第39話 拳豪トーナメント二次予選
「さあ、先輩。いよいよ二次予選ですね」
「あゆみ氏なら心配せずとも突破できるでござるよ」
「それを言うなら先輩もですよね。チームの皆さんも強くなったって太鼓判押してましたし」
「いや、それもあゆみ氏のお陰でござる。チーム全員のプレイヤースキルが急激に上達してるでござる。あゆみ氏と試合した後は他のプレイヤーの動きがスローに見えるでござるよ」
そんなこんなで今しがた先輩と試合を終えたばかりである。
「それじゃあ、二次予選行くとしますか」
「サクッと突破するでござる」
二次予選の開催期間は1日。一次予選を突破したプレイヤーであればその一日の間ならいつでも参加できる。
2次予選は数千試合行われるが入る時間帯によって人が集まりにくく少し待つこともあるらしい。
ちなみに三次予選、最終予選となると入る時間が指定される。
——10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…開始——
ランダムに転送されて試合が始まる。
前回はかなり追い回されたから今回はなるべく落ち着いた試合運びをしたいなぁ。
先輩から二次予選は600Pointもあれば余裕で突破できるということを教えてもらったので今回は結構落ち着いている。
「えっ、うそ。ちょっと待って」
狙う相手を探そうと思っていた矢先、周囲のプレイヤーのうち数人が私に向かって突っ込んできた。
え? まだ私何も目立つことしてないよね?
なんと理不尽な……。
あ、あれか。やっぱり普通のスキンだと狙われやすいのか。
実は私もイチゴ頭スキンは手に入れていた。
でも結局そのスキンに変更していない。
あのスキン。ステータスが5%増加するけど体重が20Kgも増えちゃうんだよね。
重くて動きが鈍ってしまうのだ。
ちなみに先輩はあれからキャラ設定を変更して以前よりも速度重視の体型にシフトしつつあるけど、敏捷値に対してまだまだ体重を上げる余地が残っているため今はチゴ頭スキンにしている。
イチゴ頭のサムライってどうなんだろうねぇ。
そんなことを思いつつ、最初に突っ込んできたプレイヤー3人の機先を制し【縮地】で距離を詰めそれぞれに【発勁】をお見舞いする。
いずれもガタイのいいイチゴ頭達ばかりだ。
『108』『130』『99』『10』『8』『12』『9』『11』『10』
突っ込んできた3人を吹っ飛ばすと後方にいたプレイヤーに当り追加ダメージが入る。
うひょひょ。【発勁】つよ!
以前のレベル15の私とは違うのだよ。
と言ってもまだレベルは20だけどね。
何にせよ新しく修得した【発勁】が強すぎる。
【
その点【発勁】は安定感が違いますな。
射程の短さは【縮地】で補えるしね。
最初に飛び掛かってきたのは3人だったけど、どうやら今の攻防で周囲にいるプレイヤーは皆私をボコることにしたらしい。
私は完全に巨漢のイチゴ頭達に囲まれていた。
これが現実なら軽くトラウマになっていただろう。
今の私のPointは『397』。
あと二人ばかしに【発勁】を入れたら多分600Point超えるよね。
そんな計算をしながら起き上がりつつあったプレイヤー達に【スライディング】で突っ込み再度転ばす。
そして【足払い】の連打。
『28』『18』『16』『15』『17』『14』……
私の足が止まったことで周囲のプレイヤー達は一斉に飛び掛かってくる。
はい、想定通り。
というか、動きが遅い。
速度重視のプレイスタイルに変更した先輩たちと何度も試合をしたからか、周りのプレイヤー達の動きは余計に遅く感じる。
そんな動きじゃ、このあゆみちゃんは捉えられませんよっと。
囲まれたときは一点突破。
一際大きいプレイヤーに狙いを定める。
突っ込みながらパンチを出してきていたのでその腕を左腕で掴む。
そしてがら空きのボディにややアッパー気味の【発勁】を打ち込む。
『78』
そこそこに固い。
ゲーム内では【発勁】が当たると体重に関係なく後ろに吹っ飛んでダウンするのだが、私が腕を掴んでいたことにより巨漢プレイヤーは吹っ飛ばなかった。
代わりに上空を舞う。
そのまま巨漢の腕を両手で掴み、私の後ろに迫って来ていた他のプレイヤーめがけて背負い投げた。
いや正確には背負ってないから発勁投げ……かな?
『62』『44』『13』『62』『27』『31』……
すごい勢いでダメージPointが入っていく。
これ私もう二次予選突破出来ちゃうんじゃない?
多分行けるよね。
『一位 あゆみ:956Point
二位 堀江真美:42Point
三位 影山満:41Point』
中央のモニターを見ると一次予選以上に二位以下を引き離していた。
じゃあいっちょ、前回越えを狙ってみますか。
………
……
…
「先輩、二次予選どうでした?」
「お陰様で無事突破できたでござるよ。しかもパーソナルベストを更新したでござる」
「おめでとうございます。練習の成果が出て良かったですね」
「あゆみ氏のお陰でござるよ。その様子だとあゆみ氏も無事突破できたみたいでござるな」
「はい、お陰様で一次予選よりも落ち着いて試合に臨めました。楽しかったですよ」
そんなわけで私と小田先輩は二人そろって二次予選を突破できたのであった。
結果
小田国俊 :二次予選突破 1470Point
花咲あゆみ:二次予選突破 7777Point
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