第11話 注目!?
俺は学校に向かっている。美少女と、リムジンで。多分夢だ。そんだけ現実味がない。
「な、なあ優香?」
「なに?」
「優香はいつもこんなふうにリムジンで登校しているのか?」
「いや、いつもは徒歩だけど」
「そ、そうか」
リムジンの中で美少女と二人っきり(厳密にはボディーガードがいるが)の状況で、何を話せばいいかわからん!会話続かねー。まじで陽キャの神よ!俺に話術を!
「ねえハオ、昨日の子、どうなったかな?」
昨日の子?…ああ、大山三郷のことか。
「さあ。僕も昨日の朝にたまたま遭遇しただけだからな。でも、無理じゃないか?高山高校のやつが畑高に受かるなんて天地がひっくり返ってもないな」
「それフラグじゃない?」
フラグ感ありありなセリフだったが、別に俺に害のあるフラグじゃないからいいか。
「それより、そろそろ学校につくんじゃないか?」
窓の外から学校が見える。ついでに登校中の畑高の生徒も少し。(まだ午前6時40分くらいなので人は少ない)
「な、なあ優香、なんだかすごい視線を感じるのだが…」
「そうだね〜」
リムジンで登校すりゃ〜目立つわな。
なんか、めっちゃ恥ずいんですが!
そんなこんなで、校門に到着した。
「さあ降りるわよ!」
「お、おう」
優香はアスナのフル装備で学校に向かおうとしているようだ。普通の人なら驚くだろうが、俺はもう慣れた。この異常な状況に動揺しない。慣れって怖いな。
俺も優香に続いて学校の荷物を持ち、降りようとすると。
「なんでエリュシデータ置いていくの?護身用だよ」
俺にまでコスプレを強要するのか!ただでさえリムジン登校で恥ずいのに、これ以上に羞恥心を捨て去れというのですか!
「お〜う、忘れてた!サンキューな」
優香からのプレゼントを些末に扱うわけにもいかず、しぶしぶエリュシデータは俺の相棒となり、学校におともすることになった。
※※※
…ナニアレ?……優香様のまねごとか?……近くにいる黒服の人ヤバくない!?…
何やらコソコソと俺のことを話している奴らがいるな。
「なあ優香、学校の中までボディーガードはいらなくないか?目立つし」
「いやいや、学校が一番危ないでしょ!まさか学校外の人からも狙われてるの?」
「狙われてない」
ボディーガードの黒井さんと白井さんは学校の中までついてくるらしい。もう、学校中に注目されて嫌なんだが!陰キャオタクの俺を殺す気か!
「そろそろ教室だ!よかった〜ハオに何もなくて!ボディーガード効果だね!」
まあ、ボディーガード効果はあったと思うが、俺への精神的ダメージが大きい。
廊下の角を曲がると。
「きゃっ!」
俺とぶつかったのは久しぶりな気がする南出先生だった。
「先生すいません。僕の不注意で。次から気をつけます」
「別に平気ですよ。あれ?滝中君って剣道部でしたっけ?だとしても、それはどう見ても竹刀にも木刀にも見えないし…って、ええっ!?誰ですか後ろのいかつい人たちは!」
まあ、そうなりますよね。剣道部本当に入ろうかな。あと、俺が後ろにゴツい人を連れて歩いてるやつ見かけたら、絶対二度見するしね!
「ま、まあ僕の専属ボディーガードみたいな人たちです」
「『みたい』じゃなくて、ボディーガードでしょ!」
優香が訂正する。
「えっ?なんで?ボディーガード?学校に必要なのそれ?…あっ、すいません、それって言っちゃった」
南出先生から疑問符が浮かび上がってくるようだ。なんかホントすいません!めっちゃ焦らせちゃって!
「さ、最近、僕の身に危ないことがあったのでそれで…」
り、理由が苦しい…。嘘ではないが。
「そうなの?た、大変ね!…あっ!ごめん滝中君、私急いでるんだった!私は行きますね!」
南出先生は足早に去っていった。
絶対、俺が次に南出先生に会ったら警戒されるやつじゃん!入学四日目から担任に問題児に近い認識されるとか最悪だ。
「うん。まあ、大丈夫だよ!とりあえず教室に入ろう!」
少し憐れみが含まれていたような気がするが、ボディーガードはお前が付けたろ!まあ、ありがたいけどさ。
そんな優香に手を引かれ教室に入った。
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