第9話

「1ヶ月で王都を出れる気がしない」


なんとなくだけど今回の事件はこれで終わりじゃないだろうし巻き込まれる気がする。

仮に1ヶ月以内に解決したとしてもすぐに王都を出ることは出来ないだろうし。


「今更何を言ってるんだ坊主?この時期に残った時点で少なくとも来年の1月上旬までは王都にいるの決定だろ」


今回の事件が起こらなくても年明けまでいること決定だった?

もしかして大人たちはそれに気づいてたからあんなに心配されたのか?

でもなんで?年明けまで王都にいる理由なんてないと思うけど。


「坊主の事だから分かって残ったと思ったんだが…王家主催の新年会に出ない訳には行かないだろう?クローロテース辺境伯領と王都は往復で4ヶ月、今は8月だから今すぐ帰ったとしてもすぐに王都にとんぼがえりする必要がある。辺境伯も領都で1週間ぐらい溜まっている書類を片付けて王都に戻ってくる予定だろう」


王家主催の新年会かあれって基本出席するのは当主夫婦のみだった筈俺が出席する必要ないはずだしそもそも出席できるの俺?


「所々抜けてるよな坊主って王家主催なんだから当然リア王女も出席するんだぞ?魔眼のせいで怖がられているのは事実だが、王族だからな狙ってる貴族は普通に多い、それこそ他国からもな」


「リアが他の男を好きになるって言いたいの?」


あっ、つい呼び捨てで呼んじゃった。

いくらバルカンが緩いって言っても近衛騎士だしやばいかも。


「別に今更呼び捨てで呼んだぐらいで何も言わねぇよ。ただ城じゃ気よつけろよ、俺じゃ庇いきれないからな」


「気をつけます」


「それとリア王女が坊主以外を好きになるっていうのは今のところありえねぇから安心しろ。そうじゃなくてリア王女はなんとも思ってなくても相手は違うだろ?そういう勘違い野郎から守ってやらなくていいのか?」


「確かにバルカンの言う通りだ!新年会の出席は絶対だね!でも貴族の息子ってだけで出席できるの?」


跡継ぎなら出れるだろうけどあとを継がない次男だし、俺が出たことで跡継ぎって勘違いされるののいやだ。


「貴族の子供っていっても普通は跡継ぎぐらいまでしか出席出来ないが、坊主は魔力を遮断する新素材と今回の件で爵位が貰えるだろうから当主として問題なく出席できる」


「そんなに簡単に爵位って貰えるのしかも1代限りの名誉貴族じゃなくて子に継げる爵位を」


新素材って言ったって植物魔法を使い始めて初日で作れたものだし下位竜だって一体しか相手してないし。

そんなんで爵位が貰えちゃうなら世の中貴族だけになっちゃうんじゃない?


「そんな簡単にって魔力を遮断する素材だなんてえげつないもの作っておいてよく言うぜ」


「えげつないってそこまで?」


「魔力を遮断する効果のあるものなんて俺は迷宮産でも見たことがない。人類初どころか世界初の可能性あるって言えば凄さがわかるか?」


「それは凄いかも、そしたら俺余計狙われるんじゃ」


「だから言っただろ坊主を狙った犯行の可能性もあるって。たかが素材ひとつのために宰相様が直接交渉に来ている時点でえげつないものってわかってると思ってたんだが、甘かったみたいだな」


そうだよね普通だったら宰相の部下とかが交渉に来るよね。凄い金が定期的に入ってくるようになったな〜ぐらいにしか思ってなかった。


「ようやく自分の価値がどれだけ高いか正しく理解したみたいだな。坊主が1人で出歩いてたら120%襲われるって何回も説明してるのに1人で城下町に行こうとするから、しかも歩きでホント護衛の身にもなって欲しいぜ」


「危険なのは理解したけど1人でフラフラしたりもしたいよ」


「気持ちはわかるが坊主だけじゃなくて無関係な国民を巻き込まないためでもあるからそれは諦めろ」


それを言われると大人しくしているしか無くなってしまう。

俺のワガママで関係ない人に被害が出るなんて嫌だからね。


「仕方ない。いつも通り家で植物魔法の実験をする事にするよ」


スリングショットで植物の種を飛ばすという戦闘方法は悪くないと思うから、こないだ使った以外の弾用の植物の種を用意しておきたい。


爆発する種とかシンプルに強そうだよね。

使う場所は考えないと自爆しそうだけど……


まぁ、火力が有るのは良いことだろう。

どんな場所でも使いやすい別の種も別途作れば良いわけだし。


スリングショット自体の方も改良をしていきたいよね。


こうやって色々と考えるてるのって本当に楽しい。


というか今更だけど。ワイバーンを倒すのに使った種、異世界だからってトンデモ植物過ぎるよな。

そんな種を作れてしまう植物魔法のほうが

もっとトンデモ存在だよな。


…植物魔法には攻撃魔法がないと言われてたけど。

過去に植物魔法の適性を持った人は俺みたいな使い方をする人は本当にいなかったのかな?

寧ろ俺が異端?


他の植物魔法に適性を持っている人がどうであろうと気にせず俺が使いたいように使えば良いよね。


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読んでいただきありがとうございます。

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