第8話 ウチくる!?

「ちょっと待っててねハオ!」


「お、おう」


 まるでリア充こと、滝中葉音です!ただいま優香を待ち途中。授業サボって美少女と一緒に早退とか、アオハルかよ!


30秒後


「ごめん、待った?」


「いいや、今来たとこ」


「は?」


「なんでもない。じゃあ、帰るか」


 スイマセン、デートの待ちあわせみたいなことしたかったんです!完璧に使う場面違いましたね!


※※※


「ふぅ〜ん。ハオの下校ルートってこっちの方なんだ」


「そうだが、優香はこっちでいいのか?」


「大丈夫!真反対だけど大丈夫!」


 全然大丈夫じゃねー!


「本当にいいのか?」


「大丈夫!そうだ!ハオの家で作戦会議をしよう!うん。それがいい!」


 なんか勝手に家に上がることになっているのだが!?まあ、いいんだけどさ。この時間だったら妹もいないだろうし。なんかテンション上がってきたー!家に友達を連れて行くのはじめてだし!


「まだそこそこ歩くぞ」


「体力だけには自信があるのでね!」


 他にも自信もてよ!今年の高1で一番頭いいだろ!


「そういえばさ、ハオって、いつからアニメ見始めたの?」


「唐突だな。僕のアニメ歴は親が言うには13年らしい。初めて見たアニメは涼宮ハルヒの憂鬱。リアタイで見てたらしい。ちなみに初めて喋った言葉は『ハルヒ』だったらしい」


「らしいらしいって、覚えてないの?」


「なんせ、当時2歳だからな。でも、ハルヒ見て高校に憧れた記憶はある」


「ほんとに?2歳で高校知ってるとかどんだけ天才なの?」


 たしかに。よくよく考えると、頭良すぎて頭おかしいな。


「でも、ハルヒは深夜アニメでしょ?そんな時間までテレビ見るのを、起きてるのを許す親がいるとは思えないよ」


「親が寝たあとに、たまたま目が覚めて、テレビつけたらハルヒがやってた。ただそれだけだ」


「いろいろツッコミたいけどまあいっか」


「そういう優香はどうなんだ?今まで見てきたコスプレの元ネタアニメ放送時期から察するに、僕と同じくらいのアニメ歴に感じるのだが」


「いや、そんなにハオほどじゃないよ。たしか、中2の冬からかな」


 まだ一年とちょっとじゃないか。


「今はアニメの配信サービスも充実してるし、ゲオとかで借りてくる必要もない!なんて素晴らしい!ネット最高!」


 俺も同感である。リアタイ逃したり、録画し忘れたりしたときの絶望感といったらもうない。その点、配信サービスがあれば何ということでしょう!1話からでも見直せるではあ〜りませんか!うん。現代、ナイス。


「優香の初めて見たアニメはなんだ?あっ、ドラえもんとか、クレヨンしんちゃんみたいな赤ちゃん向けアニメはなしで」


「ドラえもんって、赤ちゃん向けアニメなの!?知らなかった〜。う〜ん、『とある科学の超電磁砲』だった気がする」


 ※ドラえもんとクレヨンしんちゃんは全年齢向けアニメです。


「とあるシリーズか。アニメ初心者で、よく見たな。世界に入り込むまでにだいぶ時間かかったろ?ああ、超電磁砲なら入りやすいか…」


「超電磁砲はめっちゃハマったんだよね!美琴ちゃん可愛すぎ!ツンデレ中毒になったよ。でも、原作読もうと思って、『とある魔術の禁書目録』買ったら難しすぎて、途中でダウンしちゃった」


 ああ、わかるわ。読むのめちゃ疲れるよな。なぜだか。(個人の感想です)


「で、その次にハルヒ見て、そこからは早かったな。毎日ほぼオール状態。深夜四時は当たり前、みたいな生活してたから」


 それでよく、こんなに可愛く育ったな。


「勉強はどうしてたんだ?」


「まったく。テスト前の休み時間に範囲の教科書読むだけ。これで学年一位」


 そんなんだから学校1の美少女でも友達いないんだよ!と言いたくなったが、やめておこう。


「中3の時期も見てたってことだよな?受験勉強はどうしていたんだ?」


「ん?テストの時と全く同じだけど?」


 うわ。『何同じこと2回も聞いてんの?』って顔してるわ。なんかムカついてきた。


「そ、そうか。それはよかったな」


「何が良かったのかはわからなかったけど、それより、ハオの家ってあれ?」


 優香の指差す先にはまさしく、俺の実家があった。


「あれだが、なぜわかった?」


「なんだろ、ハオって匂いがした」


 どんな匂いだよ!


 遠目ではよくわからないが、俺の家の前に人影が見える。誰だ…


「あら、葉音じゃない!」


 母さんじゃないか!やべー完璧存在忘れてたー!どうしよ、優香連れて来ちゃったよ!まさかの盲点だった…


「どうしたのこんなに早く…って、誰!?お隣にいる美少女は!」


「どうも。ハオ…葉音くんのクラスメートの春川優香です!」


 優香、これまでに見たことのないくらいに、素晴らしい笑顔で挨拶していた。


「こ、こちらこそ。いつもうちのバカキモオタ息子がお世話になっております」


 やめろよ!キモオタは!!!!


「畑高に入学している時点で、バカじゃない気が…」


 よかった。優香はキモオタに反応していなさそうだ。当たり前か、優香自身、相当なオタだし。


「どうぞどうぞ。上がっていってください」


「では、お言葉に甘えさせていただいて、お邪魔します」


 優香が俺の家の中へ消えていった。俺だけを残して。おい!俺の家なんだが!おいてくなよ!



 



 


 

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