第4話

「突然でびっくりしてるだけで嫌だって感情はないみたいで良かった。タイプじゃないしやだみたいな感情が伝わって来たら本気でショックだったし」


「王女様突然どうしたんですか?気でも触れましたか?」


「正常だよ!確かに突然だけど勇気を出してお嫁さんになるって言ったんだよ?言ったせいでようやく同年代で普通に接してくれる人が出来たのに避けられるようになったらどうしようって結構怖かったんだよ?」


「もし結婚するとしても、15歳になって成人してからです。王女様は15歳まで7年ある訳ですから、それまでに俺以外にも理解をしてくれる人出てくるのでは?」


冷静に考えたら貴族の結婚なんて親同士が決めるものだ。

こんなに真剣にならなくても結婚なんて話無かったことになるんじゃ。

リア王女って普通に可愛いしそれはそれで嫌だな。


「確かに焦ってもしょうがないか。ベルも私の事可愛いとは思ってくれてるみたいだし。まずは友達から初めて私無しじゃ生きてけないようにする方が良いか」


すげぇ物騒な事言ってるよ。ほんとに8歳なんだろうか?


「って言うわけで宜しくねベル!」


「王女様の御友人をしっかり努めさせていただきます」


「私本気で泣いちゃうよ?それじゃ友達ごっこでしょ」


ちょっと悪ふざけがすぎたか。

でも相手は王女様だしどの程度の感じで話せばいいか難しい。


「普通の女の子リアとして話しかけて欲しいかな。流石に城にいる時もそうしろとは言わないから」


「分かったよリア。こんな感じでいい?」


「宜しくねベル」


リアが満面の笑みで返事をしてくれる。

目の前に天使が居る。

この笑顔を見てるだけで1日過ごせる気がする。


「そうそう、話が1番最初まで戻るんだけどベルが作る果物食べてみたい!」


皮を剥いたりしなくても簡単に食べれる果物が良いよね?何にしよっか。

そうだ!イチゴを出してリアの反応でも見て楽しむか。


「はい、果物」


イチゴを作ってリアに渡してあげた。


「ねえこれほんとに果物?」


おー困惑してる!やっぱりイチゴを知らないのに突然、表面に種がついてつぶつぶしてるのはちょっと抵抗あるか。

発芽したイチゴに比べたら全然気持ち悪くないんだけどなー。


「私が困ってるの見て楽しんでる!

で、この果物はなんていう名前なの?

私見た事ない」


「これは甘酸っぱくて美味しい果物が欲しいって念じながら植物魔法を使ったら出来たんだ。多分新種の果物でイチゴって呼んでる。美味しいのは保証するから食べてみて」


それを聞いたリアはイチゴのヘタを取った後

目をつぶってイチゴを一気に口の中に入れて

もぐもぐしている。


「美味しい!ベルもっとちょうだい」


やっぱり1口食べると見た目より美味しさが勝つみたい。


「作るのはいいけど置くところどうする?」


「任せて!」


リアがそう言った瞬間リアの手の上にお皿が乗っていた。


「凄いでしょ!腕輪型のマジックバック」


そればバックとは呼ばないのでは?

でも、この世界は見た目より多く入るバック、マジックバックが存在する。

効果の低いものなら人間が作ることも出来るが、迷宮産と呼ばれる迷宮の宝箱などから出るマジックバックの方が基本効果は高い。

腕輪型のマジックバックは勿論迷宮産でその中でも激レアである。


リアがドヤ顔をしているが俺も、もし腕輪型のマジックバックを持ってたらドヤ顔してると思う。


「腕輪型初めて見た」


「お父様がくれたんだ〜。時間の遅延や停止は無いんだけど、容量は結構あるからすごく便利!ナマモノを収納した時は忘れないようにしないとたいへんなことになるけど」


最後にちょっと嫌な顔をしてたので過去にやらかしたんだと思う。

そこに触れる必要は無いだろう。

俺も迷宮産のマジックバック欲しいな〜。

一番確率が高いのは自分で迷宮に潜って手に入れる事だけど植物魔法だとちょっと厳しいよね。

マジックバックが出るのは難易度の高い迷宮の深部だし、お金を沢山稼いでオークションに出品されたのを競り落とすのが現実的かな。


考え事するより今はリアにイチゴを出すのが先だったな。

お皿の上にいっぱいイチゴを出してあげる。


「ありがとうベル」


自分で作った果物を幸せそうな顔して食べてるのを見ると嬉しい気持ちになって来る。


「ベルこっちを見てどうしたの?」


「魔眼でどんな感情で見てるかわかるでしょ?リアは可愛いな〜って見てるの」


「ベルはほんとに魔眼のこと嫌がらないね」


「そうだね、別に気にならないかな?

ねえ、リアはもし魔眼がオンオフできるようになったら嬉しい?」


「出来ることならしたいけど、王家の権力を使って調べても目を潰すぐらいしか方法が無かったのにベルはそれが出来るの?」


「もしかしたらって感じかな。あんまり期待はしない方が良いかも」


思いついた方法っていうのが


・魔力を遮断する。


・空気に触れたら固まる


・透明


っていう特性を持った樹液を使ってメガネを作ってあげれば魔眼を抑えられるんじゃないかという方法。


魔眼を使って感情を読み取っているんだから

リアと対象の間に魔力を遮断する何かがあれば発動しないんじゃないかっていう仮説があってればこれでいけるはず。



途中で魔力を遮断するする物があっても発動するなら全くの無意味だけど。


「ねえリアちょっと試してみたいから薄くて平らな容器を貸してくれない?」


社交界中ではあるがどうせこっちに人は来ないからせっかくだから試してみよう。

時間かけちゃうと失敗した時のショックが大きくなるし。



読んでいただきありがとうございます。




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