第8話

「丁度よさそうなのはいないかな〜」


そう思い下位竜達を観察していると

バルカンが大暴れして下位竜のヘイトを集めているが1頭だけそちらに参加せずに城下町を攻撃しようとしてる下位竜を発見した。


「ほかの個体より飛んでる高度も低いし丁度いい」


この間、作ったスリングショットで植物の種を飛ばす。

当然、下位竜は気づいて避けたけど当てる必要は無いので気にしない。

ブレスで燃やされてたら危なかったけど、こっちを見下してる下位竜が種が飛んできた程度でわざわざブレスを吐くとも思えない。

寧ろ避けたことにビックリ!


「発芽して成長しろ!」


下位竜が投擲した種を避けて意識をこちらに向けた瞬間種を発芽させた蔦がニュルニュルと生えてきて下位竜に絡み付いた。


「この蔦は絡みついた相手の魔力、生命力を栄養としてどんどん成長する強度も吸い取った魔力や生命力を使って強化されるからある程度したら下位竜でもちぎれなくなる筈」


最初はちぎられたり燃やされたりしていた蔦も次第に下位竜の力を上回り翼の部分にも絡みついてバランスが取れなくなった下位竜が落下してきた。

受け身も取れなく頭から落下した下位竜はそれで首が折れたみたいで絶命したようだ。


「ようやく一体か。倒したのがいいけど時間がかかるなこの方法だと」


残りの下位竜の方を見ると7頭が空を飛んでいて2頭が翼を斬られて地面に落下していた。

バルカンは空を飛んでいる個体を牽制しつつ

隙を見せれば翼を斬ろうと狙っているようだ。


地面に落下した個体は元から応戦していた衛兵や近くにいた冒険者が対応してるみたい。

俺も手伝いに行こうかなって思ってたら、まだ飛んでいる下位竜達に向かって攻撃魔法が飛んで行った。


どうやら援軍が到着したみたい。

援軍が到着したなら俺は必要ないだろうから大人しくしてよう。


「下位竜の飛竜タイプが東門に現れたと報告があったから魔法部隊を急いで指揮してきたら途中から見た事のある飛ぶ斬撃が見えるし下位竜に対して蔦が巻きついて最終的に墜落させてるし、なんでここに来ちゃったんですか!」


この人はリアと初めてあった社交界で国王陛下の護衛をしていた人だ。


「王国の1貴族としていた王都を守るために参戦しました」


「ベルテ殿がそういうタイプじゃないのは知っています。概ね、魔物の襲撃を知ってどうせなら倒しに行くかみたいな軽いノリでバルカンと2人で来たのでしょう」


「まぁその通りです」


「ですが実際にベルテ殿が一頭討伐バルカンが残りを牽制して城壁付近で持ちこたえてくれたお陰で被害は最小限です。ありがとうございます」


「自分がやりたいからやったった事なんで気にしないでください」


「後、戦況を確認するため王城からも魔法を使い観測していますリア王女殿下にもベルテ殿が下位竜と戦っていたのは伝わっている筈なので覚悟しておいて下さい」


「ほら、俺とバルカンのおかげで被害が最小限に収まったんですからそれに一応貴族として王都を守る為に参戦した訳ですから寧ろ褒められる事なのでは?」


少なくとも自分の身を守るために屋敷に引きこもって少しの戦力もよこさない連中よりマシだろう。


「その通りですので陛下は何も言われないでしょうが、リア王女に関してはそう言う問題ではないということですね。愛されてますねベルテ殿」


「誰か助けてくれたりは?」


「進んで巻き込まれたい人なんて居ませんよ。そろそろ終わりそうですね」


下位竜程度じゃ数の暴力に抵抗できず次々と翼を攻撃されて地面に墜落して行ってる。

それから直ぐに今回襲ってきた下位竜の討伐が終了する。


「1人で下位竜を仕留めるとは坊主もやるじゃなねぇか」


「バルカンもお疲れ様、残りの9体を全部相手をしていたバルカン程じゃないよ」


「2人とも王城に呼ばれると思うのでちゃんと辺境伯家の屋敷で待機していてくださいね」



「おう!じゃあ屋敷に戻るぞ坊主」


抵抗もできずときと同じように脇に抱えられながら屋敷に帰った。


「なぁ坊主、今回の下位竜の襲撃どう思う」


普通に魔物の襲撃って思ってたんだけど、どう思うって聞いてくるってことはバルカンは違和感を感じてるってことか。


下位竜って10mぐらいあるし、王都に来るまで誰も発見できなかったとか?

何者かが下位竜を操って王都を襲わせた可能性があるって言いたいのか。


「下位竜の襲撃は人為的って言いたいの」


「人ではない可能性も有るが何者かが操っていた可能性が高いと俺は思ってる」


「バルカンは操っていたなにかいるってだいぶ確信を持ってるんだ」


「下位竜たちの動きが変だったからな。

なんか思い通りに動けてないような感じがした」


恐らく今回以外も下位竜みたいな魔物と戦っているだろうバルカンがそういうなら多分そうなんだろうな。

となるとだいぶ厄介なことになりそうだな。


「じゃあ裏に下位竜より強い存在が裏で糸を引いてるってこと!結構やばいんじゃ」


「恐らくそれは無い。下位竜より強いなら下位竜をボコして従わせるだろうから下位竜の動きが変になる事はないだろう。

下位竜より弱い存在が何らかの方法で無理やり従わせてるから命令を無視しようと抵抗するから動きが変になったんだと思う」


「よく戦いながらそこまで観察して考えをまとめられるよ」


「経験の差だな。坊主ならすぐに出来るようになるだろう。問題は何が目的でこんな事をしたかだ」


直ぐに浮かんだのは

敵国で何度も戦争を仕掛けてきている帝国がまた戦争を仕掛けるため?

もしくはやばい思考のテロ組織の犯行。


「帝国の嫌がらせとかテロ組織の犯行って言うのは」


「そこら辺が妥当だと俺も思うが坊主を狙ったって可能性もある」


「なんでわざわざ俺?」


「帝国からしたら敵国に魔力さえあれば兵站を作れる坊主は邪魔でしかないし他の勢力でも植物魔法ってのは味方にならないなら邪魔だろうからな」


どうやら厄介事に巻き込まれる事のなったみたいだ。

今回攻撃手段は試せて有効だってわかったけどもう少し手札を増やしたいな。


死なない為に必死に考えるのだった。




読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る