第14話

「ん~~完全復活っ!!」


上半身を起こし体を伸ばす。

屋敷に帰って来たところから記憶が無いけど。


……ってことは屋敷についた瞬間気絶しちゃったか。

周囲に無駄な心配をかけさせてしまったな。

後でしっかり謝っておかないと。


国王陛下への報告……はバルカンが一人でしてくれているだろう。

俺がぶっ倒れた程度で遅らせる事は出来ないものだからね。


何か特別報酬をって考えてたけど。本格的に何か用意してあげないと。


「取り敢えず。起きて話を聞きに行くか」


寝ていた間に色々話が進んでいるだろうからしっかり把握しておかないと。


起きたならまずは私達を呼んでください!と怒られそうだけど。

寝間着から着替えて寝室から出る。


「おっ。ようやく起きたか坊主」


「おはようバルカン。早速で悪いけど。俺ってどれぐらい寝てたの?」


「大体は半日ぐらいだな」


まぁ、それぐらいなら問題ないかな。

と言っても、もう昼過ぎって事だよな…


そう考えるとノンビリしている時間は無いな。


「バルカン。ものすごーく文句を言われる事になるのはわかりきってるけど。今すぐ北の森に行こう」


大精霊が起きてるか分からないけど。

起きていたら色々聞きたい事があるし。

万が一神聖樹の状態が悪化していないか直接確認しておきたい。


「それ、坊主だけじゃなくて俺も怒られるやつなんだが……はぁ〜仕方ないか」


一応メイドさんに北の森に行くことを伝え(伝えただけで、返事は聞いてない)屋敷を後にした。


移動中に植物魔法で生み出した果物で食事を取りながら俺が寝ている間に、どんな事があったか教えてもらう。


北の森に行く前にリアのご機嫌をとりに行くべきだったか……と少し…いや、かなり後悔することになったが、これは仕方がないことなんだと自分を納得させる。


と言っても今回の件が落ち着いたら当分の間、大人しくしよう。

リアに呆れられて嫌われたく無いし。


事件に関しても北の森から減少し続けていた

聖エネルギーが再び上昇し始めて。

魔物も消滅、新たな魔物の発見報告も上がって来ず。


事件に関しては終息したということになっているみたいなので、ここから忙しくなるという事は無いだろう……ないよね?


「それはそうと、今回も大精霊のところにアッサリ行けるのか?」


「それに関しては問題ないよ。入口の場所は移動しているみたいだけど。場所は何となくわかるから」


そう言って北の森の中に脚を踏み入れる。


「あれ?これってもしかして入口が近づいて来てる?」


北の森に入った瞬間。大精霊の居る空間に繋がる入口の反応を目の前に感じる。

そして気付いたら大精霊の居る空間の中に立っていた。



向こうから来てくれるとか目茶苦茶歓迎されてるじゃん。


「よく来たな。植物魔法を使う人の子よ。

先ずは神聖樹を救ってくれた事、例を言うぞ」


このオーラは……


昨日会った大精霊とおんなじ存在なはずなのに、目の前の大精霊が圧倒的上位者だと、俺でもわかる。


そう考えると、昨日の大精霊は相当弱っていたんだな。


「大精霊から直接お礼を言って貰えるのは、とても光栄な事ですが。まだ、神聖樹の治療は完全に終了したわけではありません。お礼は神聖樹を完全に治療したときに改めてしていただけると」


「完全な治療…正直、神聖樹が今の状態まで回復しただけでも奇跡だと思っていたんだが。

そなたは神聖樹を今以上の状態に治せると?」


あれ?俺が思っていた反応と違う。

昨日の「神聖樹を治してくれ」的な発言から俺ならこうやって神聖樹を治療できると思って

頼まれたんだと思ったけど……


「そなたがわざわざ嘘をつく必要もないか。

済まなかった。早速で悪いのだが神聖樹の治療の続きをお願いできないだろうか?」


元々そのつもりで、ここに来たので了承して大精霊とともに神聖樹のところに行き治療を開始する。


「なぁ、そなたの使う魔法は本当に植物魔法なのか?」


俺が神聖樹に〈プラントヒーリング〉を使い治療しているところを興味深そうに観察していたかと思ったら、そんな質問をしてきた。


「そんな事を言われましても……

教会で調べたときはハッキリと植物魔法だと言われましたよ?」


でも、大精霊。しかも、植物に関係する花の精霊アルラウネに、その魔法本当に植物魔法?

なんて聞かれると実は俺が使う魔法は、植物魔法じゃないのかも?


何と言うか違和感はあったんだよ。

過去の植物魔法使いの記録って本当に俺とおんなじ植物魔法が使えた人なんだよね?という記述が多々あった。


「植物魔法というより。始━━いや、なんでも無い忘れてくれ」


大精霊は何か気づいていそうだけど。

今のところは俺に、教えてくれる事はなさそうだ。


無理に聞き出すことが出来るような相手では無いし、今はこれ以上聞こうとするのは止めておこう。


あぁ、でも。これだけは聞いておこう。


「すみません。一つだけ教えてください。俺はこの魔法を使っても大丈夫なんですか?」


「それについては問題ない。現状では純粋に能力が大幅に強化された植物魔法と認識しておけばいいと思うぞ。そなたがそれを使うことで悪影響を受ける事は一切ない」


俺が使えるのは植物魔法ではなく植物魔法・改だって事ね。

で、俺が使うことでデメリット等は無いと。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



読んでいただきありがとうございます。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る