第2話 自己紹介!?
浮ついた気持ちで新たな教室に足を踏み入れる。クラス内はすでに派閥?のような集団が出来ていた。俺の観察眼からするに、教室の教卓に近い位置で固まっている男子の集団は陰キャの集団。窓側を占領している女子の集団は多分一軍に属すことになるだろう。みんな顔かわいい。そして教室の後ろを占める男子の集団がクラスの一軍だと思う。まじ八幡みたいだな俺。てか、皆さんのコミュ力の高さに圧巻されています。どうやらまだ春川優香は来ていないようだ。
こんな妄想をドアの前で長々としていたら、視線がいきなり俺の方に集まった。なんだなんだ?俺の時代が来たのか?後ろを振り向くと、そこにはセーラー服を着たショートカットの美少女が立っていた。畑高に制服はない。だからセーラー服を着ているのはおかしいことになる。しかも、そのセーラー服はどこかで見覚えのあるものだった。顔をよく見ると、春川優香だった。だからみんなの視線が集まったのか。納得。
「邪魔よ」
冷酷無慈悲な冷たい声で春川優香は俺に話しかけてきた。いや、単に邪魔だっただけか。
「ご、ごめん」
素直に謝り、その場を退く。
俺も席につかなくては。急いで自分の席を探す。なんと、座席は出席番号順ではなく、ランダムに決まっているようだ。
あった。俺の席は真ん中列の教卓から見て左側の最後尾の一つ前。良くも悪くもない。
謎のセーラー服を着た春川優香はまた大きな話題を呼び、すでにドアの前には他クラスの人が殺到していた。しかし、春川優香は何着服を持ってきているんだ。すでに3着目だし。
春川優香が前から歩いてくる。なんだ?俺に用があるのか?
当然そんなことはなかった。が、なんと、春川優香は俺の真後ろの席だった。ラッキー!でも、なんだかこの配置、見覚えがある。デジャヴか?
そんなことを思っているうちに先生が入ってきた。若い女性の先生だ。名前は南出咲。童顔で背は小さく、声も高い。中学生と言っても疑われないレベルだ。どうやら今年が初めての新人らしい。先生の話はこれくらいにしておこう。
その後、新年度恒例、自己紹介が始まった。話す内容は生年月日、名前、出身中学、趣味、あいさつだ。俺の前の人まで趣味の内容が読書と勉強が9割だった。俺もオタクであることを隠すため、当たり障りない趣味を言い、軽いあいさつをした。
席順なので、俺の次は春川優香だ。
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人 未来人 異世界人 超能力者が居たら私の所に来なさい 以上!」
んんん!?思い出した。春川優香の着ているセーラー服、座席のシチュエーション、まんま涼宮ハルヒの憂鬱の冒頭、自己紹介のシーンだ。てことは、俺はキョンの位置づけなのか?
クラスが静まりかえっている。本日二度目の『?』が浮かんでいることだろう。
「あの〜春川さん?あなたは、川原中出身よね?名前も涼宮じゃなくて春川よね?あっ、あれだ!緊張して他の名前が出ちゃったのね!」
流石にそれはないだろう。それに、先生も涼宮ハルヒを知らないのですか。悲しいです。
「いいよいいよ!リラ〜ックス!さあ真面目に!」
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人 未来人 異世界人 超能力者が居たら私の所に来なさい 以上!」
春川優香はハルヒの名言を繰り返しただけだった。
「あ、うん。そうか!私が説明するね。ええっと、彼女は春川優香さん。川原中出身で、誕生日は7月18日です!」
南出先生が必死にフォローしようとしている。なんとなくその姿が可愛らしい。
「じゃあ次の人いこうか!」
このあとは特に目立った人もおらず、流石超進学校と言ったところだ。
※※※
みんなソワソワしている。誰が春川優香に話しかけるのか。通常であれば一軍女子共が話しかけるのだろうが、流石に制服のない学校でセーラー服を着ていて、頭のおかしな自己紹介をする美少女に声をかけるのはためらわれるようだ。俺は元ネタを知っているから真に受けないが、ハルヒを知らない人からしたら、ただ単に宇宙人やなんかを信じている変態にしか思えない。てか、本当にアニメを見ている人がいないんだな。
まあ、俺は一応キョンポジだし、春川優香の真ん前の席だし、話しかけてもいいよな。
「な、なあ、春川さん」
「何あんた」
返しまでハルヒになりきっていた。
「もしかして、俺と同類なのか?」
しくったー!これじゃあ、中二病が混ざった一番やばい系のアニオタじゃねえか!!!!
「あんた、もしかして、涼宮ハルヒの憂鬱を知っているの?」
以外にも食いついてきた。
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