第7話 決闘する!?


「オイ、コラ。そんなんで逃げられると思ってるのか?」


「ですから、私の名前はサトウカズマと申しまして…」


「だまれ!お前の名前はバレているんだ!誰だよ!サトウカズマって!」


 ですよね〜


「とにかく、お前は春川優香様にくっつくな!」


 よく見ると、優香が俺の腕にしがみついていた。なにコイツ、めちゃかわいいんだが!これは、キュン死しろって、ことですかい?


「どうするんだ優香、僕にはどうすればいいかわからないぞ!走っても、絶対逃げ切れないし…」


「ここは私の爆裂魔法で」


「いやいや、無理だろ」


 もう、終わった。入学三日目にして、もう、集団リンチされます。俺、なにか悪いことしました?してませんよね?


  『ちょっとそこどいて〜!止まれないの〜!』 


 どこからともなくそんな声が聞こえてくる。どこかで最近、聞いたような…


 次の瞬間、前方の男子の悲鳴が聞こえる。なんか、人が宙を浮いてるし!


「ふ〜!危なかった〜!」


 俺の前で、静止する。


「いや、OUTだろ!絶対全員保健室行きだろ!」


 ついツッコミをしてしまった。『ふ〜!危なかった〜!』の声の主が顔を上げる。それは、見覚えのある顔だった。


「あっ、あなたは朝の!」


「大山三郷!?なぜ、高山高校の君がここに?」


「それはこっちのセリフですよ!」


 どっちのセリフだよ!ここ、一応俺の通う高校なんですが!


「どちら様ですか?」


 優香が質問している。冷静ですね。


「高山高校一年、大山三郷です。そちらの葉音さんとは、朝、ちょっとしたことがありまして…」


 なんでそんな意味深な言い方するの?誤解招いちゃうじゃない!


「ふぅ〜ん。そっか」


 優香さん?反応があまり良くない。もしや、俺のこと……いや、何でもないです。


「あの、バカ高校の、高山の生徒が、なぜ、うちの、学校、に」


 いつの間にか先程吹き飛ばされていた生徒会長がヨロヨロ立ち上がっている。


「いや〜、朝、葉音さんに会って、いいなって思ったんです」


 それって俺のこと…


「畑高!」


 そっちですかい!


「だから編入試験を受けに来たんです!」


「「「「「はぁ〜!?」」」」」


 そこにいた全員が全く同じ素っ頓狂な声を出した。


「ちょいちょい、三郷さん?今、編入試験とおっしゃいましたか?」


「そうだけど…」


「まだ、入学三日目でしょ!しかも、全国一の天才学校に全国一のバカ学校の生徒が受かるわけないでしょ!」


 つい、熱が入ってしまう。


「しかも、編入試験受ける手続きとかはしたの?」


「してないけど、大丈夫!その場で申し込み出来るから!」


「へ、へぇ〜、そうなんだ」


 初めて知った。


「あっ、でも、申込みは午後1時までなの!ヤバっ!あと5分しかないよ!それじゃあね葉音さん!」



 大山三郷は光の速さで走り去っていった。



「一体何者なんだあいつは!足速すぎるだろ!」


 周囲の人はみな呆気にとられていた。


「優香!今のうちだ。走るぞ!」


「う、うん!」


 大山三郷、ナイスだ!


 予想通り、先程まで威勢の良かった生徒会長も、状況がよく理解できておらず、俺らを追ってくることはなかった。


※※※


「いやぁ〜走ったねぇ〜。なんだか青春って感じ!」


「何楽観してんだ。これで、男子生徒全員が僕の敵だってことがはっきりしてしまったじゃないか!」


「そっか!」


 優香に対するイメージが、優等生からどんどんアホな子になっていくぞ!


「しかし、困ったな。これじゃあ無事に家に帰れそうもない」


「それなら大丈夫!優香に考えがあります!」


「ほう?」


「5時間目の途中に早退するのです!授業中なら誰も追って来ないだろうしね!」


 確かに。それはあるが、俺、まだ学校に来て2時間くらいしか立っていないのだが!しかし、それしかないか…


「そうだな。そうさせてもらおう。優香、僕のことは適当に理由をつけて早退したことにしておいてくれ。…って、優香、何をしているんだ?」


 優香はテキパキと帰りの準備をしていた。


「えっ?一緒に帰るでしょ?」


「まじ、すか?」


 美少女と一緒に下校イベントですか!?



 俺は入学三日目にして美少女との下校イベントに遭遇した!一体、今日は幸か不幸かよくわからん日だな。




 




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