第10話

「少し思ったんだが。坊主が作った種を鏃にした矢を弓で飛ばした方が速度も出るし遠くを狙えるんじゃ無いか?」


「そうかもだけど。弓と矢で嵩張りそうなんだよね~」


後は矢は無くなったら直ぐに補給出来ないけど。

スリングショットなら種をそのまま弾に使えるから植物魔法でいつでも補給出来るからな。


「確かに鏃にするには種の形とか重さとか精密さを求められるし、手間がかかるか」


「まぁでも。一度も試さずに使わないってのも良くないと思うし。一回は試してみようかなとも思うけど」


そんな話をしていると部屋のドアがノックされる。


「ベルデ様、王宮より使者が起こしです」


そういえば、城に呼ばれる事になると思うとかそういう話だったな。

ワイバーン騒ぎで俺がほんの少し派手に行動しちゃったから。


怒っていそうなリアと顔を合わせるのが少し怖いけど……

まぁ、俺のことを心配しるからなわけだし大人しく怒られるか。


「わかった。王宮に行っても大丈夫な服に着替えようか。えーと、使者の人は待たせても大丈夫な人だった?」


普通は有りえないんだけど。宰相が直接訪ねてくる事もあるからな。一応確認しておかないと。


「はい。問題ないかと。とはいえ長時間お待たせする訳にはいきません」


「わかってるよ。という訳でバルカンもそのつもりで」


「おう。俺も鎧を着ておく」


そう言ってバルカンが部屋を出ていく。

鎧なんて、そんな簡単に着脱出来るの?と思わなくも無いけど。

ああ見えてバルカンは騎士の中でもエリートなので、武器や防具はとても良いものを使っていて。様々な効果が付与されている。

その一つに着脱が素早く出来るような効果があると教えて貰った。


護衛中、割りと鎧を着たり脱いだりしてるよなと思って聞いたらそう教えてくれた。


俺もそういう服欲しいなと思いながら数人のメイドさんに囲まれ服を着替え身だしなみを整えられた。


身だしなみを整え、使者の人が待っている馬車にのり王宮に向かって移動をする。


今後はどんな植物を作ろうかなと考えていたらいつの間にか王宮に到着していた。


「ほら、坊主早く行くぞ。国王陛下が玉座の間でお待ちだ」


えっ?王座の間?なにそれ聞いてない。

なんかそんなしっかりする感じなの?というか何でバルカンはこの事知ってるの?


「いや。馬車で移動中に説明してくれてたからな?坊主は一切聞いてなかったようだが」


視線をバルカンから外す。


「国王陛下をお待たせする訳には行かない。バルカン早く行こう」


「へいへい」


王座の間に入り決まったやり取りをした後

ワイバーン騒ぎの件について感謝され

当然の事をしたまでですと答える。


これで終わりかなと思ったらどうやら、まだ続くらしい。

寧ろここからが本題っぽいな。


「北の森に魔物が出現したですか……」


国王陛下の本題は王都周辺の北の森に魔物が出現したというものだった。


北の森は大精霊が暮らしていて聖なるエネルギーに溢れている為、魔物がいない。という場所だ。


この話は俺が辺境伯領で暮らしているときでも知っているぐらい有名な話だ。


……大精霊に何か起きたって事か?


あ~凄い嫌な予感がしてきた。


「ワイバーン騒ぎの数時間前に薬草を採集に北の森に入った冒険者から報告があったとギルドマスターから報告があってな。騎士を調査に向かわせたところ実際に魔物の存在を確認した。そこで、そなたには大精霊と接触、何か問題があった場合解決して欲しい」


「なるほど、かしこまりました。国王陛下のご期待に答えられるよう尽力いたします」


大精霊との遭遇、問題解決を俺に頼む理由が分からないけど。嫌ですなんて言えないので快諾する。


「うむ。期待しているぞ」


これで王座の間での会話が終わり王座の間を後にする。


すると、メイドさんに「ベルデ様、リア様がお待ちですので…」と言って

王族のプライベートスペースにあるリアの部屋まで連れて来られた。



「ワイバーン騒ぎの最前線に自ら行っちゃうベルもベルだし。十歳の子供に重要な問題解決を任せるお父様もどうかしてるのよ!」


そう言ってリアがプンプンしている。


「まぁ、これでも飲んで落ち着いてください」


コップを用意してもらいリアが好きなりんごジュースを作り渡す。


「私がジュース一つで機嫌をなおすとでも?」


「じゃ、ジュース要らない?」


「要らないなんて言ってないよ!」


そう言ってりんごジュースを一気に飲み干した。


「むぅ~。私が我がまま言ってるのはわかってるけど……それでも確実に何か起きてる場所に十歳のベルを行かせるのは駄目でしょ!」


「大精霊がアルラウネだから、植物魔法に適性のある俺に白羽の矢がって感じらしいね。後、直前にワイバーンを討伐して戦闘面での実力を見せてしまったのも良くなかったみたい」


大精霊が、なにの精霊なのか詳しくは知らなかったけど。どうやら花の精霊アルラウネだったらしい。


その時点で、俺が候補に上がるわけだけど。

植物魔法使いを魔物が出現するようになった北の森に行かせるなんて危険だって感じだったらしいんだけど。


じゃあどうするの?と貴族会議をしている間に王都にワイバーンが出現。

そのうちの一体を俺が討伐。

当然その情報は貴族会議に報告されるわけで…


戦えるなら植物魔法使いを派遣するのが一番確実だと貴族の一人が発言。

その発言に同意する貴族多数。

事実ではあるので国王も却下出来なくなり、

今に至る。というのが今回流れだと此処まで案内してくれてる途中にメイドさんが教えてくれた。


メイドさんにしては詳しすぎない?と思わなくもないけど。リアのお付きらしいしただのメイドさんじゃないってことなのだろう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


読んでいただきありがとうございます。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る