第6話 決闘!?
「大丈夫?現国の教科書ビショビショだし、なんか茶色いし」
半分優香が原因でもあるがな。
「まあ、大丈夫だ。よくあるだろ、学校ついたらコーヒーらしきものが現国教科書にこぼされていることなんて」
「いやいや、ないでしょ!これいじめだよ!一体誰が…」
学校のマドンナに心配してもらうのは嬉しいな。
「今日、不審な動きをしていたやつとか見てないか?」
「今日は一度も見てないよ。これは間違いない。だって朝教室にきて席についてから一度も席を立ってないから」
まだ話し相手もいないのですか…すっごく不憫だ。超絶美少女は辛いよ…
「昨日の放課後、僕の下駄箱の中にこれが入っていた」
昨日のラブレターに見せかけ果たし状を優香にみせた。
「これ、果たし状じゃなくない?果たし状って、『体育館の裏で待ってろ!』みたいなやつでしょ?」
うむ。俺の感覚が間違っていたわけではなかったな。
「僕の予想だと、これの差出人がコーヒー事件の犯人だと思う。どう?この名推理は?」
ついドヤ顔をしてしまった。
「いや、誰でも予想つくと思うけど。しかも、なんか事件になってるし!」
「ゴホンッ。とにかく、この果たし状の差出人を見つけたいわけだが、問題なのが、全クラスの男子よりと書いてあったことだ。もしや、『全』の中に1〜3年まで入っていたら、全校生徒の約半分を敵に回しているかもしれん」
「なんで、こんなに、死ねって言われるまで恨まれてるの?まだ、顔を合わせて三日目だよね?それに、ヒッキー、ハオは実質二日だよね?」
まあ、半分優香が原因でもあるがな(二回目)。
「あ〜どうしよう。このあと全く何をしたらいいのかわからん」
「なんとかなるさ〜」
なんでコイツはそんなにものんきなんだ!
「だって、入試ワン・ツー合格の私とハオだよ」
えっ、なんだって?ワン・ツーだって?
「えっ、まさか、自分が入試成績第二位だって知らなかったの?」
全くの初耳だが?
「???????????」
「ハオは、郵送で来た結果をよく見なかったの?しっかり、何分の何って書いてあったはずだよ」
もしそうだとしても、なんで優香が知っているんだ!?
「『もしそうだとしても、なんで優香が知っているんだ!?』って顔してるね」
なんでもお見通しかよ!
「それはね、定期テストみたいに廊下にも入試成績優秀者がベスト30まで、名前と点数まで載っているからさ!」
初めて知ったよ、それ。
「『初めて知ったよ、それ。』って顔してるね」
「あ〜、はいはい。そんな顔しましたよ」
「とにかく、全国一頭のいい高校の入試ワン・ツー合格してる私達に勝てない相手はいない!」
「おう!じゃあ、この事件解決にむけて手伝ってくれるかい?ワトソンくん?」
「えっ?ハオが助手じゃないのかい?」
「わかったよ」
(助手にしたがったのは、昨日、探偵はもう、死んでいる。をワンクールイッキ見したからだそうだ。…理不尽だ…)
※※※
このあと、特に何か出来る事もなく、授業は始まり、教科書は優香に見せてもらった。
※※※
昼休み
俺と優香は畑高の新校舎と旧校舎の間にある、人の寄り付かない暗い場所にいる。
「はいはいはい!始まりました!果たし状の差出人はダレ・デ・ショウ!」
「なんで、優香はちょっと楽しそうなんだ?」
「ごめんごめん!なんか、こういうの初めてだから」
優香にはこんなふうに気軽に話せる相手は今までいなかったのだろう。やっぱり不憫だ…
今の優香は由比ヶ浜コスをやめ、素の優香に戻っている。通常優香、かわいいです。
「で、どうしようか。差出人を見つけるのは至難の業だ」
「ここで、優香は考えたのです!」
「お、おう。なんだ?」
「その名も、『先生に言ってしまおう!』作戦!」
コイツはアホなのか?
「優香、お前は本当にアニオタか?学園もので、いじめられっ子が先生にいじめの内容を告発して、前よりいじめがエスカレートする。なんてよくあるだろ?しかも、南出先生だぞ。新任には荷が重すぎる」
「た、確かに!」
「他に案はないのか?」
「ありません!」
イサギいいなコイツ。
「う〜ん、あっ、決闘とかは?」
「いやいやいや、相手わからないから困ってるんだろ」
「う〜」
パコーン!
なにかが弾ける音とともに、俺の額になにかが被弾した。
「痛った…」
「だだだ大丈夫!?」
優香が駆け寄って来る。
「一体なにが…」
左右を見ると、畑高の男子生徒に囲まれていた。
先頭にはモデルガンを持ったやつがいる。
「滝中葉音!お前は完全に包囲されている!おとなしく春川優香様を解放せよ!さもなくば撃つぞ!」
いや、もうすでに撃ってるし!メッチャ痛いし!
「お前たちは何者だ!」
流れに乗ってやる。
「俺は畑高第99代生徒会会長、羅館薫だ!」
ら、らかん?どんな字書くんだよ!
「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法使いにして、爆裂魔法を操る者!」
隣を見ると優香が二日前に見ためぐみんのコスプレをしていた。どこにそんなもん隠し持っていたんだよ!
優香が顎でなにか指示してくる。俺も自己紹介しろってこと?
「これはこれはどうも(棒)。我が名はサトウカズマと申します。アクセルの街で数多のスキルを習得し魔王軍の幹部と渡りあった者です」
優香がめっちゃ嬉しそうな顔をしている。
「なので、葉音ではございません。では」
スマートに立ち去ろう。
「オイ、コラ。そんなんで逃げられると思ってるのか?」
会長、そんな怖い顔しないでください。僕、泣きそうです。
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