介が終わり、自由時間になった。だけど誰も私に話しかけて来ない。みんな絶対あの自己紹介で興味持ったはずなのに。そう思った矢先、前の席の滝中葉音が話しかけてきた。ハルヒっぽく、冷たい話し方で返したら、こんなことを言ってきた。
『もしかして、俺と同類なのか?』
えっ!?どういうこと?まさか、オタクってこと?ってことは、さっきの、『このすばじゃねえか』ってやつも滝中葉音だったの?カァァァァァ恥ずかしいぃぃぃぃ!めっちゃ引かれてるよね絶対。頭おかしいもん自己紹介で本当にハルヒやるなんて。挨拶だってめぐみんの詠唱だし。……いや、まだ滝中葉音がハルヒやこのすばを知っているとは限らない。聞いてみよう。
「あんた、もしかして、涼宮ハルヒの憂鬱を知っているの?」
「ああ」
やっぱりかー!や、やはり口止めしとかないと。
「ちちちょっと、ツラ貸しなさい!」
噛んだー!これも恥ずいんだけど!
続く
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