第40話 三次予選はサラっと突破する
◇小田国俊◇
今回の拳豪トーナメントは今までよりも上に行ける予感はあった。
生産職の『商人見習い』がようやく『商人』になりレベル上限が40まで上がった。
参加者の中でもレベル40は上位になる。壁となっていた三次予選も突破出来る可能性は高いと思っていた。
そこにあゆみ氏が現れる。
正に衝撃だった。
あゆみ氏は、圧倒的なプレイヤースキルはステータス差を覆すということを証明した。
あゆみ氏を紹介して試合をした時、チームメイト達は皆驚いていた。
あゆみ氏にどこでそんな技術を身に着けたかを聞いたら『スライム道場』だと言う。
聞けばあゆみ氏は音ゲーのような修行を行ったらしい。
あゆみ氏の練習フィールドにお邪魔すると『スライム道場』という道場仕様になっていた。
個人の練習フィールドは好きなようにカスタマイズすることが出来る。
一度倒したモンスターであれば好きなように召喚して倒す練習をすることが出来るし、AI相手に対人戦を行うことも出来る。
あゆみ氏の道場では滅茶苦茶なスピードでスライムがどんどん飛んで来た。
それを全部叩き落とさないといけないらしい。まさに3Dの音ゲーだな。
飛んでくるのはチャンピオンスライムだ。
チャンピオンスライムは以前チームメイトと苦労して倒した覚えがあったが経験値もドロップも割に合わなくて二度と戦うのはごめんだと思っていたモンスターだ。
しかしそうなると……あゆみ氏はチャンピオンスライムを討伐したってことになる。
あれ? フレンドいないって言ってたよね?
単独で討伐したってこと……? いや、まさか……でも、あゆみ氏ならあり得るか?
あゆみ氏によるとスライム道場には★1~★10の難易度を用意したらしい。
結局難易度★1もクリアできなかったけど素早い身のこなし、素早いエイムの練習になった。
短い時間だったけどかなり質のいい訓練が出来たと思う。
チーム内では練習フィールドの共有が可能なので、あゆみ氏の練習フィールドを共有させてもらった。
またあゆみ氏とも試合を何度も行った。お陰で反応速度はかなり上がったし、高速戦闘の技術も多少向上した。
短い時間ではあったけれども可能な限りあゆみ氏の練習フィールドでも特訓して、クリアには至ってないが★1にも結構慣れたと思う。
あゆみ氏にはまだまだ劣るものの今は速度設定を敏捷値依存にしてLv6相当にしている。
エイムは多少ブレるが今までよりも圧倒的に速い。
速度を上げるとスキル使用時のタメや硬直時間も短くなるのは良い発見だった。
行ける。
今月こそは三次予選突破、いや本戦出場も果たせるかもしれない。
そう意気込んで挑んだ二次予選は自己最高記録で突破することが出来た。
いや、自己最高どころか下手したら予選参加者の中でもトップクラスではないだろうか?
そう思って検索してみたところ。
最近アップされたであろう気になる動画を見つけた。
タイトルは『遂にリンクでチーターが現れました』。
サムネに映っているのがあゆみ氏っぽかったので覗いてみたら驚愕の4288Pointを叩き出していた。
いや、これ完全にあゆみ氏だよね。
しかも歴代最高記録を倍以上更新してるじゃん。
あれ? これ一次予選の時の動画だよね? 確かこの時レベル15って言ってなかったっけ?
ってことは二次予選もっと高いPoint取ってるんじゃないか?
いやぁ、さすがあゆみ氏だねぇ。
コメント欄にはあゆみ氏をチーターだとディスる意見が多かった。
ディスってるのは名前的に見て韓国人が多い気がする。
そんな流れであゆみ氏が映っていそうな他の動画を探してみたら結構出てきた。
ディスってるものもあれば称賛しているものも様々あった。
そしてあゆみ氏本人がアップしてる動画も見つけた。
っていうか、今日の二次予選の動画ももうアップしてる。
さすが『リンク』のAIは仕事が早いね。
はっ?
7777Point?
え?
7777Point?
ちょっと待って。
何7777Pointって?
Pointがぶっちぎり過ぎてて有り得ないってのもそうだけど……。
何このゾロ目。
もしかして狙ってやった?
いやいやいや、偶然だよな?
あの混戦乱戦でPoint調整する余裕あるわけないし……。
いや、これ狙ってんな。
間違いなく狙ってんな。
何か終盤明らかに狙ってPoint調整してるっぽかったぞ。
いや、マジか。
あゆみ氏が本戦に出場したら貯金全賭けだな。
賭けが成立するならだけどね。
次の日。
あゆみ氏と俺はそろって三次予選を突破した。
三次予選結果。
小田国俊 :915Point。
花咲あゆみ:7777Point。
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