第11話
も~も~しか喋らなくなってしまったリアを何とか宥め屋敷に帰宅。
俺もバルカンも「よし!それじゃあ早速北の森に行こうか!」って成る程脳筋では無いので、
数日かけて色々と準備をしていく。
その間バルカンには実際に異変が北の森に入った騎士や冒険者に話を聞きに行って情報を仕入れて貰った。
「それじゃ、今から北の森に入っていく訳だが、坊主覚悟は良いか?」
「当然。ここまで来て日和っている訳にはいかないし。何しろ大精霊が俺を呼んでる…気がする」
何だろう。実際に声が聞こえてくる訳じゃないけど。この感覚に従って進んで行けば大精霊のところまで行ける気がする。
正確に言うと大精霊は北の森に住んでいるわけでなく、北の森には大精霊の暮らす場所に続く入口が存在している。
その入口も目で直接見える訳じゃないし、場所も北の森内で完全ランダムに変わる。
正直、会おうと思って会える感じじゃ無いしどうしようか困ってたけど。心配する必要はなさそうだ。
入口が見えないのは欲深い存在に荒らされないようにするため。
場所が変わるのは北の森に万遍なく聖なるエネルギーを行き渡らせるためと言われているらしい。
……そもそも、何で北の森を聖なるエネルギーで溢れさせなきゃ行けないんだろう?
理由も無くそんなことしなさそうだよね。
「一番の難題がアッサリと片付いたな。流石坊主だ」
俺が何かしたって訳じゃないけどね。
ゆっくりしていると入口の場所が変わってしまうかもしれない。
俺の感覚がこっちだと言っている方向に向かって歩き始めた。
魔物が出現するようになったと言っても北の森から完全に聖なるエネルギーが消滅したわけでは無いので、大量に出現する訳では無い。
強さ的にも大して感じじゃ無いので、
魔物と遭遇してもバルカンが剣を一振りするだけで終わる。
ただし、調査した人たちによると聖なるエネルギーの量は日に日に減っているので、急がないと魔物の数は増えるし、強力な魔物が出現するようになってしまう。
そんな事になる前に、この問題を解決出来るといいけど……
大精霊が解決出来ないような問題を俺なんかが解決出来るんだろうか……
だんだん不安になってきた…そう思った瞬間森の空気が変わる。
悪い方にではなく良い方にだけど。
ということは……
「バルカン多分だけど。もう既にここって」
「あぁ、既に入口を通り過ぎてたみたいだな」
入口を通り大精霊の居る空間に入る事に成功したようだ。
土が踏み固められた一本道を進むと、
巨大な木が一本だけ生えた。ひらけた場所に到着した。
そして巨大な木の根っこ付近の幹を辛そうな顔をしながら触る。頭部に花が生えた少女が一人。
頭部に花が生えているということは、あの少女
が大精霊アルラウネということだろうか?
う~ん…アルラウネなのは間違いないだろうけど。大精霊では無い普通の精霊アルラウネなのかな?
大精霊ってのは精霊の中でも強い力を持った個体。眼の前のアルラウネはそんな強い力を持っているようにはとても見えない。
いや、俺に他者の実力を見抜く力なんてあるわけ無いし。結論づけるのは早いだろう。
「かなり弱っているが大精霊で間違いないな。坊主、怒らせる事だけはするなよ。弱っていると言っても俺たちなんて一捻りだからな」
ほら、やっぱり…見た目は、大して強そうに見えないし。更に弱ってる感じでも敵対しようものなら俺たちのことを一捻りに出来るレベルの力は残っているらしい。
向こうから俺の事を呼んでたんだし、余っ程失礼な事をしなければ、キレられる事は無いだろう。
アルラウネに近づき話しかける。
「大精霊アルラウネ様で間違いないでしょうか?」
「自己紹介は後回しだ。植物魔法を使う少年よ先ずは、この神聖樹を治療してくれぬか」
神聖樹?アルラウネがさわっている大樹の名前か。
見た目は、弱っているように見えないけど……
とは言えアルラウネが嘘を付く理由が無いし。
神聖樹は何かしらの問題を抱えているんだろう。
神聖樹に触れて、魔力を流す。
植物限定だけど。こうする事で色々な情報を確認することが出来る。植物限定の鑑定魔法みたいなものだな。
「神聖樹を中から食い荒らす虫か」
鑑定した結果、神聖樹はシロアリのような虫に中から食い荒らされている状態という事がわかった。
一見魔物っぽいんだけど。虫を改造して作られた改造虫で魔物では無いらしい。
魔物なら聖属性の木に近づく事すら出来ないだろう。
だから魔物では無く。普通の虫を改造してこんなものを作り出したって事か。
つまり、この改造虫は神聖樹を駄目にする事が目的で何者かに作られた存在って訳だ。
一体何のために?
……バルカンはワイバーンは何者かの手によって操られていると言っていた。
もしかして同一人物か?そうじゃ無くても同一組織の犯行である可能性は高そうだ。
「神聖樹の治療、一筋縄ではいかなそうだけど。やれる事はやって見よう」
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